メキシコの沖合に現れたクジラ。頭についたクジラジラミを取り除いて貰うためにホエールウォッチング・ツアーのボートに近づく。ボートに乗ったツアー客は大喜びだったという(画像は『Paco Jimenez Franco 2022年7月16日付Instagram』のスクリーンショット)

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クジラは海洋生物の中でも知能が高いが、そのクジラメキシコの沖合に現れて、ホエールウォッチングのボートツアーにきていた客を驚かせることとなった。クジラは頭についたクジラジラミを取り除いてもらうため、ボートに近づいてきたのだった。動物専門ネットメディア『The Dodo』などが伝えている。

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メキシコのバハ・カリフォルニア半島に位置するオホ・デ・リエブレ湖は海と繋がっている潟湖であり、野生のコククジラの繁殖地として知られている。その湖で先月、ホエールウォッチング・ツアーのボートから撮影された野生のコククジラの動画が多くの人を驚かせた。

動画には、ツアーボートにゆっくりと近づく巨大なクジラの姿が映っており、クジラはボートの縁にいるツアーボートの船長パコ・ヒメネス・フランコさん(Paco Jimenez Franco)の目の前までやってきて、水面から頭を出した。するとパコさんは慣れた手つきでクジラの頭から、クジラに寄生する甲殻類の一種「クジラジラミ」を手で取り除いてあげた。

取り除いた後、パコさんはクジラの口先を「ポンポン」と手で軽く叩くと、クジラは体を回転して向きを変え、別の部分についたクジラジラミをパコさんに見せている。その姿はまるで「ここも取ってほしい」と訴えるかのようで、このクジラの一連の行動にボートに乗ったツアー客は非常に喜んだという。

パコさんは20年もの間、同水域でホエールウォッチングのツアーボートの船長を務めており、実はクジラジラミを取ってあげたのは今回が初めてではなかった。彼はクジラがブリーチングという水面で大きなジャンプをする理由が、クジラジラミを体から振り落とすためという説があることを知り、ある日ボートの近くにきたクジラクジラジラミを取ってあげた。

するとそれ以来、クジラはパコさんのボートに気づくと、クジラジラミを取ってもらうために彼の手の届くところまでやってきて水面から頭を出すようになったという。パコさんは動物専門ネットメディア『The Dodo』のインタビューに応じ、「1回取ってあげたら、彼女(クジラ)はまたやってきたんですよ。だから引き続き取ってあげることにしたんです」と語った。

またパコさんのところには、このクジラ以外にも他のクジラもやって来るようになったという。彼は「もう他のクジラにも何度か取ってあげているんですよ。それは私にとってすごく楽しい時間なんです」と嬉しそうに明かしている。

そんなパコさんは、クジラが助けを求めてくることによって間近でクジラを見ることができることに感謝しているという。クジラをこよなく愛する彼は「クジラの行動を見て、彼らには特別な気高さがあることを学びました。彼らは信じられないほど素晴らしい!」と話している。

なおこの心温まる光景の動画には、視聴者から「人間とクジラがこんな風に交流できるなんて素晴らしい。涙が出たわ」「クジラは知能が高いと言われているけど、助けを求める方法まで知っているんだね」「次回はぜひ大きなブラシを使って、背中を掻いてあげてください!」といったコメントが寄せられている。

『The Dodo』によると、世界中のほとんどの場所で野生のクジラに触れることは禁止されているが、バハ・カリフォルニア沿岸の一部の水域では、パコさんのようにクジラの方から接近して交流を求めるような行動を取ってきた場合は、触れても問題はないとされている。

画像は『Paco Jimenez Franco 2022年7月16日付Instagram』『Jerome Evangelio 2023年3月18日付Facebook「The trust between the grey whales and boat captains at the calving lagoon of Ojo de Liebre in Guerre...」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)