AppleがM2 Ultra2枚分の超ハイスペックチップ「M2 Extreme」の製造をキャンセル、Mac Proは中国ではなくベトナムで生産される可能性
Bloombergの記者でありApple関連のリーク情報でおなじみのマーク・ガーマン氏が、Appleが計画していたApple Sillicon「M2」シリーズの最上位モデルとなる「M2 Extreme」の製造をキャンセルしたと報じています。
When Will Apple (AAPL) Release the Apple Silicon Mac Pro With M2 Ultra Chip? - Bloomberg
Apple reportedly prepping multiple new external displays
https://9to5mac.com/2022/12/18/apple-multiple-new-external-displays-in-development/
Gurman: Apple cancels plans for high-end ‘M2 Extreme’ chip, but new Mac Pro will retain expandability options for RAM and storage
https://9to5mac.com/2022/12/18/gurman-apple-cancels-plans-for-high-end-mac-pro-with-m2-extreme-chip-m2-ultra-mac-pro-still-planned/
Bloombergが、Apple Silicon搭載の新しいMac Proの製造が予定よりも遅れていることを報じました。この遅れはAppleがMac Proに搭載するチップの製造計画を変更したためだとガーマン氏は指摘しています。
Appleは2020年にApple Siliconを発表した際、Intel製チップからApple Siliconへの完全移行には2年がかかると言及していました。この発表からすでに丸2年以上が経過しており、Appleが提供するハイエンドモデルMacの「Mac Pro」にはApple Silicon搭載モデルがまだ存在しないことから、ガーマン氏は「AppleがApple Siliconへの移行にかかるとした期限を過ぎてしまったことは明らか」と指摘。
そんなAppleは、Mac ProとM2 Proチップを搭載したMac miniの開発を進めているとガーマン氏。しかし、Mac Proのリリースは「複数機能の変更」「搭載チップの大幅変更」「製造地が移転する可能性」などにより大幅に遅れることになっているとのこと。
Appleは当初、新モデルのMac Proを開発する際に、M1チップを搭載することを計画していたそうです。この計画では、M1 Max2枚分に相当するチップと、M1 Max4枚分に相当するチップを搭載した2つのモデルを計画していた模様。
ただし、「M1 Max2枚分に相当するチップ」はM1 UltraとしてMac Studioに採用されることとなります。このタイミングで、AppleはMac Proに搭載するチップを次世代のM2シリーズにすることに決めたため、Mac Proのリリース時期は当初の計画よりもかなり遅れることとなった模様。
その後、AppleはMac ProにM2 UltraとM2 Ultra2枚分という驚異の構成となるチップを搭載することを計画していたとガーマン氏は指摘しています。このM2 Ultra2枚分に相当するチップを、ガーマン氏は「M2 Extreme」と呼んでいます。
まだ未発表のM2 Ultraのスペックについて、ガーマン氏は「最大24コアのCPU、76コアのGPU、192GBのメモリ」と言及しています。
The new Mac Pro will run the M2 Ultra with up to 24 CPU cores, 76 GPU cores and 192GB of RAM, but Apple has scrapped an M2 Extreme chip that would have doubled that on cost and production concerns. https://t.co/Dn9xRnVlgo— Mark Gurman (@markgurman) December 18, 2022
ただし、AppleはM2 Extremeの製造計画を廃止したとガーマン氏は指摘。M2 Extremeが廃止された理由は、「M2 Max4枚分というチップを製造することの複雑さとコストにある」とガーマン氏。また、M1 Ultraを搭載するMac Studioは最大93万9800円もすることを考えると、M2 Extremeを搭載するMac Proがより高価になることは明らかであり、それだけ高価なモデルに対する需要にAppleは確信を持てなかったのではと指摘されています。
M2 Extremeの搭載が取りやめられることとなったMac Proですが、M2 Ultraを採用し、メモリやストレージなどのコンポーネントを簡単に追加できる拡張性を特徴とする可能性があるとガーマン氏は述べています。
なお、新型Mac miniはM2およびM2 Proを搭載したモデルが用意され、新しい14インチMacBook Proと16インチMacBook Proは、M2 ProとM2 Maxを搭載したモデルが用意されるとのこと。加えて、AppleはApple Silicon搭載のiMac Proも計画していますが、このマシンもMac Proと同様の理由でリリース時期が遅れているとガーマン氏は指摘しています。
これに加えて、Appleは2019年に発売された6Kディスプレイ「Pro Display XDR」のアップデートを含み、複数の外部モニターの開発にも取り組んでいるとのこと。これらの外部モニターの開発はMacよりも進んでいるため、新型Mac Proと一緒にリリースされる可能性が十分にある模様。これらの開発中の外部モニターはStudio Displayと同様にApple Siliconを搭載する予定で、モニターがMacのリリースにあまり依存しないよう設計されているとのことです。
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さらに、AppleはMac Proの製造地にも大きな変更を加える模様。少なくともアメリカの顧客向けのMac Proは、主要な内部部品や電源、本体などのパーツは中国で製造し、アメリカ・テキサス州オースティンにあるFlexの工場で組み立てることになるとのこと。AppleがMacの組み立てをアメリカで実施するのはドナルド・トランプ元大統領からの圧力を受けたためでした。
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圧力をかけてきたトランプ氏はすでに大統領を退任しているため、AppleはMac Proの組み立てだけをアメリカで行うというプロセスについても見直しを進めています。しかし、中国で製品の製造から組み立てまですべて行うというわけではなく、ベトナムに生産拠点を移すことをAppleは計画している模様。ベトナムではすでに一部のAirPodsが製造されており、近いうちにMacBookやApple Watchの製造も行われることになるとガーマン氏は指摘しています。