(写真:時事通信)

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旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三被告(88)の運転していた乗用車が池袋駅近くの路上で暴走し、母子が死亡した事件から4月19日で1年を迎えた。2人の遺族である松永拓也さん(33)は同日、ブログで「今日、一周忌を終えました」と報告。そして、こう明かした。

「最近は『心のコントロールが割と出来るようになってきている』と自分なりに思っていたのですが、4月19日になった瞬間から、予想していたよりずっと精神時にきつく、朝5時近くまで、様々な思いが巡り、眠れませんでした」

またブログで松永さんは当日、事故現場へ向かったともつづり「一年前の今、この場所で、二人は亡くなったのか」と思い涙したと語っている。

昨年4月、事故の直後に会見を開いた松永さん。同年9月、飯塚被告への厳罰を求める39万もの署名と速やかな送検や起訴を求める要望書を東京地検に提出した。続けてブログやFacebookを始動し、今年1月にTwitterやInstagram、そして3月にはYouTubeをスタートした。

苦しみながらも、家族のために行動する松永さん。一周忌を報告したブログのコメント欄には《お気持ちを思うと涙が止まりません》《休める時、頑張らず、時に自分にわがままに生きて下さい》と慮る声が上がっている。

いっぽう飯塚被告は昨年11月、TBS NEWSの取材に対し被害者への謝罪の言葉を口にしながらも「安全な車を開発するようにメーカーの方に心がけていただき、高齢者が安心して運転できるような、外出できるような世の中になってほしい」と発言した。

各メディアによると事故を自動車の責任にしているとも取れる発言に対して、同月の会見で松永さんは「体が震え出して、怒りというよりはむなしくなってしまった」「加害者は、2人の死と向き合っているとは思えない」とコメントしたという。

ネットでも厳しい声が上がったが、飯塚被告は自身の言動に対する訂正はせず無言を貫いている。

「今年2月、飯塚被告は在宅起訴となりました。松永さんは、飯塚被告から『事故と向き合ってこれからどう生きるのか』を裁判で聞きたいといいます。法的な罪を償うことはもちろんですが、遺族の気持ちに応えることも飯塚被告の役目でしょう」(全国紙記者)