4月30日に行われたセリエA第34節、カリアリ対ペスカーラの一戦で、ペスカーラMFサリー・ムンタリが試合終了間際に人種差別の被害を訴え、自らピッチを後にした。

ムンタリは終了直前の88分、プレーが止まった際にダニエレ・ミネッリ主審に猛抗議。自らの腕を叩くなどして訴えたが聞き入れられず、試合が再開されてからも第4審判に抗議を続けた。

それでも審判団はプレーを続行。ムンタリは再びミネッリ主審に抗議する。すると、ミネッリ主審はムンタリにイエローカードを提示。選手はこれを受けて自らピッチを後にした。

試合は1-0でホームのカリアリが勝利。なお、ペスカーラはすでにセリエB降格が決まっている。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、ペスカーラのズデネク・ゼーマン監督は試合後、「自分で正義を決めてはいけない」と、勝手にピッチを離れたことには苦言を呈しつつ、次のように続けた。

「我々は騒いでばかりで流してしまう。人種差別のことはいろいろと言われているのに、今日は長年イタリアでプレーしているムンタリにそういうことがあった。メンタリティーが変わることを願う」

その後、ムンタリは前半から差別の被害を受けていたとし、審判団が試合を止めなかったことに怒ったと明かしている。


「見てのとおりだ。前半からサポーターは(差別)チャントをしていた。両親と一緒の子供までね。だからオレはそこに行き、やめるように行って自分のユニフォームをあげた。そういうことはしちゃいけないと教えるためだ。子どもたちが正しく育つように模範を示さなきゃいけない」

「そして後半、また彼ら(カリアリサポーター)のゴール裏でああいうことがあった。だからオレは主審と話したんだ。そこでキレたんだよ。観客と話しちゃいけないと言われたんだ。だから『あんたには聞こえないのか?』と聞いて、試合を止める勇気を持たなきゃいけないと言い続けた。審判は笛を吹くためだけじゃなく、すべてのためにいるんだ。そういうことも耳にし、模範であるためにね」

一方、カリアリのステファノ・フィルッキ副会長は次のようにコメントしている。

「ベンチにいた我々には人種差別チャントが聞こえなかった。ゴール裏の前にいた副審も同じだと思う。だから何もしなかったのだろうし、主審にも何か決定的なことを伝えたりしていないと思う。主審も対応しなかった」

「カリアリのサポーターは人種差別主義者じゃない。それは我々のチームや歴史、伝統が示している。そのうえで、あらゆる人種差別や暴力をクラブが強く非難することは当然だ」