高崎山の人気ザル総選挙、シャーロットは連覇ならず 破ったのは新星「ピコ」と苦労人「サヤカ」
分県大分市にある高崎山自然動物園では2014年から、同動物園で見ることができる野生のニホンザルを対象とした「人気ザル(♀)総選挙」を実施している。この総選挙で2015年、2016年と連覇していたのが、英王室のシャーロット王女と同じ名前を持つ、「シャーロット」だった。
3連覇もなるかと思われていたが、2018年1月24日の結果発表ではまさかの3位にランクダウン。2017年に生まれた「ピコ」に1位の座を奪われてしまったのだ。
大切なのは若さや知名度だけじゃない
これまでの選挙結果でのシャーロットの人気は圧倒的だった。初登場となった2015年の得票数は2255票で、2位の「カラオケ」407票の5倍以上。翌年も762票で2位の「リオ」260票を約3倍上回っている。
しかし、今年の結果発表で1位となったのはピコ(392票)、2位も「サヤカ」(336票)で、シャーロットは3位(300票)に沈んだ。
やっぱり赤ちゃんは可愛いですよね
盤石な人気を誇るシャーロットの敗因は何だったのか。Jタウンネットは事情をもっともよく知るであろう高崎山自然動物園に取材を行った。見えてきたのはシャーロットの慢心――ではない。
「シャーロットも2歳になり、相変わらず注目度は高いものの、人気の旬は過ぎてしまったのかなという印象です。シャーロットはその年に生まれた第1号として人気になりましたが、今回1位になったピコも2017年の第1号。最初に生まれた赤ちゃんの人気はとても高いんです」
単純に世代交代、赤ちゃんだから可愛いというわけでもない。2位になったサヤカは24歳と、今回選挙に参加したメスザル10頭の中では最高齢で、ベテラン中のベテランだ。
生まれたタイミングだけがポイントになるなら、サヤカはもっと下位でもおかしくないが、これにもきちんと理由がある。ご存知の方もいるかもしれないが、サヤカにはある事情から根強いファンがいるのだ。
「サヤカは生まれつき両手が不自由だったのですが、自然の中でたくましく生き抜き、頑張って子育てまでこなしてきました。そんなサヤカのことを応援し続けてくれるファンの方が非常に多く、今回の総選挙ではネット投票を実施しましたが、ほとんどがサヤカへの票でした」
確かに、2014年・2015年は4位(332票、213票)、2016年は3位(200票)と、サヤカは常に一定数の票を獲得し上位に入っている。
若さや可愛さ、知名度だけではない。ニホンザルの生き様に惹かれ、応援するファンも少なくないということだ。なんだか急に記者も人は見た目だけじゃない、という気持ちになってきた。
イケメンランキングもやってます
実は高崎山自然動物園では「人気ザル(♀)選抜総選挙」よりも前から、「イケメン(♂)総選挙」が実施されている。こちらはメスに比べると例年比較的順位の変動が大きく、変化に富んでいる印象だ。
できるオスザルには顔も地位もあるのだ
人気事情もメスとは異なるようだが、上位陣に食い込む理由は何かあるのか。
「写真写りの良さです。メスは詳細なプロフィールや特徴をポスターなどで紹介しているのですが、オスは写真のみを掲載しています。常連のお客さまは顔の見分けがつくので『自分が好きなあのオスに』という投票ができるのですが、そうでない方は純粋に顔だけで選ばれます」
記者の気持ちもすぐに切り替わった。やはり人も顔だ。さらに世知辛いことに、上位陣は所属する群の中でも上位のオスが多く、今年1位となった「ブラック」はCグループという群のボス。例年2〜5位にランクインする「ムサシ」も、Bグループの上位メンバーだ。やはり、自信が表情にも表れるのだろうか。
強いて救いがあるのは、上位陣は若くてイケメンというわけではなく、それなりの年齢のオスたちだという点。人間的に成熟し、それなりの地位になれば、顔がついてくる......と信じておこう。