花火大会にバーベキュー……夏の予定は色々あるけれど、どんなイベントよりもワクワクするのはやっぱり、ひと夏の恋(♡)パートナーがいる人もいない人も、「ひと夏の恋」が描かれた作品できゅんとして、恋愛スイッチを入れてみるのはいかが?

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(1995年)

『6才のボクが、大人になるまで。』などのリチャード・リンクレイター監督作品。『ビフォア・サンセット』『ビフォア・ミッドナイト』と、18年越しの恋愛物語を描いた「ビフォア」シリーズの一作目。

パリへと向かう列車の中で出会ったアメリカ人の青年ジェシーとフランス人女性のセリーヌ。車内での偶然の出会いから意気投合した二人は、ウィーンで途中下車をし、14時間だけという約束で一緒に過ごすことに。橋の上や墓地、遊園地など、気の向くままに街を歩きながら、夜通し語り合う二人だったが……。

街を歩きながら会話をする二人。ただそれだけなのに、シーンを追うごとに変化していく二人の距離感やちょっとした仕草がドラマチック。
自然な会話や言葉選びがまるで本当のカップルのようで、ついつい引き込まれてしまいます。

旅の途中で知り合った相手、限られた時間……そんな“条件付き”の恋愛ほど、忘れることのできない思い出になるもの。いつまでも心に深く刻まれる恋愛に、過ごした時間の長さは関係ない。そんなことに気づかせてくれる作品です。

『ラスト・サマー 〜この夏の先に〜』(2019年)

監督はウィリアム・ビンドレイ。『リバーデイル』アーチー役のK・J・アパなど、注目の若手キャストが出演するNetflixオリジナル作品。

シカゴの高校を卒業した4人の男女の、大学進学前の最後の夏休みを描いた青春群像劇。夏休みをきっかけに、長年片思いをしていたフィービーと距離を縮めていくグリフィン。付き合っていたエリンとアレックは、大学進学で遠距離になることを理由に、夏休みに入り別れることに。それぞれの恋愛や友情が、夏のはじまりとともに動き出す……。

高校生活最後の夏であり、人生の次なるステージへ向けた最初の夏。そんな10代の若者たちのかけがえない瞬間がリアルに、でもキラキラと描かれた本作。個性豊かなキャラクターがたくさん登場するので、自分に重ね合わせて懐かしんだり、共感したりと必ず楽しめるはず!

切ない恋愛や苦い思い出も「夏のせい」にして、また前に進んでいけばいい。夏休みがない大人にこそ、心を軽くして観てほしい「青春っていいな」と爽やかに思える作品です。

『SPF-18』(2017年)

アレックス・イスラエル監督作品。『ソウル・サーファー』などのマイケル・バーグが脚本を担当。

ロサンゼルスに住む恋に奥手で真面目な性格の主人公ペニー。高校最後の夏休み、恋人のジョニーに誘われ、マリブにあるセレブの豪邸でバカンスを過ごすことに。しかし、謎多きミュージシャンの卵ベイカーと出会い、次第に心惹かれていく……。二人の間で揺れ動くペニーの、ひと夏の経験を描いた青春ストーリー。

非日常な空間で巻き起こる、決して派手ではないけど、ドキドキと胸が高鳴るひと夏の恋愛。淡い恋模様とともに、自分自身がどうなりたいのかについても模索する、18歳の少女ペニーの健気な姿に誰もがきゅんとするはず。

ペニーたちが過ごす“セレブの豪邸”は、なんとキアヌ・リーブスの別荘! そして、本人がまさかのカメオ出演!! いくらなんでも非日常すぎる設定に、思わずクスっと笑えるポイントも多く、気楽に楽しめる作品です。

劇中歌に流れる80年代の楽曲や、ペニーたちのファッションもかわいく、ゆるーく観ているだけでも夏の気分を盛り上げてくれること確実です。女子会のお供にもおすすめ♡

『旅するジーンズと16歳の夏』(2005年)

世界中でベストセラーとなった「トラベリング・パンツ」の映画化。『そんな彼なら捨てちゃえば?』などで知られるケン・クワピスが監督を務める。

母親同士が親友で、生まれる前から一緒のブリジット、リーナ、ティビー、カルメン。幼なじみの4人は、16歳になりはじめて別々の夏休みを過ごすことになる。

そんな4人が見つけたのは、体型が違う彼女たち誰もにジャストフィットするジーンズ。「不思議なジーンズが、幸運をもたらしてくれる」そう感じた彼女たちは、離れて過ごす夏休みに、そのジーンズを順番に履いていくことにするが……。

体型だけでなく、性格も恋愛の仕方も違うそれぞれの女の子たちが、ひと夏の経験を通して成長する姿を映し出した本作。内気なリーナの初めての恋、ブリジットの歳上コーチへの片思いなど、甘酸っぱい恋愛ストーリーもありながら、家族との絆や人生についての描写もとても丁寧に描かれています。

そしてなんといっても、きらめく4人の友情が最高。「ひと夏の恋」がうまくいってもいかなくても、いつも傍にいて話を聞いてくれる友達がいないと意味がない!

観終えたあとはきっと、女友達と恋や人生について思いきり語りたくなるはず♪

『君の名前で僕を呼んで』(2017年)

監督は『サスペリア』のルカ・グァダニーノ。2019年アカデミー賞 脚色賞受賞作品。

北イタリアの避暑地で家族と過ごす17歳の少年エリオは、父の研究の手伝いに来た24歳の大学院生オリヴァーと出会う。共に時間を過ごすうち、エリオはオリヴァーに恋心を抱くようになる。やがてその想いはオリヴァーに通じ、互いに心惹かれていくが、夏の終わりとともに別れの時も近づいてきて……。美しい青年たちのひと夏の恋を描いたストーリー。

思春期の少年のひと夏の経験と成長が、美しい風景と共にどこまでも儚く繊細に描かれた作品。切なく歯がゆいからこそ、鮮烈で美しい思い出となる「ひと夏の恋」。素朴な北イタリアの景色や、静かに流れる二人の時間が穏やかであればあるほどに、いつか来る夏の終わりを思って胸がきゅっと締め付けられるような感覚に陥ります。

観終えたあとの余韻が心地よくて、深く心に残り続ける、夏終わりに一人でじっくりと楽しみたい作品。映像や音楽の美しさも、圧巻です。

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