ジャニー社長、ズバ抜けて高かった “危機を丸く収める” トップの責任能力
ジャニーズ事務所の社長、ジャニーズ喜多川さん(享年87)は、アイドルを輩出した“生涯プロデューサー”としてたたえられ報じらているが、
「危機管理のスポークスマンだった」
と、ベテラン芸能記者は伝える。
大手の芸能プロダクション同様、ジャニーズ事務所にもメディアの窓口である広報担当者がいる。テレビ、新聞、雑誌、ウェブなどありとあらゆるメディアの取材に応じているが、
「ジャニーさんしか、ここぞというときのスポークスマンはできなかった」(前出・ベテラン芸能記者)
最後に混乱をおさめる存在
ジャニーさんが大切にしたのは、スポーツ紙のジャニーズ担当記者。演出する舞台の初日直前に、取材に応じることが多かったが、録音はしない、写真は撮らないというのが両者の約束だったという。
前出・ベテラン芸能記者が続ける。
「嵐の活動休止の際も、SMAPの解散の際も、最後に取材に応じて混乱をおさめるのがジャニーさんでした。質問にNGはありません。記者も聞きたいことも聞く。数年前、SMAPが解散するという情報が長い間メディアにくすぶった際も、最後に否定のインタビューを受けたのはジャニーさんでした」
しかしその後、SMAPは2016年12月に解散。翌年6月、事務所との契約を期間満了とする9月8日をもって終了することになった、稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾の3人に向けて、印象的なコメントを発表し、“わだかまり”を一蹴した。
《昨年12月31日にSMAPの解散が決まり、私は5人がグループであっても個々であっても縁があったから今日に至ったと思い、今までと変わらず接してきました。
このたび3名が自分たちの決意で異なる道を歩み始めますが、どこにいようとも、またどのような立場になろうとも、彼らを想う気持ちに変わりはありません。
長年にわたって頑張ってきてくれた3人ですので、これからもたくさんの人々に感動と幸せを届けてくれることと確信しています。》
また、嵐の活動休止発表の際、会見で大野智は、「『20年という年月をよく頑張ってくれた、ありがとう』という言葉をいただきました」と、ジャニーさんからねぎらいの言葉をもらったという。
世間を賑わす大ニュースでも、ジャニーさんが言葉を発すると、不思議と納得してしまうファンも多い。危機を丸く収めるトップとしての振る舞いが、なんとも絶妙だったが、
「ジャニーさんのこの役割を担える人が、実はジャニーズ事務所にはいない。滝沢秀明氏には、ひと言で事態を収拾するための権限がない。新社長とみられる藤島ジュリー景子さんにしかその役割は負えないのですが……」
ジャニーさんの死去によって、多くのものが失われた。それらをリカバリーすることはできない。
<取材・文/薮入うらら>