雨の日だけ走るバスの便や路線が、いくつかのバス事業者で運行されています。自転車などが運行できない雨の日の需要にこたえる目的ですが、どのような基準で走るのでしょうか。「当日の急な雨」には対応しないこともあります。

前日の天気予報で運行が決まる

 電車やバスは、土日や学校の休日などで違いはあるものの、一般的に毎日決まった時刻の便が走っています。しかし、当該便が運行するかどうか、前日になって決まるバスもあります。

 横浜市営バスでは、2009(平成21)年6月から、特定の路線で「雨の日臨時便」を運行しています。現在、204系統(浅間町車庫前→横浜駅西口)ほか6路線で7時台から9時台に計12便が設定されています(2020年9月現在、コロナウイルスの影響により休止中)。


横浜市営バス(乗りものニュース編集部撮影)。

 運行の基準は、当日6時から12時の降水確率が「70%以上」であること。前日17時の気象台からの発表を元に、2時間後の19時、市営バスのウェブサイトで運行の有無が発表されます。当日が晴れとなっても運行する一方、前日の予報になかった雨が降っても急遽運行、とはなりません。

 横浜市交通局によると、ふだん自転車や徒歩で駅まで向かう通勤・通学客が、雨の日にはバスを利用するため、満員で客を乗せられなくなる「積み残し」を防止するために導入したとのこと。当初の基準は「降水確率50%以上」だったものの、翌日晴れてしまうことが多かったため、2013(平成25)年に「70%以上」に変更したそうです。

 なお道路運送法では、運行回数や運行時刻などにかかわる「運行計画」の変更の際に地方運輸局への届出が必要です。「雨の日臨時便」を開始するにあたり、この運行条件も運行計画に明記、降水確率を変更する際も届出を行ったといいます。

時刻表に無くても急遽増発

 前日発表の降水確率によって臨時便を運行する例は、福井の京福バスや静岡の遠鉄バスが設定する「レイニーバス」などがあります。また、北海道の十勝バスでは、「あめバス」という、雨の日のみ走る独自ルートの路線を運行しています。こちらは一般客も利用できますが、あくまでスクールバスの扱いなので、降車は学校の前にある終点の停留所のみ可能です。

 このほかのバス事業者でも、雨の日の需要急増にともなって「続行便」という扱いで臨時増発を行うところがあります。たとえば東京と埼玉で営業する国際興業バスでは、雨の日や学校イベント開催日などに、続行便であることを示すサインボードを掲げて走るバスが見られます。国際興業バスによると、あらかじめ積み残しの発生が予想される場合に加え、突発的な混雑発生時にもこのような措置を行うことがあるとのこと。

 この「続行便」については、従来ダイヤを補完するための「車両数増加」という扱い、かんたんにいえば「2号車以降」に当たるため、運行にあたり運輸局への届出は不要です。たとえば高速バスでも、繁忙期を中心に、利用状況を勘案して続行便が運行されることがあります。