ガソリンの品質はずっと同じではなく、だんだんと劣化します。クルマのタンクに長く残ったガソリンが、様々な危機に悪影響を与えることもあります。

3か月? 6か月? ガソリンの使用推奨期間

 ガソリンに使用期限のようなものはあるのでしょうか。家の近くだけでたまにしかクルマに乗らないような場合、何か月も給油しておらず、長期間タンクにガソリンが残ったままといったことも考えられます。どうなってしまうのでしょうか。


長く給油していないとタンク内のガソリンが劣化することがある。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 石油の業界団体である石油連盟(東京都千代田区)は、「石油製品は基本的に『生もの』」といい、次のように話します。

「たとえば備蓄用の軽油や灯油については、直射日光を避け、涼しい場所に密閉して保存した場合であっても、使用推奨期間として6か月を目安としています。ガソリンは個人が備蓄するのは危険であるため、使用期限などはあえて明示していませんが、劣化に関しては軽油や灯油と同等に考えてよいでしょう」(石油連盟)

 一方、出光興産は、密閉状態で冷暗所に保管した場合でも「一般的には3か月が目安」と話します。ただし、ガソリンが劣化する速度は光や空気の影響など、保存環境によっても大きく異なるため、「このくらいの期間なら大丈夫」とは明示していないそうです。クルマの燃料タンクに残ったガソリンの場合、環境はあまり良いとは言えないでしょうから、3か月を待たずにガソリンを入れ替えていったほうがよいかもしれません。

燃料タンクを腐食させることも

 石油連盟によると、劣化したガソリンは酸化が進み、場合によっては燃焼不良などの不具合を引き起こす恐れがあるといいます。また出光興産は、長く放置されたガソリンは液化したゴムのようにベタベタした状態になり、機械の汚れや目詰まりの原因にもなるほか、最悪の場合は燃料タンクを腐食させ、ガソリン漏れを引き起こすおそれがあると話します。

「劣化したガソリンは異臭がしてきます。こうなるとタンク内のガソリンをなるべく早く入れ替えていくことが重要ですが、ガソリンを残したまま何年も放置した車両などは、ロードサービスを呼ぶなどして専門家に抜いてもらったほうがよい場合もあります」(出光興産)


三菱「アウトランダーPHEV」。EVモード主体で給油が一定期間なされないと、エンジンが始動する(画像:三菱自動車)。

 ちなみに、外部から走行用の電源を供給できるPHEV(プラグインハイブリッド車)では、EVモード(電源走行)が主体となり、ガソリンがあまり使われないままになることを想定した機能が付いている場合もあります。

 三菱「アウトランダーPHEV」では約3か月間、15L以上の給油が1度も確認されなかった場合、EVモードが自動的に解除されエンジンが始動します。またトヨタ「プリウスPHV」では、インフォメーションディスプレイに「長期間燃料が補給されていません。燃料を補給してください」とアラートが出ます。