阪神・矢野燿大監督【写真:津高良和】

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植田のバスターエンドラン失敗、青柳の送りバント失敗とミスが見られた阪神

■阪神 7-6 DeNA(12日・横浜)

 阪神は12日、敵地・横浜スタジアムでDeNAに7-6で逆転勝ちし、3位に浮上した。2点リードされた4回、2番の中谷将大外野手と3番のジェリー・サンズ外野手の2者連続本塁打などで一挙5点を挙げて試合をひっくり返した。5カードぶりに勝ち越した一方で、試合の流れを左右しかねないミスもあっただけに、阪神OBは「勝ってよかったと終わらせてはいけない」と厳しい視線を向けた。

 ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、2018年までヤクルトで2年間、バッテリコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏が指摘したのは、2点を追う4回無死一、二塁の場面。打席の植田海内野手は初球に対してバスターを試み、捕邪飛に倒れた。定石では最低でもゴロを打たなければいけない状況で、強振した植田を疑問視しつつ、こう語る。

「確かに無死一、二塁でのバスターエンドランというのは珍しい。私も21年間のプロ人生で目の前でみたのは1度しかなかったくらいですから。ただ、年間で何度もやらない作戦だからこそ、その分練習しておかなければいけない」

 さらに野口氏が語気を強めたのが、直後の青柳晃洋投手の打席。2球目の直球をバントしたが、転がしたのは一塁側。一塁手の中井大介内野手がチャージをかけてきていたため、あえなく三塁封殺となり、犠打失敗に終わった。このプレーに「言語道断」と野口氏はきっぱり。「バントは先発投手が打席内で果たすべき仕事。反省すべきプレーだったと思います」と話した。

9回のベンチワークも指摘「ピッチャーが1人じゃない時間を作ってあげないと」

 9回に守護神ロベルト・スアレス投手が2死二塁からタイムリーを浴びて1点差に迫られたシーンについても「あそこはベンチがマウンドに行ってあげて、ピッチャーが1人じゃない時間を作ってあげないといけなかった」とも。その直後に代打の山下幸輝内野手に左翼線への二塁打を浴び、二、三塁と一打逆転の窮地を招いただけに「細かい部分を突き詰めてほしい」と求めた。

 目先の勝利を称えずに敢えて課題を指摘するのは、夏場から秋にかけての勝負所を見据えてのこと。「これでよしで済ませていたら、この先上位争いをしていくときに必ず綻びとして出てしまう」と野口氏。ひとつのミスが致命的な結果を生む前に「勝って兜の緒を締めよ」ということだ。

 加えて、リリーフ陣は苦しいやりくりが続く。この日は6回途中からセットアッパーのジョー・ガンケル投手を投入。直後の7回にリードを2点に広げ、なおも2死満塁のチャンスだったが、ガンケルに代打を送らなかった。追加点を奪いにいくよりも、ガンケイルをイニング跨ぎさせて2点リードを守る策に出た。結果は奏功したが、勝ちパターンを任せられる中継ぎ投手が1枚足りない状況には変わりない。一歩間違えば攻守ともに崩れる危険性を孕んでいるだけに、この薄氷の勝利を教訓としたいところだ。(小西亮 / Ryo Konishi)