コロナ禍の中で、働き方がすっかり変わってしまった、そう感じている人は多いかもしれない。

インターネット環境さえ整っていれば、テレワークでもあまり不便とは思わない。仕事の意思疎通はメールで充分だし、記録が残るので、むしろその方が安心だ。緊急の場合は、電話で連絡すればいい。

毎日、満員電車に乗って、都心まで通勤する必要があるのだろうか。できれば好きなところで暮らしながら、テレワークができれば、その方がイイなあ......、そう考え始めた人もけっこう多いのではないか。

そんな人にうってつけかもしれない、こんな賃貸物件が話題となっている。

テレワークで生きる人に贈る、バス/トイレ付き一戸建て


画像提供:HACHIJO-HOUSE

ご覧の写真の通りだが、このバスは走る方のバスである。風呂が付いているのはもちろんだが、つい最近まで都内某所を走っていた路線バスが付いているのだ。

このこだわり物件を扱っているのは、東京都八丈島の不動産店「HACHIJO-HOUSE」だ。バス付き一戸建ての物件とは、いったいどんなものなのか?

Jタウンネット記者は、2020年11月17日、「こだわり賃貸で理想の島暮らし」を掲げるHACHIJO-HOUSEの店主であり、この物件の大家さんでもある、加納さんの話を聞いた。

非常時には、バスのエンジンを稼動させることも?

HACHIJO-HOUSEの加納さんによると、物件はもう満室ということ。

入居者がもう既に住んでいるということだ。早くも、残念! と思った読者もいるだろう。だが、将来空き室になる可能性がないわけではない。一応、どんな物件か、聞いておこう。まずは、一番気になる、バスについて......。

「このバスは、19年10月、東京都立川市から八丈島へ運んで来たものです。平屋の一戸建ての敷地内にバスを設置することで、床面積15畳という巨大な書斎スペースを確保しました。
大量の資料や仕事道具が保管できるというのが特長ですね。普段の生活エリアとは別に、夢のような空間が持てるというわけです。
非常時には、バスのエンジンを稼動させ、車内の電源、空調も使えるようになります。停電の際も、快適に過ごせるシェルターとして機能するわけです」

また平屋一戸建て内の3部屋のうち1部屋は、完全なオフィス仕様(写真下)として、自宅に居ても、仕事に全集中できるような環境となっているという。


画像提供:HACHIJO-HOUSE

オフィス内に置ききれない資料や蔵書などはバスの中に置いておけば、オフィスの中はすっきり整理されて、仕事もはかどるに違いない。

インターネット環境はどうなのだろう? 「八丈島は本土と海底ケーブルで繋がれていますから、通信環境はまったく問題ありません」と、加納さんは胸を張る。「現在、入居されている方も、テレワークでバリバリ仕事されているようですよ」


画像提供:HACHIJO-HOUSE

テレワークをする人にとって、もう一つの味方は、クロネコヤマトの宅急便だという。所要時間はプラス1日余分にかかるが、八丈島の料金は東京都内と同じだという。

「八丈島で暮らしながら、仕事をされている漫画家さんもいらっしゃるみたいですよ」

と、加納さんは話す。ネットで仕事の打ち合わせをして、宅急便で作品の送付などができれば、あまり困らないのかもしれない。クロネコヤマト営業所は車で約3分のところにあるという。

他にも、郵便局、スーパー2件、多数の飲食店、ガソリンスタンド、客船発着の底土港なども近くにあり、八丈島空港までは約5分でアクセスできる。島暮らしにも関わらず、本土に近い生活の便利さも兼ね備えている。

なんだか、すっかりその気になってしまった読者もいるかもしれないが、最初にお断わりしたように、この物件は既に満室、入居済みだ。


画像提供:HACHIJO-HOUSE

加納さんが経営するHACHIJO-HOUSEでは、他に4軒の物件を扱っているが、いずれも取材時点では満室だという。ただ、現在リフォーム工事中の物件もあるという。

「島暮らしに憧れているものの不便な生活に対応できるか不安な方、自宅でネットを使った仕事をして生計を立てたい方など、ぜひ声をかけていただきたい」と加納さんは語る。

「入居者には、賃貸物件ではありますが、自分の家と思って、セルフリフォームしていただきたい、DIYでリフォームされるのはご自由にどうぞ、とお勧めしています。壁紙などは通販でお好みのものを注文して、ご自分で貼られる方もいらっしゃいますよ」

実は加納さん自身も、本土からの移住者だという。「静かに暮すには良いところですよ」とのこと。新たなライフスタイルを提案する賃貸物件の開発で、八丈島に新しい移住者が増えるかもしれない。