どんな状況でも動じない強心臓の2年生右腕・小宅雅己【写真:中戸川知世】

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慶応の注目選手紹介、初戦は21日・仙台育英戦

 18日開幕のセンバツ高校野球(甲子園)。「THE ANSWER」では5年ぶり10度目の出場となる慶応(神奈川)の注目選手を連日紹介する。第4回は小宅雅己投手(新2年)。森林貴彦監督が提唱する「Thinking Baseball」に憧れて慶応に入学。最大の武器は「打たれることが怖くない」というマウンドさばきにある。(取材・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

 強心臓の2年生右腕が、全国の強打者に挑む。小宅の武器はどんな状況でも動じないマウンドさばき。秋の関東大会、準々決勝・昌平(埼玉)戦は16安打を浴びながら、3失点に留めて120球完投。「メンタルが強いとかではなく、打たれても気にしない。打たれることがそんなに怖くない」。独自の思考でマウンドに立つ。

 181センチの長身からスーっと糸を引く球を投げおろす。中学時代から変化球が好き。自信を持つのは、ダルビッシュ有(パドレス)の動画を参考にキレを磨いてきたスライダー。最速141キロの直球、フォーク、カットボール、チェンジアップと合わせ、5球種を操る。「変化球もストレートもキレで勝負したい。持ち味なので」と自負する球の質に注目だ。

 出身は栃木・宇都宮。慶応を選んだのは、森林監督の著書「Thinking Baseball」を読んだことがきっかけ。中学時代に負った腰椎分離症を抱えて入学。「考えて楽しむ」という慶応らしい環境下で、リハビリもメニューを工夫しながら成長した。故障も癒え、サイド右腕・松井喜一(新3年)と二枚看板に期待されるほどになった。

 今大会で倒したい相手がいる。地元・栃木から関東大会8強の作新学院と21世紀枠・石橋の2校が出場。2校にはかつて対戦した選手や仲の良い選手も在籍する。「戦いたい。地元ですけど、倒したいし、投げ勝ちたい」。初戦の相手は仙台育英(宮城)となったが、甲子園で“再会”するまで勝ち進む覚悟だ。

 センバツ出場が決定した後、中学時代に所属したチームの監督に挨拶に行くと「なかなか行けない舞台だから頑張ってこいよ」と励まされ、力をもらった。「三振も取るし、打たせたい場面は打たせる。臨機応変に対応できれば」。勝負は熱く、心はクールに。持ち前のマウンドさばきで勝利に導く。

(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)