お笑いコンビのレギュラー「打倒・千鳥です」次なる目標は“介護施設全国ツアー”
2004年に持ちネタの「あるある探検隊」で大ブレイクを果たしたお笑いコンビのレギュラーが、介護に関する本を上梓した。
【写真】「あるある探検隊」のお茶目なポーズをきめるレギュラーの2人
タイトルは『レギュラーの介護のこと知ってはります?』。介護が必要になったときにすぐに役立つ基本情報やオリジナルの介護体操がわかりやすく紹介されている介護本だ。
目上の人にかわいがってもらえるタイプ
──おふたりは介護職員初任者研修とレクリエーション介護士2級の資格を取得しています。なぜ、介護の資格を取られたのでしょうか。
松本「実は僕らのコンビって、自分たちの意思で道を切り開いた経験があんまりないんですよ」
西川「例えば、ふたりとも京都出身なので、若いころは同郷のいくよくるよ師匠のラジオ番組に呼んでもらったりしていて」
松本「だから自然と、いくよくるよ師匠みたいに元気な芸風になっていったんです」
西川「大阪では桂南光師匠にお世話になりましたし」
松本「桂文枝師匠には、若手のころイベントのメンバーに抜擢してもらったりもしましたし」
西川「もっと遡ると学生時代の友達のお母さんとか。僕も松本も、目上の人にかわいがってもらえるタイプなんですよね。
松本「キャッチフレーズは“国民の孫”です(笑)」
西川「だから、営業で漫才をするときも“年配の人にウケたいね”って話してたんです」
松本「でも、年配の方と接する際にどの程度までなら失礼にあたらないのかがわからなくて。1度、“おじいちゃん、おばあちゃん”って声をかけて、“ジジイ、ババアじゃないわ!”って怒鳴られたことがあるんです」
西川「うん、怒られた」
松本「だから、どこまでなら失礼じゃないのか。そのことを知るために介護職員初任者研修を受けはじめたんです」
西川「とりあえず、当時は時間がたっぷりあったしね」
松本「一発屋って、忙しい時期の後、いきなり暇になる期間が必ずあるんですよ」
西川「将来が不安で何か資格を取得したくなるんです」
松本「例えばムーディ勝山やったらバスを運転できる大型二種免許とか、髭男爵のひぐち君はワインエキスパートとか」
西川「僕らはいろいろな巡りあわせもあって介護の資格を取得することになったんです」
松本「そしたら、ずっと前にネタ本を出版した竹書房の方が声をかけてくださいました」
西川「“もっと簡単に介護のことがわかる本をレギュラーさんでできませんか”って」
松本「ほんまにありがたいことです」
みなさんも間違えてますやん
──実際に介護の現場ではどのような活動をなさっているのでしょうか。
西川「基本的には、みんなが参加できる演し物を人前でやる介護レクリエーションです。ネタを披露したり、僕らが考えたオリジナルの認知症予防体操をやったり」
松本「僕らが意識しているのは、介護レクリエーションが1時間あるとしたら、その1時間を楽しい空気にするということです。
基本的には、僕らが生徒で施設のみなさんが先生という形を作るようにしています」
西川「例えば、練馬区の施設やったら“練馬ってなにが有名なんですか?”って聞くんです」
松本「そうすると、“練馬大根!”って答えが返ってくるんですよね」
西川「“えっ? 練馬区で大根がとれるんですか?”って聞くと、“君らはバカやなぁ”って練馬大根の説明をめっちゃしてくれたりして」
松本「僕らがバカな言動をすることによって、施設の人たちとの関係性が変わるんです」
西川「体操をするときとか、“僕らも間違えるけど、みなさんも間違えてますやん”って、間違いを笑いに変えられる」
松本「こんなふうにして、毎回、芸人ならではの空気づくりを心がけてます」
言葉だけでできることをしよう
──本書では、10個の「レギュラーオリジナル認知症予防体操」が紹介されています。この体操はどのようにして考案されたのでしょうか。
松本「レクリエーション介護士の勉強をしているときに、定番の『認知症予防体操』を教わったんです」
西川「芸として見せられるよう、その定番の体操にお笑いのエッセンスを入れたものもありますし」
松本「もちろん、一から考えたオリジナルの体操もあります」
西川「実際に介護施設などの現場でやってみて、あんまり盛り上がらなかったものは却下してますから」
松本「介護施設や介護フェアで盛り上がったものだけを厳選して紹介しています」
西川「実際、介護フェアで僕らの体操を見たご家族が、家でゲーム感覚で楽しんだりもしているみたいで」
松本「そうすると、ご家族で介護レクリエーションをしていることになるんですよね」
西川「だから、お子さんが見ても楽しい体操になるように心がけてます」
松本「僕らは漫才師さんに憧れてお笑いをはじめた人間なので、道具を使わずになるべく言葉だけでできることをしようって決めてるんです」
西川「まぁでも、1年後にめっちゃ道具を使ってたらすみません(笑)」
松本「そういう面も含めて、レギュラーの魅力やと思ってください(笑)」
《ライターは見た!著者の素顔》
レギュラーさんの今後の目標は、ズバリ“全国ツアー”なのだそう。「例えば同期の千鳥やったら、“千鳥全国ツアー”って日程と会場が書かれたポスターがバーンと貼ってあったりして、カッコいいですよね。僕らも全国を回りたいなぁって」(松本さん)。
「劇場とかホールじゃなくて、介護施設を回るツアーをやって、全国のおじいちゃん、おばあちゃんに会いたいなぁ」(西川さん)。「打倒・千鳥です(笑)」(松本さん)
(取材・文/熊谷あづさ)
●PROFILE● レギュラー、西川晃啓(にしかわ・あきひろ)、松本康太(まつもと・こうた)。1998年4月、コンビ結成。2004年「あるある探検隊」でブレイク。2014年に介護職員初任者研修、レクリエーション介護士2級の資格を取得。漫才師としてはもちろん、“介護芸人”としても活躍中。