落ちているのは飲みかけの「お茶」ばかりでジュースはない……

 ポイ捨てというのは非常にみっともない行為で、今やクルマに乗っていても、歩いていてもとにかく捨ててはダメ。当たり前のことに思うかもしれないが、ちょっと前まではタバコの吸い殻を窓からポイするのを見かけたもので、最近マナー向上が著しいとも言える。

 そんななか、いつもの交差点(都心)で信号待ちをしていて、ふと中央分離帯の茂みに目をやるとゴミがけっこう散らかっていて、そのなかに飲みかけのペットボトルがあるのを目撃。それ以来、いつ見ても落ちていて、やっぱり今でもマナー悪いんだな、と嘆くことしきりだった。

 しかし、ふと「毎回お茶ばかり落ちているのはなぜだ!?」と思った。缶コーヒーの空き缶はあるにしても、コーラでもなければ、ジュースでもない。落ちているのはお茶ばかりで、なぜかフィルムを剥がした素のペットボトルもあったりする。

 ここ数年間はそれでも、飲みかけを捨ててもったいないなぁ、ぐらいにしか思っていなかったのだが、突然ひらめいた。「あれはお茶じゃないんじゃないか」と。ではなにか? というと、ズバリ言ってしまうと「おしっこ」。

「自分の小便と一緒に運転するのはイヤだ」との声も

 仮説としては、トラックドライバーが我慢できずにペットボトルに入れて捨てたものではないか? というもの。そうすると、すべて黄色いのと、中央分離帯に捨てられているのは合点がいく。

 ここで検証として、ペットボトルを拾ってきてフタを開けてニオイを嗅げばいいのだが、そんな勇気はないので、知り合いのトラックドライバーに聞いてみると、あっさり「そうだと思うよ」とのこと。

 事情としては大型トラックだと、停められるコンビニがほとんどないし、路駐すらも大型やトレーラーだと難しいことも多い。そもそも時間に追われているので停止できないことも。また、高速道路のPAやSAの茂みにも多くて、これは深夜割引適応待ちの大混雑で、停める場所を探しているうちに漏れそうになったドライバーが捨てたものだったりするらしい。

 キャビンも高いところにあるので、車内でペットボトルにしていてもバレにくいというのもあるとのこと。確かに乗用車だと、隣にバスでも来たら丸見えだ。

「ただし、ほとんどの人は次に止まったところでトイレに流すなどしていると思う」とのことだったが、その知り合いの知り合いに聞いてもらったところでは「自分の小便と一緒に運転するのはイヤじゃん」という貴重というか、素直というか、開き直った意見も聞けたりした。まぁ、気持ちはわからないでもないが、清掃で拾う人はもっとイヤだと思うのだが。

 ネットを検索してもほとんどこの話題は出てこないが、北海道のある自治体のSNSで投稿があって話題になったことがあるし、内容分析までした新聞もあることまではわかった。業界団体なども定期清掃に協力したりしつつ、清掃業界では爆弾と呼ばれているらしい。

 この原稿を書いているだけでも、熟成された人の尿を拾って処分する気分を想像すると気持ち悪くなるだけだが、東名高速道路の東京インター近くには、世田谷区による「ポイ捨て、カッコ悪いぞ」という横断幕が歩道橋に掲げてあって、その昔は「監視カメラ付けるゾ」など、もっと過激な文言だった。その当時、区の担当者にコメントをもらったことがあるが、「とにかくトラックのマナーがひどくて、路上がゴミ箱状態。でも、決定的な対策がなくて困る」と言っていた。やはりこの問題と茶色いペットボトルはつながる。

 未だに路上でもタバコのポイ捨てや犬のフンの不始末はあるが、結局は各人のマナーに頼るしかない。それにしてもおしっこ入りのペットボトルがあちこちに落ちているなんて、日本ってなんだかな、というのが正直な感想だ。