(写真:産経新聞)

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「私が見たときは、白いワゴン車の下にいたお母さんを、救急隊員たちが車を持ち上げて助け出そうとしていました。かなりのスピードで衝突したことが、車や自転車の壊れ方で伝わってきました」

そう語るのは事故現場付近に住んでいる男性。

1月24日、川崎市宮前区の市道で凄惨な事故が発生した。舟渡今日子容疑者(50)が運転していた車が、2台の自転車を相次いではねたのだ。

最初にはねられた堀間美恵子さん(39)は死亡。次にはねられた自転車には親子が乗っており、母親(29)は骨折などの重傷を負い、3歳の男の子・稲本琉正ちゃんは死亡した。

舟渡容疑者の自宅は、この事故現場から車で3分ほど。夫とおぼしき男性を取材した。

「すみません、弁護士の先生に何も話はしないように言われておりまして……」

ーー奥さんは小鳥がお好きだったようですが?

「ええ、そうですね。飼っていたインコを動物病院に連れていくために出かけました。その途中にあんな事故を起こして……」

事故の原因はわき見運転。容疑者は、鳥籠に入れたインコを助手席に乗せていたのだ。彼女はこう供述しているという。

「インコが心配で(自転車に)気が付きませんでした。よそ見をしていたら反対車線に飛び出てしまい、気が付いたらぶつかってパニック状態で進んでしまいました」

ようやくブレーキを踏んだのは、琉正ちゃんとお母さんが乗る自転車にぶつかってからだという。容疑者の自宅近所に住む女性は、

「(容疑者は)男の子と女の子、2人のお子さんのお母さんです。いつもママ友さんと楽しそうに話しているふつうの方ですよ。白い車は、お子さんたちの習い事とかの送り迎えなどにも使っていました」

2児の送迎に使っていたワゴン車が、3歳の男の子の命を奪う凶器になってしまったのだ。

過失運転致死傷容疑で警察が捜査しているが、刑事事件にも詳しい山口宏弁護士によれば、

「同じように2人が死亡した東池袋自動車暴走死傷事故では禁錮5年の実刑判決となりました。川崎市の事件では、容疑者は過失を認め、全面的に反省しているようですから、禁錮3年ほどの実刑となるのではないでしょうか」

自宅の庭には空の鳥籠が置いてあったが、2児の母である舟渡容疑者が、罪悪感という枷から脱する日はこないかもしれない。