「『池の水を抜くだけの番組です。それで2時間いきます』っていうオファーが、紙一枚の企画書で来て。ただただ、ビックリしました(笑)」

池の水ぜんぶ抜く』(テレビ東京系)は、2時間番組としては、きわめてシンプルな内容。だが、第1回からMCを務めるココリコ・田中直樹は「おもしろそうだな」と思い、出演を即決した。

「池の水を抜いた状態って、まず目にすることがないじゃないですか。すごく新鮮なんですよ。泥の深さも、どんな生き物がいるかもわからない。抜けたと思ったら、湧き水が流れ込んできたり。

 ほかの番組は、スタッフさんが結末を知ったうえでタレントがロケをすることが多いんですが、この番組は、全員が同じタイミングで驚くんです」

 回を重ねるごとに見学者や手伝い希望者が増えている。

「ロケは週末が多いので、地元の子供たちも集まってくれて。この番組は、やってみないと撮れ高が本当にわからない。テレビ的に引っかかるものが出ないときもありますが、それはそれでありのままを見てほしいですね」

 発見した生き物の解説をする監修役が、自然との共生を理念とするNPO birthの久保田潤一さん。

「たとえば、多くの日本人に愛されているコイは、数年前まで在来種扱いでした。しかし番組では『外来種であり駆除すべき』とはっきり打ち出しています。生物多様性の保全という意味で、時代を変えるような出来事だと思います」と、番組の意義を語る。

「心がけているのは、池の在来種をいかに多く救い、元に戻すかということ。それと、正しい情報をわかりやすく伝えることです。日本では外来種の生物が、原産地では絶滅危惧種ということもあります。誰かが持ち込んでしまったために、駆除対象になってしまう。そういう状況を理解していただけたら、嬉しいですね」

 番組プロデューサーの伊藤隆行さんは、番組立ち上げ時をこう振り返る。

「(放送されている)『日曜ビッグバラエティ』の時間帯は裏番組が強く、苦戦していました。そこで思い切って、池の水を抜くだけという番組を立ち上げました」

 第1弾の視聴率は、6%に届けばと思っていたところが8%超え。

「『うちの池の水も抜いてほしい』というお手紙やメールも届きました。そういう声に応えるため、第2弾でも、派手な要素が見込める池をリサーチするというような、一般的な番組作りの手法を取らず、本当に困っている人のところに行きましょう、となりました。

 放送時期も『なんとなく半年後』という、テレビマンの勝手な都合に従わず、最大限早く、世間の声に反応していこうとしています。そういう意味でも、すべてが想定外の番組なんです」
(週刊FLASH 2017年12月5日放送)