ピルロ新監督就任は「リスクが多すぎる」 “未経験者”の抜擢の不安要素を現地メディア指摘
サッリ監督を解任すると同時に、U-23チームを率いる予定だったピルロが就任
イタリア王者ユベントスは、今季から就任してリーグ優勝を成し遂げたマウリツィオ・サッリ監督を8日に解任。
同日にクラブのレジェンドである元イタリア代表MFアンドレア・ピルロ氏の監督就任を発表した。イタリアのサッカー専門メディア「カルチョメルカート・コム」は、この人事を「魅力よりも狂気」と不安要素が多いと分析している。
ピルロ氏は当初、U-23チームの監督就任が発表されていた。レアル・マドリードでのジネディーヌ・ジダン氏や、バルセロナでのジョゼップ・グアルディオラ氏のようにセカンドチームでの経験を積むことで、トップチームの指揮官に育て上げるというプランがイタリアメディアでは報じられてきた。
しかし、ユベントスは7日のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)リヨン戦で、2-1で勝利したものの2戦合計スコアで準々決勝進出を逃していた。2011-12シーズンにアントニオ・コンテ監督の下で始まったリーグ戦の連覇こそ「9」に伸ばしたが、安定感のなさは9シーズンで最弱とすら批判を集めた。それを受けての監督交代となり、ピルロ氏はユベントスと2年契約を締結したという。
一方で、この監督交代に対して、記事では「?」マークを多用して大いに疑問を呈している。
「まずはセカンドチームを率いるというジダンやグアルディオラが成功したステップは完全にキャンセルされた。多すぎるリスクがある。彼は子供たちのチームさえも指導したことがない。彼が技術者としての能力がない場合はどうなるか? 素晴らしい選手は何人いるか?
ピルロが選手たちのグループに立ち向かわなければならない時に、どう反応するか誰も知らない。彼は戦術的なアイデアを伝えることができるか? チームはそれを実現できるか? そして、彼はベンチでゲームを読むことができるか? 彼は現場でこれまで扱ったことのないスタッフを上手に管理できるか? これらすべての未解決の質問について考えると、この動きには魅力よりも狂気があるという感覚になる」
選手として実力は申し分ないが、監督としての手腕は不透明
ピルロはACミラン時代に中盤の底からゲームメークする“レジスタ”としてのポジションを確立し、2006年のドイツ・ワールドカップではイタリア代表の優勝における原動力になった。その後、ユベントスでは9連覇の初年度から4シーズンプレーし、その後にアメリカでのプレーを経て現役引退。熟練の技術を生かしたプレーには“マエストロ”の称号も与えられた。そうした意味で、世界的な名選手だったことに疑いの余地はない。
一方で、ピルロが名監督であるか否かは別問題でもある。そして「もし、アンドレア・アニェッリ(ユベントスの会長)の目があまりにも正しくピルロがいきなり成功したならば、それは神話の域に達する」と、未経験の監督が最初から成功することの難しさを説いた。
サッリ監督は今季、ユベントスのリーグ連覇を「9」に伸ばしてCLの決勝トーナメント進出も果たしながら解任された。普通のクラブではありえないハードルの高さに初年度から挑むことになるピルロ氏は、ユベントスをどう変えるのだろうか。(Football ZONE web編集部)