イタリア・セリエAの試合中に人種差別の被害を訴え、試合を途中で放棄したペスカーラMFサリー・ムンタリが5日、「犯罪者のように扱われた」と心境を明かした。

ムンタリは4月30日のセリエA第34節カリアリ戦で、終了間際に主審に人種差別の被害を訴えたが、聞き入れられず。試合中断を求めて激しく抗議したが、逆に主審からイエローカードを出されたことを受け、憤慨してピッチを後にした。

許可を得ずにピッチを後にしたことで、主審はムンタリに2枚目のイエローカードを“提示”。ムンタリは5月7日のクロトーネ戦で出場停止となった。

だが、人種差別の被害者であるムンタリが処分されることに、FIFPro(国際プロサッカー選手会)らが抗議。イタリアサッカー連盟は5日、処分を撤回することを決定し、ムンタリはクロトーネ戦に出状可能となった。

これを受け、FIFProのインタビューで、ムンタリは次のようにコメントしている。


「ようやく僕の話を聞いてくれた人たちがいるという気分だ。この数日は非常につらかった。怒りと孤独を感じていたよ」

「僕は犯罪者のように扱われた。人種差別の被害者だったのに、どうして罰せられる?」

「ほかのサッカー選手たちが僕のように苦しまないように、僕のケースが役立つことを願う」

「イタリアにおけるターニングポイントとなり、自分たちの権利のために立ち上がる意味を世界に示せたことを願っている」

「サッカーであろうと、一般社会であろうと、人種差別が許される余地はないというメッセージを発信するうえで重要な勝利だ」

また、ムンタリは6日に自身のツイッターで、支援した人々や機関に感謝しつつ、次のようにメッセージを発信している。




「僕は断固として人種差別と闘う。サッカーはひとつの種、人間という種に対する敬意をもたらさなければいけない」

ムンタリのツイートには、かつてミランでチームメートだったラス・パルマスMFケヴィン=プリンス・ボアテングが「一緒に闘おうぜ、兄弟」とすぐに反応。


ツイートには一般のファンからも多くの声援が寄せられ、5000を超えるリツイート、7000を超える「いいね」を集めている。

日本でも海外でも、さまざまな問題が絶えないサッカー界。ムンタリの声が届き、少しずつでも改善されることを願うばかりだ。