約20年前のジャニー喜多川社長と、滝沢秀明氏

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 ビートルズを世界的なバンドに育て上げた敏腕マネージャー、ブライアン・エプスタイン氏が亡くなったとき、メンバーのジョン・レノンは「僕たちは今、嵐の中に取り残された船に乗っているようなものだ」という発言で不安を打ち明けたことがあった。ジャニーズ事務所所属のタレントやJr.はもちろん、事務所スタッフも今、そんな気分ではないだろうか。

【貴重写真】約20年前のジャニー喜多川社長

 タレントを発掘するジャニー喜多川氏(享年87)と、経営面を支えた藤島メリー泰子氏(92)のふたりで作り上げてきた男性アイドルによるショービジネスのモデルは、ジャニーさんの死により大きな力を失った。

“混乱期”に突入

 いずれ世代交代は避けられないと見て、ジャニーズ事務所は布石を打ってきたが、

「ちょっと遅かった。自分たちの帝国を過信しすぎた」

 とはスポーツ紙の元ジャニーズ担当記者だ。こう続ける。

「今年から滝沢秀明さんにプロデュース業などを引き継ぎはじめましたが、目先のきくジャニー(喜多川)さんとしては、タレント発掘ほどスムーズに判断を下せなかった。遅きに失した、という感じですね」

 継承のための時間が、もう2、3年あれば何の問題もなかったが、誰もがずっと先に、と願っていたジャニーズ事務所社長のジャニー喜多川さんのXデーは、あまりにも早くやって来てしまった。

「ジャニーズ事務所は混乱期に突入した」

 そう冷ややかに見るのは芸能プロダクション幹部だ。この混乱期を乗り越えられるかどうかは、タレントというソフトを供給できるかどうかというタッキーの手腕次第になる。

「メリーさんの仕事は、娘の藤島ジュリー景子副社長に引き継がれていますが、今後、重圧がかかるのはタッキーに対してです。生前、ジャニーさんがグルーピングした『HiHi Jets』や『美 少年』といったユニットがメジャーデビューの待機組としていますが、タッキーがグルーピングしたグループはまだない。Jr.全体が好きなタッキーが、どんなグループを作っていけるのか。

 そして第1号アイドルグループを、是が非でも成功させないといけませんから、タッキーの決断がジャニーズ事務所の命運を握ることになるでしょうね」(前出・スポーツ紙元ジャニーズ担当記者)

 芸能界全体が固唾をのむジャニーズ事務所の行方。ジャニーズ事務所が初めて迎えるカリスマ不在の時代。ジャニーさんの慧眼(けいがん)を受け継ぐのは、そう簡単なことではない。

取材・文/薮入うらら