タピオカブームの波はコンビニをも席巻。右から、9月にローソンストア100から発売された「タピオカミルクティー」100円、7月に発売されたファミリーマートの「たっぷりなタピオカミルクティー」258円、ファミマの従来のタピオカミルクティー221円(筆者撮影)

世界に吹き荒れているタピオカブーム。日本でも「ゴンチャ」の上陸から始まって、その勢いはいっこうに衰えない。スタンド型の専門店だけでなく、カフェチェーンもこぞってタピオカドリンクを取り入れているほか、コンビニもブームに次々と追随している。

9月4日には、ローソンストア100より、ついに100円(税別)のタピオカミルクティーが発売に。今回は、タピオカドリンクでは先行しているファミリーマート、ローソン100を取り上げ、コンビニタピオカの実力を検証してみた。

「100円」にこだわったローソンのタピオカドリンク

ローソン100の「タピオカミルクティー」は何と言っても、その価格が1番の特徴だろう。初日に限れば、全国780店舗で約1万4000本を売り上げたという。SNSでは「3店舗まわってゲットした」という声も上がっている。ペースを落とすことなく売れ続け、9月末日時点で約15万本が売れているそうだ。

まず飲んでみると、ミルクティーはミルクが勝つ優しい甘さ。タピオカドリンクらしい太めのストローから吸い込むと、2口目ぐらいに小ぶりなタピオカが口に入ってくる。専門店と同じ味とはさすがにいかないものの、タピオカも柔らかくてしかも弾力がある。

180mlと控えめ容量で、買ってその場で飲みきることもできるし、歩きながら飲んでも持て余さない大きさだ。何より、100円なら十分満足できる味と量と言える。ローソンストア100の開発担当者に、開発コンセプトや工夫点について聞いた。

「ローソンストア100のヒット商品を振り返ってみますと、『これが100円で買えるの?』といううれしい驚きのある商品というところにポイントがあります。タピオカミルクティーはすでにブームになっていて、今回の発売ははっきり言って『後発』となりますが、専門店に並ぶのは気恥ずかしい、抵抗がある、未体験という方に気軽に手に取っていただけるのは『100円』だと考えました。

商品開発の段階から『100円』ありきで開発をしてまいりましたので、パッケージの色数を抑える、スムージーと同じ容器を使うなど細かい部分でコストダウンを図っています」(ローソンストア100開発担当の森雅之氏)

なるほど、振ってもブラックパールが動かないので固まっているのかと思ったら、透けて見えているとばかり思っていた黒いツブツブは、実はパッケージの印刷だった。色数を抑えたとはいっても、アジアンな雰囲気が十分に出ている。

また、タピオカ商品を出しているどこのチェーンやメーカーにも言えることだろうが、大ブームによってタピオカの原材料が非常に品薄になっている状態とのこと。ローソンストア100でも、さまざまな原材料メーカーにあたり、全店での販売に耐える量を確保したそうだ。また、製造ラインの確保にも苦労した。

「タピオカミルクティーは『飲料』に『固形物』を充填するという特殊な工程が必要ですが、それができる飲料メーカーは限られています。ローソンストア100で販売しているスムージーのメーカーが製造できるようになったことから、今回販売が可能になりました」(森氏)

ここで、専門店のタピオカドリンクと、コンビニのチルドコーナーで販売されているタピオカドリンクの決定的な違いについて説明しておこう。

タピオカドリンクのおいしさの大部分を占めているのが、弾力があってモチモチしている、タピオカの食感だ。原料となるキャッサバという芋のでんぷんが、この特有の食感を生み出している。しかし、時間が経つと劣化してかたくなり、さらに溶けてねばりが増し、タピオカ同士がくっついてしまうという難点がある。つまりタピオカのおいしさは、鮮度にかかっているわけだ。

一方、流通にのせるタピオカドリンクは、時間を置いても品質や味が保たれる必要がある。こうした条件で、いかにタピオカらしいタピオカを作るかということが、メーカーに課された使命になる。

今回発売のタピオカミルクティーでは、主成分のキャッサバ粉にこんにゃく粉を混ぜることで、粒同士がくっついたり、かたくなることを防止している。またミルクティーのおいしさにもこだわり、インド地方のアッサム茶葉を使用した。開発には半年かかったそうだ。

大容量なファミリーマートのタピオカミルクティー

一方、ファミリーマートでは、実は2009年からタピオカミルクティーを販売。業界では「第2次タピオカブーム」と呼ばれている時期にあたる。以来、細かなブラッシュアップを繰り返したり、アイテム数を増やしながら継続して販売してきた。そして7月16日には、400gの大容量でその名も「たっぷりなタピオカミルクティー」(258円税別)を発売。タピオカ量も50gとたっぷりだ。


ファミリーマートでチルド飲料・冷食を担当している横田耕平氏(筆者撮影)

「商品コンセプトは『たっぷり』です。近年、たっぷり飲みたいというニーズが高まっています。ペットボトル飲料も徐々に大容量化してきていることにお気づきかと思います。

背景には、働き方の変化で『ちびダラ飲み』が増えてきたことがあります。オフィスのデスクで飲みながら働くということが普通になっている。そういった方には、大型のほうがコスパがいい、ということです」(ファミリーマートチルド飲料・冷食開発担当の横田耕平氏)

また、こちらも本格的な紅茶の味にこだわり、抽出方法を工夫して、茶葉の味や香りを濃く出しているという。味わってみると、なるほど紅茶の味がはっきりしている。甘さはやや控えめぐらいだ。タピオカ量が多いせいか、ストローで吸うと1口目でタピオカが入ってくる。タピオカは存在感があって、少しかために感じられる。

「ファミリーマートでのタピオカドリンクの歴史は、食感との闘いです。お客様からもいろいろとお叱りもいただいています。その点ではともに改良を検討しているところです」(横田氏)

今回発売の「たっぷり〜」では、容器を大容量化する必要があったことから、メーカーを変更しているものの、ミルクティーのタピオカの味とのバランスなどは従来のものに合わせたとのこと。タピオカのサイズは専門店のものを参考にしたそうだ。

しかし飲み比べてみたところ、やはり味わいにはかなり違いがあり、従来のもののほうが、よりタピオカ自体の味が濃い。またタピオカがやや柔らかいように感じた。どちらをおいしいと思うかは好みによるだろう。

しかし、原材料が不足がちな状況下にあって、さらに大容量化した商品を発売できるところが、さすが先発の強みと言えるだろうか。では、大容量化した「たっぷり〜」の反響はどうだろうか。

「今年に入って、タピオカドリンク全体の売り上げが上がっていて、前年同期比も2倍に伸びています。そこへ、7月に発売した『たっぷりなタピオカミルクティー』も、供給が間に合わないほどになっており、ありがたくもあり、申し訳なくもあり、という状況です」(横田氏)

専門には及ばないがコンビニならではの強みを生かす

やはり容量が大きいことは、客層にも影響している。コンビニの客層の比率が男女55:45のところ、従来のタピオカミルクティーは女性に人気があり、30:70。しかし「たっぷり〜」については、35:65という割合になっているそうだ。

ファミリーマートでは、チルド商品の特徴を生かした商品とすることで差別化していきたいという。

「例えば、はやっているものを、より広い地域でより手軽に手にとってもらうことができます。専門店の味をそのまま再現することはできませんから、どのように特徴づけるかというところが課題です。

チルドの大きな特徴は、飲料に固形物をプラスできること。タピオカミルクティーの専門店では、カスタマイズできることも人気の理由の1つですね。そういったところも、商品の参考にしていきたいと思っています」(横田氏)


「のむりんご酢」「ずんだシェイク」などの腹持ちのよいチルド商品の売り上げが好調だ(筆者撮影)

横田氏によれば、チルド商品の魅力は「腹持ちがよいこと」だという。つまりタピオカミルクティーのように、固形物がプラスされていることが大きい。最近発売した「のむりんご酢」「ずんだシェイク」(いずれも184円税別)なども好調だそうだ。

流行が熱しやすく冷めやすいのが、日本の市場の難しいところ。タピオカは長く続いているとはいえ、またいつ低調になるかわからない。長年かけておいしさを追求してきたファミリーマートとしては、どう考えているのだろうか。

「2009年の発売以来、一定のニーズはあるんですね。すでに日常的に飲まれるものになっているのかなと思います。今はまさにタピオカブームと言われていますが、この先まったく需要がなくなる心配はしていませんし、今後もお客様の声を取り入れながら、ブラッシュアップを続けていきたいと思います」(横田氏)

コンビニといえば、今回紹介しなかったセブン-イレブンも、もちろんタピオカミルクティーを販売している。さらに、「大きなタピオカみたいな大福」など、タピオカ人気にあやかった関連商品の裾野も広がっているようだ。

タピオカミルクティー1つとっても、それぞれの戦略があり、また味わいも三者三様、微妙に異なる。専門店には及ばないながら、日常にちょっとした驚きと楽しみを与えてくれるコンビニ商品として、独自の進化をしていくようだ。