米国時間2022年5月5日にリリースされたWindows 11 Insider Preview ビルド22616の公式ブログを眺めていると、改めてOOBE(Out-Of-Box Experience: 箱からPCを取り出した状態)プロセスでMicrosoftアカウントの必須化をうたっていた。ビルド22557の時点でアナウンスされている。

執筆時点で最新のビルド22598のISOファイルで、Windows 11 Proのインストールプロセスを確認したところ、ネットワーク接続環境がないPCではアカウント作成が不可能だった。

Hyper-Vの仮想マシンでネットワーク接続を無効にしてOOBEプロセスを進めてみたが、アカウント作成段階で詰まった

つまり以前の"ネットワーク接続を遮断してローカルアカウントを選択"する方法は使えない。そこで現在明らかな回避方法をいくつか試したい。それが「BypassNRO.cmd」を使う方法である。まずは手順から紹介したい。

○「BypassNRO.cmd」で作成ステップが現れた

最初のOOBEプロセスで「Shift」+「F10」キーを押してコマンドプロンプトを起動し、「oobe\BypassNRO.cmd」と入力して「Enter」キーを押す

そのままプロセスを進めると、今度は「インターネットに接続していません」という選択肢が現れるので、こちらをクリック/タップする

続いて「制限された設定で続行」をクリック/タップする

ローカルアカウントの作成ステップが現れた

BypassNRO.cmdの内容を確認すると、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\OOBEキーにDWORD値「BypassNRO」を作成して、データを「1」に書き換えてからPCを再起動している。

「BypassNRO.cmd」の内容

○「ネットワーク接続フロー」強制終了はダメだった

「ネットワーク接続フロー」プロセスを強制終了して、ローカルアカウント作成手順に進める手法は今回通用しなかった。先の環境で以下の操作を進めても、冒頭で提示した段階で詰まってしまう。なお、同プロセスが起動するのはネットワーク接続をうながされる段階だ。

コマンドプロンプトを起動してから「taskmgr」と入力して「Enter」キーを押し、タスクマネージャーを起動する。こちらの方法ならタスクマネージャーがバックグラウンドに回って呼び出せないトラブルを回避できる

ネットワーク接続プロセスまで進むと、バックグラウンドプロセスグループに「ネットワーク接続フロー」が現れる。こちらを右クリック/長押しし、「タスクの終了」をクリック/タップする

ネットワーク接続への再接続をうながされるため、「再試行」をクリック/タップする

こちらもアカウント作成手順で詰まってしまう

再び仮想マシンのネットワークアダプターを有効にした状態でOOBEプロセスを検証してみたが、今度は「ネットワーク接続フロー」が起動しない。Windows 11 Insider Previewの検証なので、Windows 11 バージョン22H2でどのように変化するか不明だが、本稿執筆時点ではBypassNRO.cmdを使用した方が確実である。

ネットワークアダプターを有効にした状態のバックグラウンドプロセス。「ネットワーク接続フロー」の存在は確認できない

著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。 この著者の記事一覧はこちら