周囲がスムースに走れるために配慮するのがポイント!

 長年クルマの運転をしている人の多くは気づいていると思いますが、事故も渋滞もなく道路の流れがすべて円滑に運ぶ状況を作るためには、教習所で習ったことだけやっていてはとうてい足りないものですよね。ドライバーひとりひとりが、周囲のドライバーや歩行者、バイク、自転車などを思いやり、気持ちを汲んで、先まわりして対処することが欠かせないものです。

 しかもそうした気遣いは誰が教えてくれるものでもなく、ドライバーが長年の経験から会得したり、もともとの性格が心優しいために気配りが自然とできたりと、なかなか全員が同じようにできるわけはありません。そこで今回は、そうした振る舞いが素晴らしい超上級ドライバーたちが、感謝されなくても気づかれなくても、自然とやっている気遣いをご紹介したいと思います。

1)路駐車の脇を通るときにスペースを空ける

 1つ目は、クルマの通りが多い一般道でよく起こりがちで、渋滞や事故の原因にもなりやすい状況を、少しの気遣いでスムースな流れに変える気遣いとして、片側二車線の道路で右車線を走っているときに、左車線に路上駐車のクルマが見えたら、その車線を走っているクルマが右に膨らんで路上駐車を避けられるように、あえて速度を少し落としつつ、スペースを空けておいてあげる気遣いです。

 右車線を走っているクルマがなにも考えずに走っていると、左車線のクルマは路上駐車を避けることができず、一時停止を余儀なくされますね。そうすると、後続車も次々とブレーキを踏むことになり、それが後ろにどんどん伝染していって、渋滞の原因になってしまうこともあります。

 でも、右車線のドライバーが気を利かせてほんの少し、ブレーキランプが点灯しない程度に速度を調整して、スペースを空けておいてあげることで、どちらの車線のクルマもブレーキを踏むことなく、うまいこと路上駐車をかわしていけるというわけです。もちろん、悪いのは路上駐車をしているクルマなのですが、急病などやむを得ない場合もあるはず。文句を言うのではなく、どうすればみんながスムースに走り抜けることができるのか。それを考えて運転できるドライバーが、超上級ドライバーだと言えるでしょう。

2)他車が眩しくないように配慮する

 2つ目は、夜間に自分のクルマよりも小さかったり、運転席が低い位置にあるクルマが前を走っていたら、いつもより少し長めの車間距離をとって走り、信号待ちで停車中はライトをポジションランプなどに切り替えて光を弱くしてあげること。これも超上級ドライバーの気遣いです。皆さんも、真後ろに大きなトラックがいるときなどに、ルームミラーやサイドミラーにちょうどトラックのライトが反射してしまって、とても眩しいと感じた経験があるかもしれませんね。

 でもそれは、トラックが煽ってきているわけでも、嫌がらせをしているわけでもなく、普通に走っていてもそうなってしまう仕方のないことなのです。SUVやミニバンなどライトの位置が高めにあるクルマに乗っていると、小さな軽自動車やスポーツカーなどの後ろを普通に走っているだけでも、前を走るクルマのドライバーは眩しくて不快な思いをしている可能性が高いです。車間距離を長めにとって走ったり、停車中にはライトを弱くしてあげることで防げることが多いので、トラブルを避けるためにも実践してみてほしいと思います。

事故や渋滞を未然に防ぐためにも必要な気遣いも!

3)隣を走るクルマの死角に入らない

 3つ目は、一般道でも高速道路でも、複数の車線がある道を走る場合には、隣を走るクルマの死角に入らないような位置で走ることを常に考えるのも、気遣いの一つです。とくに、後席がスモークガラスだったり、荷物が満載だったりなどで、斜め後ろがよく見えない状態で走っているクルマも多いので、そうしたクルマと並走するシーンでは、必ず相手のサイドミラーに映る位置にいるように心がけます。

 最近は、隣の車線にクルマがいることを検知して、サイドミラーに小さな警告灯がつくクルマも増えていますので、相手のクルマがちゃんと自分のクルマの存在を認識しているかどうか、警告灯の有無で確認するといいですね。普段からこの気遣いを心がけていると、隣の車線からいきなり車線変更してきてぶつけられた、なんて事故も未然に防ぎやすくなりますので、自己防衛にもなると思います。

4)合流するスペースを空けておく

 4つ目は、幹線道路や高速道路など、合流がある道を走っているときに、合流地点が近づいてきて、合流してくるクルマがいることに気がついたら、あらかじめ自分が右車線に移って、合流してくるスペースを空けておいてあげるという気遣いがあります。もちろん、タイミングよく右車線が空いていれば、という話で、無理して移っておく必要はありませんが、こうすることで、合流に慣れていないドライバーが緊張することなく合流できたり、合流させるためにブレーキを踏むことがなくなります。

 やはりブレーキを踏むと、後続車がなにごとかと焦って不要なブレーキを踏み、そのまた後ろも……とつながって渋滞を引き起こす可能性もゼロではないので、できればブレーキを踏まずに、気持ちよく合流してもらう流れを考えると、こうした気遣いになるというわけです。

5)夜間の車庫入れに配慮する

 5つ目は、夜間の駐車場や立体駐車場などでライトが点灯しているときに、自分の目の前で車庫入れを始めたクルマがいたら、ライトを消してあげたり、ポジションランプなどにして弱めてあげるという気遣いです。バックで車庫入れをする際には、車両の周囲をぐるりと何度も確認する必要がありますよね。

 そんなときに、正面や真横からクルマのライトを浴びると、とても眩しくて直視できない状態になります。目がチカチカしてすぐに安全確認ができなくなったり、集中力を削がれて操作がおろそかになるなど、運転に支障をきたす可能性も大きいので、安全のためにもこうした気遣いは大切です。

 というわけで、いかがでしょうか。皆さんはいくつ、これらの気遣いができていたでしょうか。すべてやっていたら、あなたは超上級ドライバーと言えるでしょう。誰にも感謝されないような、地味な気遣いもありますが、結果的にその小さな気遣いがみんなの安全と快適なドライブを支えています。何がなんでもやるべきことではないですが、もし運転中に余裕があったら、ぜひ真似してみてほしいと思います。