Googleが、ハーバード大学のエリス・モンク教授と共同で肌の色調を10段階にまとめた「モンク・スキン・トーン(MST)スケール」を発表しました。このMSTスケールは2022年中にさまざまなGoogle製品に組み込まれる予定です。

A closer look at the research to help AI see more skin tones

https://blog.google/technology/research/ai-monk-scale-skin-tone-story/

Improving skin tone representation across Google

https://blog.google/products/search/monk-skin-tone-scale/

Googleは2021年にPixel 6のカメラとAIによる画像処理で、さまざまな肌の色を美しく撮影するための機能「リアルトーン」を発表しました。2021年4月に公開されたリアルトーンの紹介ムービーが以下。

Google Pixel 6 : リアルトーン - YouTube

このリアルトーンをさらに進化させるべく、Googleがモンク博士と共同で開発したのがMSTスケールです。モンク博士は肌の色とカラリズムが人々の生活にどのような影響を与えるかを10年以上にわたって研究してきたそうで、その研究の集大成であるMSTスケールは肌の色を10段階で評価するスケールとのこと。



これまで肌色の色調をコンピューター上で処理するためには、1975年に皮膚科医のB・フィッツパトリックがまとめた「フィッツパトリック・スケール」が用いられてきました。このフィッツパトリック・スケールは6段階の色調で肌を評価するもので、人種や民族ではなく、紫外線にさらされた肌の色素沈着を分類するものでした。

モンク博士は「人々は自分が人種カテゴリーにまとめられていると感じていますが、私たちの研究では、民族や人種のカテゴリには不均一性があることがわかりました。過去の肌色スケールやカテゴリ分けの方法は、多様性に注目していません」と述べ、従来のフィッツパトリック・スケールではアルゴリズムの公平性を実現できないとしています。

このMSTスケールは、Pixelなどのスマートフォンのカメラで撮影した写真の画像処理AIに応用されるほか、Google画像検索にも使われるとのこと。例えば、Google画像でメイクアップ関連のクエリを検索すると、肌の色で検索結果をさらに絞り込むことができるようになったとGoogleは述べています。これは各画像コンテンツに、MSTスケールを元にしたラベル付けを行うことで可能になります。



Googleはさらに、肌の色だけではなく髪の色や質感などの属性でも、コンテンツにラベルを付けられるようにする予定だと述べています。また、GoogleはMSTスケールを一般公開し、他の企業が自社の製品に使用できるようにし、フィードバックを得て学際的な研究を推進したいと述べています。

なお、MSTスケールを紹介するムービーは以下から見ることができます。

Monk Skin Tone Scale | Google's Research Center for Responsible AI and Human-Centered Technology - YouTube