PC需要の低迷、過剰在庫、マクロ経済環境の悪化などを要因に、2022年は1年を通してPC出荷台数が低迷し、記録的な減少率の年になった。その傾向は2023年第1四半期にも継続しており、IDCとCanalysが最新の市場調査報告で同期間の全世界のPC出荷台数を前年同期比29〜33%の減少と推定している。低迷は今年のホリデーシーズン前まで長引く可能性があるが、世界経済の改善が見込まれる2024年には大きく回復すると予測している。

IDCの2023年1〜3月期のPC出荷台数(全世界)の速報値は5,690万台で前年同期比29%減。メーカー別の1位は1,270万台のLenovoで、同30.3%減。トップ5のメーカー全てが大きく減少しており、中でも4位のAppleは同40.5%減の410万台だった。

IDCの2023年1〜3月期の世界PC出荷台数(速報値、単位:百万台)

IDCのJitesh Ubrani氏(リサーチマネージャー)によると、チャネル在庫はここ数カ月で減少しているものの、まだ4〜6週間の健全な範囲を大きく上回っている。9月の新学年シーズンに向けて大規模な値引きを行ったとしても、過剰在庫は中頃から第3四半期まで残る可能性があるという。しかし、年末に向けて世界経済が安定的な上昇に向かい始めれば、教育機関で古くなったChromebookの買い換えや企業のWindows 11へのアップグレードが活発化すると見ている。

Canalysの予測は5,400万台で前年同期比32.6%減。製品カテゴリー別では、ノートPCが前年同期比34%減の4,180万台、デスクトップは28%減の1,210万台。



CanalysのIshan Dutt氏(シニアアナリスト)によると、同社が1月に行った調査で5週間以上のPC在庫を抱えているチャネルパートナーは39%。19%は9週間以上の在庫を抱えていた。インフレ抑制を最優先事項としている米国や欧州、その他の市場における利上げが大きな圧力となって需要が低迷しており、市場の大幅な回復は第4四半期以降になると見ている。

ただし、昨年から今年の減少は反動的な落ち込みであり、COVID-19以降のインストールベースの大幅な拡大、Windows 11への移行、デジタル教育の普及などから、PC市場の規模はCOVID-19禍前よりも大きくなっている。「PC市場は長期的な成長を推進する強力なファンダメンタルを有している」と、年末以降の市場の回復・成長について楽観的な見方を示した。

Canalysの2023年1〜3月期のPC出荷台数予測(単位:千台)