ハーブの香りでホッとひと息。植松良枝さんの秋こそ飲みたいホットハニーレモネード

植松良枝さんに教わる、秋こそ飲みたいレモネード

夏の暑さも彼岸まで。今年もいよいよ秋めいてきましたね。ひと雨ごとに気温の低下を感じるこの季節、ひと息入れるときのお供にしたいのがレモネードです。

最近では、暑い季節にレモンを使った加工食品を見かける機会が多いので、レモン=夏というイメージが強まっていますが、料理研究家の植松良枝さんによると、レモンの旬は、実は秋なんだとか。

「ここ10年ほどで、皮まで安心して使える国産レモンの需要が増え、それに伴い生産量も増えています。そんな国産レモンの旬は、秋から冬にかけて。9月に入ったくらいからグリーンレモン(緑色のレモンから黄色になる途中のもの)が出回りはじめます。ライムとレモンの中間のような香りで、季節限定のおいしさです」

「グリーンレモンを使うと、ちょっと青い香りのするレモンシロップが作れますし、黄色いレモンなら王道のレモンシロップが作れます。ぜひ国産レモンの旬である秋から冬の季節のうちに、レモネードシロップを作ってみてください」

ハニーレモネードシロップはとっても簡単!

肌寒い季節にレモネードを飲むのであれば、やはりホットで楽しみたい。それなら、と植松さんが教えてくれたのが、はちみつで作るレモネードシロップのレシピです。

「砂糖で作るレシピもありますが、秋冬にホットで飲むならはちみつで作ることをおすすめします。はちみつは甘いだけではなく、ビタミンやミネラル豊富でポリフェノールも含まれていて、身体を温めてくれますし、のどの粘膜をいたわるにも最適な食材。はちみつで作ったホットレモネードは、風邪のひきはじめでのどが痛いにときにもおすすめです」

そういえば、昔は大根をはちみつに漬けた「大根はちみつ」を冬の常備食にしている家庭がたくさんありました。

「材料は国産レモンとはちみつだけ。簡単なので、初めてでも失敗なしでおいしく作れるはずですよ」

材料

・国産レモン……3~4個
・はちみつ……使用するレモンと同量
※レモンとはちみつの分量は1:1。同じg数にそろえてください

作り方

水気のついた手に塩(分量外)をつけてレモンの皮をこすり、ワックスなどをさっぱり落としてよく洗います。

「レモンを濡らし、手で塩をすり込むようなイメージで作業してください」

レモンを包丁でごく薄くスライスし、種を除きます。

「薄く切ったほうが香りが出ますし、液体と馴染みやすくもなるので、私がレモネードシロップを作るときは、ごく薄くスライスしています」

瓶にレモンを詰めたらレモン汁を入れ、その上からはちみつを注ぎます。

「レモン汁は適量でOK。レモンをスライスしていて切りにくくなった端のほうを残しておいて、搾り入れましょう。そうすることで、レモンを余さず使えますし、完成したシロップのさわやかさが増します。

スライスレモンが多すぎると皮から出てくる苦味が増すので、レモンスライスでレモンのほどよい苦味や風味をあますところなく抽出し、レモン汁で酸味を足すというイメージです。レモン汁を入れると漬かりが早まり、短時間で飲めるようになるメリットも」

レモンとはちみつの比率は、基本は1:1。一度作って味を確かめたら、好みに合わせて調整してください。

「レモン汁とはちみつを入れたら、レモンを棒でつついておくと、エキスが早く出ます。あとは瓶の蓋をしっかり締めてよく振り、室温に置いてください」

ひと晩置いたらできあがり。あとは冷蔵庫に入れて保存します。

「ふつうに飲むなら、お湯1:シロップ5くらいでOK。疲れているときならお湯1:シロップ4くらいに甘くして飲むと、ホッとしますし、身体も温まります。使って減ったらレモン汁とはちみつを継ぎ足し、瓶の中で熟成させていくと、1ヶ月ほどは楽しめますよ。

ちなみに、冬至のころにはゆずで作るのも良いですね。ゆずで作る場合は、ゆずの種もそのまま入れて作ると、とろみが出て、寒い季節にぴったりな仕上がりになります」

香りをプラス!フレーバーホットハニーレモネード

ハニーレモネードシロップが完成したら、お湯で割ってふつうのホットレモネードとして飲むのも良いですが、そこにもうひと工夫。ハーブを使ってそのお湯にフレーバーをつけ、バリエーションを楽しむのはいかがでしょう。

秋のレモンを使ったハニーレモネードシロップの楽しみ方として、5種類のハーブを使った4つのフレーバーホットハニーレモネードを教えてもらいました。

「シロップとハーブで香りをつけたお湯の比率は、先で書いたように1:5。大さじ2杯分(30cc)のハニーレモネードシロップなら、150ccのお湯で割るようにしてください」

1. フレッシュローズマリー

「フレッシュローズマリーを使うフレーバーホットハニーレモネードは、作業効率を上げたいときにおすすめ。作り方は簡単で、ローズマリーをポットに入れたら熱湯を注いで3~4分蒸らし、そのお湯でハニーレモネードシロップを割るだけです」

レモンのさわやかな風味にローズマリーの針葉樹のような香りが加わり、頭がすっきりするような飲み心地でした。仕事の合間に飲んだら集中力が高まりそうです。

「このあとご紹介する3つのフレーバーホットハニーレモネードも、作り方はほぼ一緒。気分に合わせて香りを楽しんでみてください。使用するハーブの量は基本適量ですが、ハーブティーではないのでたくさん使う必要はありません。ハーブの香りが強く出過ぎるとレモンの香りを消してしまう。ハーブがほんのり香っているくらいが理想です」

2. フレッシュミント

「リフレッシュしたいときは、フレッシュミントで香りをつけたお湯でレモネードを作ってみましょう。ミントにはいろいろな種類がありますが、お好みのもので構いません。ミントを入れたポットに熱湯を注いで3~4分蒸らし、そのお湯でハニーレモネードシロップを割ってください。ミントは香りが強いので、使う量は少なめに。お好みでミントを浮かべてもいいですね」

香りにややクセがありましたが、口に含むと期待どおりの清涼感。ひと口で気分が一新し、食後のドリンクとしていただくとさっぱりとしそうです。

3. ハイビスカス

「ハイビスカスもリフレッシュしたいときに試してほしいハーブです。ホールまたは粉末で売られていますが、どちらでも。

作り方はローズマリーやミントと一緒。放っておくとかなり濃く出てしまい、レモンの香りを消してしまうので、ロゼワインくらいの色になったらそれ以上置かず、グラスに注いでしまいましょう」

華やかな色合いは、見ているだけで元気が出そう。ハイビスカスの酸味との相乗効果で複雑でフルーティーな酸味が楽しめます。おうちでのパーティーで、お酒が飲めない人に振る舞うのも良いのではないかと思いました。

4. カモミール&ラベンダー

「カモミールとラベンダーは、どちらもリラックスしたいときにぴったりなハーブです。カモミールがメイン、ラベンダーがサブくらいの比率で、それぞれ適量をポットに入れて熱湯を注ぎ、3~4分蒸らしたら、レモネードシロップが入ったグラスに注いでください。落ち着かないとき、心を落ち着けたいときにぜひ」

甘くやさしいカモミールと、やわらかでほのかにフローラルなラベンダー。それぞれの香りがふわりと香るホットレモネード。忙しない撮影中に試飲したのですが、ホッと気持ちが落ち着いて、まさにひと息ついたという気持ちになりました。勉強や家事、仕事で忙しいときこそおすすめしたい一杯です。

さらに、こんなフレーバーもおすすめ!

ここまでを読んで、シロップの時点でハーブを漬け込んでしまえば手間が減るんじゃないかと思った方もいるかと思いますが、「プレーンなシロップを作っておけば、手元にあるものを使って味変を楽しめます」と植松さん。

「今回ご紹介したハーブのほか、クローブとシナモンを煮出したクローブシナモンウォーターで割ってもおいしいですよ。お好みに合わせてさまざまな楽しみ方ができるのがこのホットレモネードの魅力です。いろいろ試してほしいのですが、ハーブには妊娠中の女性は避けたほうがよいものもありますので、注意が必要です」

アイデア次第でもっと自分の嗜好に合ったものが見つかりそうなフレーバーホットハニーレモネード。個人的には、この秋のリフレッシュタイムに欠かせないドリンクとなりそうです。

文・写真/植松富志男(macaroni編集部)