シンガーソングライターのiriが「メルセデスAMG SL」とコラボレーションしたニューシングル「friends」を10月26日(水)に配信リリースした。アップリフティングなトラックに乗せた息もつかせぬ圧倒的なボーカルは、世の中のモヤモヤした空気や停滞感をしなやかなに打ち破る爽快感に溢れている。

今回のインタビューでは、楽曲の制作エピソードから、10月13日(木)に行われた東京国際フォーラム ホールAでワンマンライブについて、さらにiriをはじめ(sic)boy、BIM(BAND SET)、Yogee New Waves、Mega Shinnosukeが出演する11月12日(土)になんばHatchにて開催されるライブイベント「MAGIC HOUR VOL.01」出演について話を訊いた。

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―10月13日(木)にご自身のキャリア最大規模の会場となる東京国際フォーラム ホールAでワンマンライブ「iri Presents ONEMANSHOW”STARLIGHTS”」が行われました。新曲「friends」のライブ映像で拝見しましたが、お客さんがギッシリでしたね。

iri:そうですね、たくさん来ていただいて。「friends」はアンコールで初お披露目だったので、みんなビックリしてました。

―ライブ自体はいかがでしたか? これまでで一番大きな会場だったわけですけども。

iri:ワンマンであそこまで大きい会場は初めてでしたし、ホールということもあって音の鳴り方が今までやってきた会場とはまったく違ったりして、むずかしいなあと思うこともありました。ただ、過去最大規模のワンマンっていう自分にとってすごく特別なライブだったので、みんなに楽しんでもらえるように色々準備して臨んで、ステージで全部出し切った感じでした。ちょっと数日間は、興奮冷めやらぬというか(笑)。余韻がすごかったです。

―最近、音楽業界はコロナ禍で止まっていたライブが活発に再び動き出していますよね。観客側からすると、声は出せないにせよライブの楽しみ方としては以前と遜色ないような気がしているのですが、ステージに立っているiriさんはどんな気持ちで歌っているのでしょうか。

iri:まだみなさん、歌ったりリアクションしたりできないですけど、例えば私がMCで何か呼び掛けたときもこうやって(両手で大きな丸を作りながら)応えてくれたりとか、拍手で応えてくれたりとかしてくれるんです。そういう風に変わっていってますし、周りにいる同じファンのみなさん同士、すごく思いやりがあって良いなと思ってるんです。

―ファンの方同士が思いやっている?

iri:ほとんどの人は気を遣い合って楽しんでいる感じはありましたし、発声できない分、踊ったりとかできることで思い切って楽しんでいる様子はステージからもよく見えました。だからあまりもう違和感はないです。

―「friends」はアンコールで初披露されました。これは文字通りお友だちについて歌った曲なんですか?

iri:この曲は「メルセデスAMG SL」とのタイアップ曲ということで、”開放感”とか”アーバン”、”情熱”とか、色んなキーワードがある中で、どういう曲にしようか考えてたときに、たまたま友だちと仕事の話とかをしていたんです。その話の中で、抜けきれない感じ、停滞している感じ、「なんかモヤモヤしてるよね」って友だちと言い合っていて。そういう友だちの想いも汲みながら、今の自分の心境も合わせて書いて行きました。この前のワンマンのときもファンのみなさんにお話ししたんですけど、みなさん人それぞれ、なかなか抜け出せないシーンもあると思うので、そういう場面で聴いて欲しいなって思います。

―そんな状況のときこそ、〈僕らシャイな時ほど 壊れちゃいな いっそもう〉みたいな気持ちでいようというメッセージを込めている?

iri:はい、曲を書いたときはそういうマインドでした。

―タイアップ曲を作るときは「こういうイメージで」というキーワードを渡されることが多いのでしょうか。

iri:タイアップによっては、「こういうワードを入れてください」ということもありますね。でも今回はそういうことはなくて、若い世代には敷居が高いイメージの「メルセデスAMG SL」という高級車を、憧れだけじゃなくてもっと若い人にも乗って欲しいという思いがあるということを、メーカーの方からお聞きしたんです。そういうことも想像したりしながら、自分なりに表現しました。

―MVも拝見しましたが、運転席に座っているシーンもありますよね。車は運転されるんですか?

iri:じつは、免許を取ってる最中なんです(笑)。なので動いてはいなくて、運転席に座ってるだけなんですけど。

―そうなんですね。免許取得中にいきなりベンツの運転席に座ってしまうという(笑)。

iri:そうなんですよ(笑)。機能がたくさんあって、ボタンがいっぱい付いていて「すごいなあ」ってただただ見てました。

―MVでは背後で多くの人が踊っていますけど、どういうイメージで作られたのでしょうか。

iri:まず、車を使ってどう撮影するかという監督のイメージが軸にありました。今回の曲「friends」に関して自分では、「友だちを巻き込んで一緒に進んで行こうよ」みたいな曲という認識ではなくて、どちらかというと友だちに向けてメッセージを伝えているという曲になっているんです。なので、1人1人の想いがしっかりあるMVにしたいという気持ちはありましたね。

―トラックプロデュースはgrooveman Spotさんが手掛けていらっしゃいますが、ご一緒に制作されるのは久しぶりなんですか?

iri:そうなんです。前回が「cake」(2019年の3rdアルバム『Shade』収録)という曲を一緒に作らせていただいて。メルセデスさんの資料をいただいたときに、「これはgrooveman Spotさんだ」ってすぐ浮かんだんです。それですぐオファーして参加していただきました。

―編曲と、作曲はiriさんと共作となっていますが、曲を作る上でどんなやり取りをされたのでしょうか?

iri:タイアップ曲としてのイメージと方向性みたいなものは最初に共有しました。ただ、grooveman Spotさんも地方に住んでいらっしゃって(仙台在住)、実際に会って打ち合わせする時間もあまりなかったので、「こうしよう、ああしよう」という話はあまりしなかったかもしれないですね。もう、「たぶんわかってくれるな、これは」みたいな(笑)。そしたらやっぱり、「ああ、こういう感じです」っていう曲になっていました。

―曲の意図を汲んで作ってくれたわけですね。サウンドには、リバーブがかかったギターとか、ちょっと懐かしいような雰囲気も感じました。

iri:前の「cake」もそうなんですけど、わりと同じ匂いのするトラック、サウンドなんですよね。ビートもタイトで、そんなに複雑なトラックじゃなくて、シンプルですっきりしていて、品があって。だけどちょっと懐かしさもあってっていう、grooveman Spotさんのバランス感覚というか。私のイメージの中の、grooveman Spotさんが作るトラックがこういう感じなんです。持ち味がそのまま出ていると思います。

―それにしても、このメロディラインってラップパートも含めて息もつけないぐらいにたたみかけて行くのがすごいですよね。相当、ボーカルのテクニックもいるんじゃないですか?

iri:私もレコーディングしていて「これ、どこで息継ぎするんだろう?」って思ったんですけど(笑)。サビに向かってたたみかけていく疾走感と気持ち良さと、流れみたいなものがスムーズでカッコイイので、”歌い上げる”というよりはみんなで揺れながら歌って踊るような曲かなっていうのは、この前のワンマンライブで歌ってみて思いました。レコーディングでその前から歌っていたというのもあるんですけど、何か初めてライブで演奏したような気がしなかったというか、リハーサルの時点で1回通して「あ、もう大丈夫だ」みたいな安心感が不思議とあったので、体にも馴染みやすいサウンドだなという気はしました。

―2022年11月12日(土)になんばHatchにて開催されるライブイベント「MAGIC HOUR VOL.01」への出演について訊かせてください。「ヒップホップやR&B、ジャズやJ-ロックなどのジャンルをクロスオーバーさせたイベント」というテーマでアーティストがラインナップされていますが、iriさんは普段活動する上で、音楽のジャンルって意識していますか?

iri:「iriさんのジャンルって何ですか?」って訊かれると、結構困っちゃう感じはあるんですけど、自分のルーツみたいなものは、ブラックミュージックとか、両親が聴いていた曲とか、色んな音楽があって、それが混ざり合って今自分の曲が出来ているのかなっていう気がするので、ジャンルという意味ではあんまり意識していないですね。

―ということは、”ジャンルのクロスオーバー”というのは、以前からiriさんご自身の中にあるという感じですか。

iri:はい、そんな感じだと思います。

―もともと、ジャズバーでの弾き語りからミュージシャンとしてスタートしているんですよね。

iri:そうです。ジャズバーとかカフェみたいなところで、1人で小さいスピーカーを置いて弾き語りをしていたところから始まりました。学生の頃からJ-POPとかいろいろ聴いてきましたし、もともと「絶対ヒップホップがいい」とか「絶対R&B」とかっていうことはなくて、ロックも好きだったし、嫌いなジャンルとかはないですね(笑)。良いなと思った音楽はジャンルを問わず好きで、色々聴きながら活動していました。

―今回のイベントには、ラッパーもバンドマンもいますが、これまで共演した方っていらっしゃいますか?

iri:ヨギー(Yogee New Waves)は対バンしたことあります。BIM君はフェスやイベントとかでご一緒したことはあると思うんですけど、まだ直接お会いしたことがなくて。今回はBAND SETということですごく気になります。

―こういう他のアーティスのファンもお客さんにいるシチュエーションって、普段のライブとはだいぶ気持ちも違いますか。

iri:だいぶ違うと思います。それに、会場によっても違いますね。野外フェスなのか屋内なのかでテンションも変わったりします。でも、今回のラインナップはわりと聴いてくれている方が世代的に近いんじゃないかなと思うし、界隈的にも近いと思うんです。なので、アウェイな感じにはならなそうだし、楽しそうだなって思います。

―iriさんがライブ中に一番テンションが上がる瞬間ってどんなときでしょうか?

iri:私、聴いている方々の動きとか表情とかめちゃくちゃ見るんですよ。この間の国際フォーラムとかもそうでしたけど、会場が広くてもステージからは良く見えるんです。お客さんの様子を見ながら、それにまた刺激されてパフォーマンスが変わったり、モチベーションが上がったりすることが結構あるので。今回のイベントはどんなノリなのか楽しみです。

―国際フォーラムのワンマンライブのときは、お客さんのどんなところに刺激を受けましたか?

iri:国際フォーラムで踊ってるライブってあんまり観たことがなくて。椅子もあるしゆったり聴けるので、わりとみんな手を上げるぐらいだと思うんですけど、この前のライブではみんな結構自由に踊っていたので、そういう姿を見ると自分も開放されますね。私がパフォーマンスして、そこにみんなが乗っかって自由に踊って、みんながノッてるのを見て私も乗っかるみたいな(笑)。

―相乗効果があるんですね。今回のイベントの見どころや楽しみにしていることは他にありますか。

iri:今の時点でまだセットリストは決めていないんですけど、「friends」はやる予定なので、楽しみにしていて欲しいです。あとの曲はこれから考えます(笑)。

―今年ももう残り2ヵ月ほどですが、今後の活動についてはどんなことを考えていますか?

iri:新曲をやっと色々作り始めた感じです。前回のアルバムでも、Yaffle君だったりとかずっと同じ国内のトラックメーカーさんと一緒にやっているんですけど、今回はあんまり自分の音、iriというアーティストをあまり知らない人と一緒に曲を作ってみるのも面白いなと思っていて。今まではどちらかというと、自分をわかってくれているトラックメーカーさんと一緒に作りたいという思いが強かったんですけど、その真逆の全く知らない海外のトラックメーカーさんと曲を作るチャレンジも今しています。そういうことが良い方向に進んで行けば、新しい歌詞だったりフロウだったり面白い楽曲が出来ていくんじゃないかなって思っています。

―ちなみに、音楽以外のことで刺激を受けていることって何かありますか?

iri:最近は、派手なものにハマっていて(笑)。今まですごくシンプルだったんですけど、長いネイルをしてみたりとか、ギャル系の(笑)。ファッションとかモノとかなんでもそうなんですけど、そういう派手なものは気持ちがアガるというか。

―意外ですね(笑)。派手なものを身に付けることで自分が開放される方向に、自ら持って行くということですか?

iri:そういう感じだと思います。「気持ちが違うんだなあ」と思って(笑)。

―では、イベントについて改めてひと言お願いします。

iri:出演者のラインナップが、対バンしてそうでしていないような、あんまり観ることがない組み合わせだと思います。BIM君はラッパーだし、ヨギーはバンドだし、私はソロの女性アーティストだったり、みんな色々違った感じなので、それぞれの違ったグルーヴも感じてもらえたらと思います。あと、新曲「friends」を楽しみにしていてください。

<リリース情報>



iri
「friends」
配信日:2022年10月26日(水)
配信サービス一覧URL:https://jvcmusic.lnk.to/iri_friends

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<イベント情報>

MAGIC HOUR VOL.01
2022年11月12日(土)なんばHatch
開催時間:開場/開演:16:00/17:00 ※変更可能性あり
チケット代:5,980円(税込)
出演:iri / BIM(BAND SET) / Mega Shinnosuke / (sic)boy / Yogee New Waves
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/38253
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