ロッテの香月一也

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 ロッテの香月一也は、三木亮の脳震盪特例措置で代替選手として昇格したが、三木が復帰後も角中勝也が一軍登録抹消された際、出場選手登録を継続されたため現在も一軍でプレーしている。

 昨季は二軍でチームトップタイの12本塁打を放ちながらも、一軍の出場がなかった。プロ5年目を迎えた今季はオープン戦で一軍を経験したが、開幕は二軍スタート。「いつ呼ばれてもいいように準備はしてきました」と二軍戦では3試合連続無安打という試合はなく、コンスタントに安打を重ね、一軍昇格に向けてアピールを続けるとともに、「ファームだったらずっとスタメンで使ってもらえましたが、(一軍では)少ない打席の中でモノにしていかないといけない。ファームの1打席目とかは、代打のイメージでやっていましたね」と一軍を想定し打席に入るなど工夫した。

 そして、2年ぶりに掴んだ一軍の舞台。香月が本職にするサードにはリーグ2位の17本塁打を放つレアードがおり、二軍で守ることの多いセカンドも中村奨吾、ファーストも鈴木大地、井上がいる。一軍の試合に出場するとなると、代打や守備固めからという可能性が非常に高い。だからこそ、一軍に定着するためには、代打での1打席で結果が求められる。

 今季一軍初出場となった5月24日のソフトバンク戦は代打で登場し、三邪飛に倒れたが、同月28日の日本ハム戦では9回二死一塁から代打で、守護神・秋吉亮が投じた初球のストレートをバットを折りながらも、気持ちでライト前に運んだ。「代打なのでボールを見るとかよりも、初球から振っていかないと意味がない。ただ振るじゃなくて、ストライクゾーンをしっかり振っていくイメージでやっています」と、初球から積極的にバットを振っていくことを心がける。また、2年ぶりに一軍の試合で“H”のランプを灯したが本人は「久しぶりだなという感じです」と久々のヒットに浮かれたり、喜んだりすることはなかった。

 昨年は後輩の平沢大河、安田尚憲が一軍へ上がっていく中、ファームで悔しい思いをしてきた。それでも、腐らず黙々とその時に備えバットを振ってきた。その姿を多くのマリーンズファンも、ロッテ浦和球場などで見てきたのではないだろうか。

 1打席で結果を残すため、打席内でなんとか出塁しよう、打ってやろうという気迫、必死さがこちらにも伝わってくる。ようやく巡ってきたチャンス。この好機を活かし、一軍定着への足がかりにしたい。

取材・文=岩下雄太