高くても欲しくなる!? 2022年にギークの物欲を刺激したハイエンドスマホ5選
【2022年人気アイテム総まとめ】
各社が最先端の性能を競うフラッグシップモデルは、2022年も着実な進化を遂げました。特に進化が顕著なカメラは、高画素モードやRAWで撮影したりもでき、動画撮影時も細かい設定ができるようになってきました。もはやカメラの知識がないと使いこなせないレベルに達しています。しかし、AIの恩恵もあり、知識がなくても快適に使えて、キレイな写真が撮れることがハイエンドの利点とも言えます。
そんなハイエンドモデルの価格は、高性能化にともない高くなる傾向があり、今や10万円超えが当たり前で、20万円を超える機種も増えつつあります。製造・流通コストの上昇や円安の影響で、今年はさらに値上がりの傾向が強くなりました。
そうした状況の中、スマホの買い方にも変化が見られました。従来使っていた機種を下取りに出したり、中古ショップに売ったりして、新機種の購入費に充てる人が増えているとのこと。グーグルがGoogle Pixel 7の発売を機に、対象機種の下取りと次回以降に使えるストアクレジットによって、実質0円から購入できるキャンペーンを実施したことも話題になりました。
工夫次第では、実質的な購入費を抑えることもできるハイエンドスマホ。ここでは、2022年にギーク層に支持されて、ほぼ全ての機種に触れている筆者の物欲も刺激した5台をピックアップしてみました。
1. 仕事にも遊びにも使い倒せる万能モデル
グーグル
「Google Pixel 7 Pro」(12万4300円/SIMフリー128GB)
▲6.7インチの大画面ディスプレイを搭載する「Google Pixel 7 Pro」
今年の日本のスマホ市場で最も存在感を示したのは「Google Pixel」シリーズでしょう。最新フラッグシップの「Google Pixel 7/7 Pro」の発表時には、CEOのスンダー・ピチャイ氏が来日。新製品のプレゼンテーションのみならず、日本への大規模な投資を行うことも発表されました。
Pixel 7とPixel 7 Proはどちらも最新のチップセット「Tensor G2」を搭載するハイエンドモデルですが、機能・スペックにはかなり差があります。「とにかく最先端で高性能なモデルを使いたい」という人はPixel 7 Proが一択。
Pixel 7 Proは6.7インチの大画面ディスプレイを搭載し、解像度は3120×1440で、リフレッシュレートは最大120Hz。一方、Pixel 7は6.3インチ、2400×1080、90Hzなので、動画やゲームを楽しむにはPixel 7 Proが有利です。
▲左がGoogle Pixel 7、右がGoogle Pixel 7 Pro
カメラは、Pixel 7とPixel 7 Proのどちらも広角(5000万画素)と超広角(1200万画素)を搭載していますが、Pixel 7 Proには、さらに望遠カメラ(4800万画素)が搭載され、光学ズームは5倍、超解像ズームは最大30倍で撮影できます。30倍で撮っても、さほど画質は粗くならないので、望遠で撮るには今のところ最強のスマホと言って差し支えないでしょう。
▲5000万画素をメインとするトリプルレンズカメラを搭載
音声でもテキストでも瞬時に翻訳してくれる「リアルタイム翻訳」や、自動文字起こしができる「レコーダー」が使えることもPixelの利点。同時にリリースされた「Google Pixel Watch」ともスムーズにペアリングできます。電池持ちも前モデルから改善されており、仕事にも遊びにもフル活用できる万能モデルへと進化した印象です。
2. 邪魔なノッチが「Dynamic Island」に進化!
アップル
「iPhone 14 Pro」(14万9800円/SIMフリー128GB)
▲左が6.7インチ画面の「iPhone 14 Pro Max」、右が6.1インチ画面の「iPhone 14 Pro」。ディスプレイ以外の基本スペックは共通
iPhoneのフラッグシップモデルは、「iPhone 11 Pro」にトリプルカメラが搭載されて以降、進化は小幅な印象がありました。しかし、9月に発売された「iPhone 14 Pro」は久しぶりに “モデルチェンジ” と呼べる進化を果たし、高額ながらも売れ行きが好調のようです。
最も顕著な進化は「Dynamic Island」。ディスプレイの上にあったノッチが、小さな浮島のようになり、ただカメラやセンサーを隠すだけではなく、そこを通知スペースとして使い、島の形状が変化するギミックも取り入れました。これまで、iPhoneのノッチは「大きすぎる」「邪魔」と言われることが多かったのですが、それを逆手に取って、有効に使えるように進化させたわけです。
▲音楽再生時にDynamic Islandを長押しすると操作パネルが表示される
次に注目すべきはカメラ。従来は12メガピクセルのトリプルカメラでしたが、メインの広角カメラが48メガピクセルに進化。4つの画素を1つの大きな画素として多くの光を取り込んだり、画素をフルに使って実質的に光学2倍で撮影したりできるようになりました。なお、前モデルと同じく超広角カメラと光学3倍の望遠カメラも備えていて、最大15倍のデジタルズームで撮ることもできます。そしてビデオ撮影時には、手ブレを抑えてなめらかな映像が撮れる「アクションモード」も利用できます。
▲0.5倍、1倍、2倍、3倍をワンタップで切り替えられるのが便利
さらに、ディスプレイの常時点灯、衝突事故検出などの機能が追加され、日本ではまだ使えませんが、衛星経由で緊急SOSを送信できる新機能も追加されています。
iPhone 14 Proの画面サイズは6.1インチで、より大きい6.7インチのiPhone 14 Pro Maxも選べます。従来、Maxはただ画面が大きいだけでなく、カメラのスペックが若干高いなどの優位性がありましたが、iPhone 14 Proと14 Pro Maxはディスプレイ以外のスペックは共通。シンプルに好みの画面サイズで選べるようになりました。
3. 使いやすさに磨きをかけたフォルダブルの完成形
サムスン電子
「Galaxy Z Fold4」(24万9700円/ドコモ、24万9960円/au)
▲開くと約7.6インチの大画面を使えるGalaxy Z Fold4
サムスンが折りたためるスマホ「Galaxy Fold」を発売してから3年が経ちました。価格が高いこともあり、まだ使っている人は多くはありませんが、ギーク層を中心に「一度使ったら手放せない」というファンが増えているようです。
9月に発売された4世代目の「Galaxy Z Fold4」は、一見、前モデル「Galaxy Z Fold3 5G」からの進化点は少なそうですが、実際には細かい部分を改良し、使い勝手に磨きをかけられた1台です。
最大の特徴は、閉じた状態では約6.2インチの縦長のディスプレイを、開くと約7.6インチの大画面ディスプレイを利用できること。2つのディスプレイのインチ数(対角線の長さ)は前モデルと同じですが、画面アスペクト比が変更されました。閉じた状態で使うディスプレイは横幅が少し広くなったことで一般的なスマホの画面比率に近くなり、メインディスプレイは正方形に近くなったことで縦向き・横向きのどちらでも使いやすくなっています。使いたい機能を素早く起動できる「タスクバー」が追加されたことも利点。前モデルに引き続き、Sペン(別売)にも対応しており、タブレットの感覚で使うこともできます。
▲閉じた状態ではフツーのスマホの感覚で使える
▲メインディスプレイには、画面下に便利なタスクバーが表示できるようになった
カメラは前モデルと同じ3眼ですが、メインの広角カメラが約1200万画素から約5000万画素に進化。望遠カメラも光学2倍から光学3倍へと進化を果たしています。
▲約5000万画素をメインとするトリプルカメラを搭載
ヒンジをスリムにすることで前モデルよりも軽量化したことも特徴。閉じた状態での厚さは約14.2mm、重さは約263gで、前モデルからわずかに薄く軽くなった程度ですが、実際に手にするとスペック以上に軽く、持ちやすく感じること請け合い。形状と重さのバランスがよく、より使いやすい端末へと進化した印象です。
4. 2億画素カメラと120Wの超急速充電が魅力
シャオミ
「Xiaomi 12T Pro」(10万9800円/SIMフリー)
▲6.7インチの有機ELディスプレイは、120Hzの高リフレッシュレートに対応
シャオミは2019年12月の日本参入以来、ミドルレンジのスマホをリリースしてきましたが、今年はラインナップを拡張し、ハイエンドモデルも投入。12月16日に発売されたばかりの最新モデル「Xiaomi 12T Pro」は、3つの強みを持つハイエンドモデルです。
1つ目は、約2億画素をメインとするトリプルカメラ。初期設定では16個の画素を1つの大きな画素として使って、光を効率よく取り込む仕組み。撮影した画像は12.5メガピクセルで記録されます。4つの画素を1つにする50メガピクセル、全ての画素で撮影する200メガピクセルでも撮影でき、遠くにあるものを200メガピクセルで写して、拡大して確認するといったこともできます。
▲約2億画素をメインとするトリプルカメラを搭載
2つ目は、ソフトバンクが “神ジューデン” と宣伝している超急速充電。5000mAhの大容量バッテリーを搭載し、120Wでスピーディーに充電できることが利点。シャオミによると、残量2%から100%まで約19分で充電できるそうです。
▲面白いくらいスピーディに充電できることも魅力
3つ目は、現行機種向けとしては最高峰のプロセッサー「Snapdragon 8+ Gen1」を搭載していること。どんなアプリでもサクサクと操作でき、グラフィックに凝ったゲームも軽快にプレイできること請け合いです。
Xiaomi 12T Proは、15万円以上でもおかしくない仕様ですが、SIMフリーモデル(128GB)は10万9800円で、MVNOによってはさらに安く購入できる場合もあります。ソフトバンク版(256GB)は14万3280円ですが、48回払いで購入して2年後に端末を返却する「新トクするサポート」を利用すると、実質7万1640円で入手可能。コスパを重視する人におすすめしたいモデルです。
5. 小型×高性能で、アクションカムとしても使える
ASUS
「Zenfone 9」(9万9800円/8GB+128GB)
▲最も安い8GB+128GBモデルは4色から選べる
今年印象に残ったハイエンドスマホとして、最後に挙げたいのは「Zenfone 9」。5.9インチの有機ELディスプレイを搭載するコンパクトなモデルで、高性能プロセッサー「Snapdragon 8+ Gen 1」を搭載しているので、片手でサクサクと操作できます。小型のハイエンドは希少な存在。それだけでも購入の決め手になりそうですが、Zenfone 9は、さらに大きな特徴を備えています。
▲コンパクトで片手で操作しやすいことが利点
Zenfone 9は広角(5000万画素)+超広角(1200万画素)のデュアルカメラを搭載し、広角カメラには「6軸ハイブリッドジンバル」が搭載されています。ジンバルとは、カメラを取り付けて、動きながら撮影する際に生じるブレを軽減する装置。その機構がカメラ内部に搭載されているわけです。つまり、高価でかさばるジンバルを使わずとも、手持ちでブレを抑えた滑らかな映像が撮影できる趣向です。
バックパックに取り付けられるASUS純正のホルダー(別売)が用意されていますが、コンパクトなので自転車やヘルメットなどにも固定しやすく、アクションカムとして使うこともできそう。動画を撮ることが多い人は選択肢に加えることをおすすめします。
▲別売の「Zenfone 9 Smart BackPack Mount」は9980円。登山時などにハンズフリーで撮影可能
Zenfone 9は大手キャリアが取り扱わないSIMフリーモデルですが、おサイフケータイとIP68の防水・防塵にも対応。ハイエンドモデルの中では比較的安いことも魅力です。
■2023年に期待したいハイエンドモデルは…
5選からは外れたものの、2022年は魅力的なハイエンドモデルが多数登場しました。85mm〜125mmの光学ズームを実現したソニーの「Xperia 1 IV」や、ライカ監修のカメラを搭載し、撮影性能を大幅に進化させたシャープの「AQUOS R7」、ゲーミングに特化して、ショルダーボタンやクアッドスピーカーを搭載したシャオミの「POCO F4 GT」なども、それぞれ唯一無二の特徴を持っています。
スマホのスペックは、すでに高止まりの傾向にあり、端末価格がこれ以上高くしても売りにくくなるのが実情です。2023年は、ユーザーのマニアックな欲望を満たしてくれる個性的なハイエンドスマホが増えることを期待したいですね。
<文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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