左から長瀬広美さん(紅花農家)、今井美樹、佐藤広一監督(提供写真)

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 3日、歌手・女優の今井美樹が、東京・ポレポレ東中野で行われた、ドキュメンタリー映画『紅花の守人 いのちを染める』の公開記念舞台あいさつに、佐藤広一監督と紅花農家の長瀬広美さんと共に登壇し、スタジオジブリの人気アニメーション映画『おもひでぽろぽろ』がつないだ、映画との縁について語った。

 『紅花の守人』は、『世界一と言われた映画館』などを手掛ける佐藤監督が、利便性から遠く離れた紅花文化を守り継ぐ人々の姿を、4年の歳月をかけて記録したドキュメンタリー。染料の原料となる紅花の栽培を続ける山形県の小さな農村で、伝統を守るために昼夜を問わず尽力する人たちの姿を追う。

 本作のナレーションを務めた今井は、「色んな不思議なご縁があって、この作品に参加させて頂くことになりました」と笑顔。佐藤監督は「映画にも登場する紅花畑から『おもひでぽろぽろ』のモデルにもなった山形県の高瀬地区は、車で数分で行ける距離で。印象がすごく強いんです。なので、ナレーションは『おもひでぽろぽろ』で紅花農家に手伝いにいくタエ子の声を演じた今井美樹さんしかいないと思い」と今井にナレーションを依頼した経緯を明かした。

 オファーを受けた当時、今井はイギリス・ロンドンにおり「コロナの影響で厳しいロックダウンもあったりして、日本の行き来もできなくなってしまっている、そんなときにお話を頂いて、紅花の映画のナレーション? どうして私なんだろう? と思った瞬間に、あータエ子ちゃんね! と思いまして、タエ子ちゃんがこの映画に私をひっぱってくれたんだなと思いました」と振り返る。そのうえで、完成した映画について「『おもひでぽろぽろ』の中でも、情景としてものすごく美しい紅花畑の景色とか、色んなものが映像として頭に浮かんでくるんですね。それが、現実の監督が撮られた映像とシンクロして、アニメーションが実写のように美しく、今でも続いているんだというのが本当に感動的でした」と絶賛した。

 第2次世界大戦で消失の危機に瀕していた紅花は、わずかに残っていた種から生産が再開されたという。今井は「あそこで種がなかったら途絶えていたんだと思うと、鳥肌が立つ。続けていくという大変さと意味合いというのが、この作品の大切なテーマとして記録されているので、映画化されたことによって、これから先の人たちも見ることができる、知ることができるというのが、素晴らしいなと思う」と熱く語り、佐藤監督は、「今井さんは紅花のミューズ」と感極まった様子だった。

映画『紅花の守人 いのちを染める』はポレポレ東中野ほかにて全国順次公開中