カワサキはZX-25Rに続いてZX-4RRを発売します。仲間は最新はツインのほうが速い、4気筒は昔の高回転型エンジンが懐かしいライダー向け、と言います。400cc以下の4気筒ってそんなに非効率的なのですか?

A. 250ccで4気筒とツイン、どっちが速い?はビミョーです。でもヨンヒャクとなるとサーキットなら4気筒の勝ち。でもワインディングだと状況次第でしょう。

回せばパワーは出ます、だから高回転型の4気筒は速い。
でも一般公道だと中速域の力強さが乗りやすく速く走れる……

1980年代の後半、250ccには4気筒スーパースポーツが各社からラインナップされてました。
時代はレーサーレプリカ、性能で売れた400ccから4気筒化がスタートしてその流れで250ccも、という状況でした。

ガソリンエンジンの原理で、1回の燃焼・爆発で得られる出力を、高回転化することで一定時間内に何度もこれを繰り返せばそれだけパワーは稼げます。
ただ単気筒より2気筒という具合に、同じ排気量ならピストンを小さく分割してひとつひとつを小さくコンパクト化しないと、高回転まで回せません。

とはいえ、ピストンが往復する上下動も、あまり速いとシリンダーと擦れるのを潤滑するエンジンオイルが追いつかず焼き付いたり、何より各部のパーツ回転抵抗も大きくなり、一般にはレース専用で20,000rpmあたりが限界……という概念が当時からあって、それは技術的にいまも変わりはありません。

そして当時、250ccだと単あたりパーツの機械ロスが大きく、2気筒のほうが中速域で力強く乗りやすいのと、コストが圧倒的に違うので、4気筒は終焉を迎え全社ツインのみとなりました。
しかし2020年、カワサキはその250ccクラスに4気筒ZX-25Rを投入、その衝撃はかなりのものでした。

さすがに言葉を選んでいたので、メーカーの口から、ブン回してカッ飛んでいくバイクのほうが面白い!という言葉は聴けませんでしたが、そういうことなのは説明の必要もないでしょう。
上り勾配のコーナーでは、同じカワサキのNinja250に抜かれるかも知れません……だから何なの?と言わんばかりなのがカワサキ。
熱いファンが多いのも頷けます。

速いから乗る、面白いから乗る、どちらも正解でしょう!

50.0×31.8mmで超ショートストロークの4気筒249ccは、48PS/15,500rpm。そしてレッドゾーンは17,500rpm~で、そこまで回すと悲鳴に近いサウンド……。

そんなピークパワー域を繋いで使い切るのはサーキット走行だけ。でも乗ったら面白い楽しいの連続。さらに意外なほど中速トルクもあって技術の進化を感じさせます。

同社のツイン、Ninja250との出力特性の比較グラグがこちら。そしてメカニズムから2気筒のほうが軽く運動性も良いので、ワインディングだと4気筒より速かったりします。

さらにコスト。エンジンの基本部品が2倍の個数なので、当然オトナ向けという表現になる価格帯です。
ということもあって、爆発的な大ヒットにはなっていません。

趣味の領域にどれが一番はないと思います。

しかしご存じのように、カワサキはZX-4R SE、ZX-4RRも発売と意気盛ん。ベースはZX-25Rで、コンパクトな400ccスーパースポーツが誕生しました。

400ccクラスも4気筒が次々と2気筒に置き換えられてきています。そして実際ツインも進化して、速さに加え乗りやすさでは絶対に優位と思えるレベルにあります。

ZX-4Rはまだ試乗していないので、ツインに比較してどうなのかという評価はできませんが、400だとライディングする幅広い状況で、さすがに最新4気筒の強みはありそうな気がします。
57.0×39.1mmの4気筒399ccは、77PS/14,500rpm(高速で走行ラム圧が加わると80PSまでアップ)のパフォーマンスです。
でもツインのメリットを知り尽くしたライダーなら、充分に渡り合えるかも知れません。

いやいや、どっちが速いは既に意味がないのはおわかりでしょう。どっちも持ち味を活かした開発を個性化することで、その面白さや醍醐味は異なる次元で進化していくからです。
好きなバイクに乗りたいユーザーへ向け、マイノリティであろうと開発して市場へ提供してくるカワサキの姿勢に、またブランドの評価が高まったのは間違いないでしょう。

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