リバプールのMF南野拓実が国内リーグ戦で初めて登録メンバーから外れた。

 2月15日に敵地で行なわれたノリッジ対リバプール戦で、南野は遠征メンバーとしてチームに同行しながら、18名の登録メンバーに入れなかった。日本代表MFが関係者席で見守ったその試合で、リバプールは1−0で勝利。国内リーグの連勝記録を17試合に伸ばし、成績を25勝1分無敗とした。30年ぶりとなるリーグ優勝にまた一歩近づいた。


ノリッジ戦で南野拓実は登録メンバーに入れなかった

 この試合で、リバプールは久しぶりに主力メンバーがほぼ揃った。

 1月5日のエバートンとのFAカップ3回戦でMFジェームズ・ミルナーがハムストリングを痛めた。さらに1月23日のウルバーハンプトン・ワンダラーズ戦ではFWサディオ・マネがハムストリングを負傷し、両者はしばらく戦列を離れた。

 しかし、ふたりは今回のノリッジ戦で復帰。前節のサウサンプトン戦から南野とDFジョエル・マティップが18名の登録メンバーから外れた。


 ここまで、リバプールは負傷者に悩まされてきた。MFナビ・ケイタは、股関節痛で1月2日〜28日まで離脱。MFファビーニョもひざのケガで11月30日〜1月18日まで出場できなかった。FWジェルダン・シャキリはまだ復帰していないが、選手たちが代わる代わる戦列に戻り、フルメンバーがようやく揃うことになった。

 南野が登録メンバーから外れ、あらためて浮き彫りになったのは、リバプールの「壁の高さ」だ。

 ノリッジ戦のベンチメンバーは、GKアドリアン、DFデヤン・ロブレン、MFファビーニョ、MFミルナー、MFアダム・ララナ、FWマネ、FWディボック・オリジの7人。「直前までコンディションを見極める」(英BBC放送)としていたマネが最終的に登録メンバーに入り、南野がベンチ外になったと思われる。そして、そのマネが後半から途中出場し、決勝ゴールを叩き込んだ。

 リバプールにはモハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、マネの強力3トップがいるのは言うまでもなく、控え陣にも優れた代表クラスが揃う。既存戦力が戦列に戻ってきたことで、今後も南野は「ベンチに入れるか、入れないか」の当落線上に置かれることになりそうだ。


 もちろん、日本代表MFは厳しい競争を覚悟してリバプールにやって来た。試合後、「予備選手を含めた遠征メンバーに入りながら、試合の登録メンバーから外れたのは悔しいのでは?」と問われると、次のように話した。

「そうですね。今までずっとやってきているメンバーが帰ってきて、監督が信頼している選手を使うというのは、当たり前だと思うし。自分にできることを今後もやっていければいいかなと思います」

 以前も「他の選手たちは何年も一緒にやっている。完成されたチームに入ることの難しさがあるのでは?」と問われると、南野は「それはもう、しょうがない。それを覚悟で来ている。そのなかで揉まれながら、生き残っていくしかない」と決意を口にしていた。

 刺激的な環境で成長し、大舞台で挑戦を続けていくことに闘志を燃やしていた。

 さて、肝心の試合は、リバプールが1−0でノリッジを退けた。ノリッジのダニエル・ファルケ監督は、2015〜2017年までドルトムントU−23チームの指揮官を務めた。言わば、ユルゲン・クロップ監督の系譜を継ぐ師弟対決でもあった。ふたりは旧知の仲のようで、試合前には笑顔で抱擁を交わしていた。


 この試合で、リバプールは苦戦を強いられた。ノリッジはリーグ最下位とは思えない積極的なサッカーを見せ、後半なかばまで0−0で展開。78分に生まれたマネの技ありのゴールで、リバプールがタフなゲームになんとかケリをつけた。こうした厳しい試合も落とさないのが、リバプールの強さだろう。

 そしてリバプールの視線は、中2日の18日に行なわれる欧州チャンピオンズリーグ・決勝トーナメント1回戦に移ることになった。対戦相手は、スペインのアトレティコ・マドリード。南野はグループステージではザルツブルクの一員としてプレーしたが、大会中に移籍して出場資格を失う「カップタイド」のルールが廃止されたため、CL決勝トーナメントに出場することは可能だ。

 南野にケガはなく、ノリッジ戦の試合前もフィールドに飛び出してベンチメンバーとアップを行なった。ロブレン、オリジ、ミルナーらとパス回しを行ない、ボールと芝の感触を掴んでいた。


「CLが再開する。気持ちが高まっているのでは」との記者の問いに対し、南野は「いつも通りですね、はい。まずはいい準備をすること。しっかりやっていければいいかなと思います」と冷静に答えていた。

 A・マドリード戦でも、南野は登録メンバーに入れるか、入れないかのギリギリのところにいるだろう。出番のチャンスが訪れるのか、あるいは我慢の時が続くのか。試合はスペイン時間18日、午後9時(日本時間19日午前5時)キックオフだ。