Amazonで低評価の嵐「モンスターハンターダブルクロス」はそんなにダメ作品なのか徹底検証してみた
3月18日に発売されたNintendo 3DS用ソフトの『モンスターハンターダブルクロス(以下MHXX)』。前作『モンスターハンタークロス(MHX)』は2015年11月28日発売のため、約15ヶ月ぶりの新作だ。期待していた人も多いだろう。
ところが、一部のサイト、たとえばAmazonなどでは評価が低い。いい評価のサイトもある中で、Amazonの低評価の多さはひときわ目立つ。果たして本当に低評価に甘んじる作品なのか、検証していきたい。
なお、本作はMHXの強化版にあたるため、前作のレビューも同時に参照していただきたい。
まずは本作のMHXXがどういう位置づけにあるのかを確認しよう。モンスターハンターシリーズはかなりの数がリリースされている。オンラインゲーム版のモンスターハンターフロンティアや、派生作品、高解像度版のHD Ver.を除いても、これだけの数が出ている。
モンスターハンター(PS2)
モンスターハンターG(PS2)
モンスターハンター ポータブル(PSP)
モンスターハンター2(ドス)(PS2)
モンスターハンターポータブル 2nd(PSP)
モンスターハンターポータブル 2nd G(PSP)
モンスターハンター3(トライ)(Wii)
モンスターハンターポータブル 3rd(PSP)
モンスターハンター3(トライ)G(3DS)
モンスターハンター4(3DS)
モンスターハンター4G(3DS)
モンスターハンタークロス(3DS)
モンスターハンターダブルクロス(3DS)
これを見てみると、数字の入ったナンバリングタイトルが出て、そのあとに「G」がついたシリーズが発売されていることに気づく。「G」シリーズは、モンスターが従来の下位や上位だけでなく、その上の「G級」と呼ばれる強いものが登場する、いわばパワーアップ版だ。
MHXXはモンスターハンタークロスのいわば「G」シリーズに相当する。MHXの内容はほぼ全て内包しつつ、G級モンスターなどの追加要素が加わったものだ。セーブデータを引き継げるので、MHXで育てたキャラクターや集めた武器防具、素材等のまま、新しい狩りへと旅立てる。
ちなみに、これからMHXXを始めようとしている人で、MHXをやっていた人は、セーブデータを引き継ぐ前にMHXのDL特典を確認した方がいい。MHXは2月に最後のDL特典が配布されたため、それをダウンロードしてから引き継いだ方が、使えるアイテムやお金が増えるからだ。
低評価をつけている人達は、ここが一番気にくわないようだ。MHXのちょっとだけ拡張版であるならば、フルプライスではなく、それなりに安い価格(無料という意見もあった)にしてくれというものだ。
グラフィックに関しては、おそらく3DSではこれ以上の改善は望めないだろう。全体的にやや粗いし、文字が読めるが若干つぶれている印象を受ける。
では本当に「ちょっとだけ」の拡張なのか、新しく加わった要素や調整されたところを見てみよう。
一番大きいのは、「ブレイブ」スタイルと「レンキン」スタイルという二つのスタイルが加わったことだろう。この二つがとても楽しい。
ブレイヴはその名に反して守りの能力が非常に高いスタイルだ。納刀時に青く光るエフェクトが発生。このときに敵の攻撃を受けると自動的に回避(イナシ)が行われる。ポイントは、普通の攻撃だけでなく、咆哮やゲリョスの閃光をもイナシてくれることだ。困ったらとりあえずイナシと思ってもいい。
Yボタン(納刀ボタン)を押し、納刀モーションを開始した直後から判定を受け付けていて、危ないと思ったらイナシを意識するだけでも被ダメージをだいぶ抑えることができる。Yボタンは押しっぱなしにすることでスタミナと体力が減少していくものの、イナシ状態を継続してくれるので敵の攻撃にぴったり合わせなくていいのもいい。
専用の「ブレイヴゲージ」を貯めることでブレイヴ状態になり、連携が大きく変化、使える技が増える。コンボルートを通常時と2通り覚えなければならないがかなり強力な連携を行える。やりこむほどに強くなっていくと予感させるスタイルでもある。
もう一方の「レンキン」スタイルはかなり独特だ。まず、他のスタイルに比べるとモーションがいくつか削られている(笛の場合はレバーニュートラルX+Aで後ろ方向へ叩きつけるモーション)。
狩りに出ると、アイテム欄に「マカ錬金タル」が増えていることに気づく。約50秒ごと(敵に攻撃を当てても増える)に増えていくレンキンゲージを消費することで、マカ錬金タルから役立つアイテムを生み出せるのだ。
ゲージをたくさん消費するほど、より強力なアイテムを生み出せる。ただし、一気に高レベルのアイテムを生成できるわけではなく、いちいちタルを振らなければならない。このときは無防備なので、レベルの低いものならともかく、大型モンスターと戦っているときに振るのはなかなか難しい。
ゲージを1消費してシャカシャカ振ると2つのアイテムを選択。さらにシャカシャカ振ると別のアイテム2通りを選択。そうやって5ゲージ消費まで、10通りのアイテムを造ることができる。
オススメなものをいくつか紹介しよう。
3ゲージ消費のレンキン耳栓は、使い捨ての耳栓だ。モンスターの咆哮などを一度だけ防いでくれる。特に使う必要はなく、持っているだけで防いでくれるので、スキルで耳栓をつけていない際には非常に役立つ。
4ゲージ消費のレンキンバズーカは、発射すると放物線を描く砲弾を撃てる。低空を飛んでいて、武器が届かないところのモンスターを撃ち落としたりも可能だ。威力はまだ調べている最中だが、大タル爆弾ぐらいの威力はありそうだ。
5ゲージ消費のレンキン癒やしタルを使ってみようと思う人は多いかもしれない。使用すると大きなタルを抱え、その周囲が徐々に回復していく。ある程度時間が経つとタルが爆発し、同エリアにいるメンバーがかなりの量回復する。ただ、運搬と同じなので、タルを抱えている最中に攻撃を受けたり高いところから落ちると落として割れてしまい、回復できない。乱戦の最中に使うことは難しいが、モンスターがエリアチェンジしてパーティー全員が回復などを行う際には威力を発揮する。
同じく5ゲージ消費のレンキン気合玉は、使うと同じエリアのメンバーの狩技ゲージを大幅にアップさせる。全員が狩技を使いまくるスタイルの場合、かなり有用だ。癒やしタルと違って、アイテムを使った際の隙が少ないので乱戦時にも活用できる。
スタイルだけでなく、新たな要素として「SP狩技」(スタイルパワーアップかりわざ)が加わった。発動すると、一定時間全員にさまざまな効果(スタイルによって異なる)がつく。
使い方は、「SP」属性を設定した狩技を使うだけ。ただし、MHXから引き継いだ場合には、スタイル・狩技の設定画面から設定しなければならないので注意しよう。MHXからスタイルの変更も狩技の変更もしないのでそのままでいいと思っていても、一度SP狩技は設定した方がいい。
他のスタイルは、狩技のうち1つにしかSP属性をつけられないが、レンキンスタイルだけは使える3つの狩技全てに設定できる。レンキンゲージを使えば使うほど、SP2、SP3、SP4とSP技がパワーアップしていくようになっている。SP4になると、通常のSP効果の他にスタミナ最大値減少速度ダウン、体力が徐々に回復、攻撃対象を怯ませやすくするといった効果がある。
案外馬鹿にならない効果なので、SP狩技は是非とも設定したい。また、生み出せるアイテムやSP狩技を強化できることも考えると、レンキンスタイルは集会所で多人数プレイをすることでより強力になっていくスタイルといえるだろう。
アイルーで狩りを楽しむニャンターにも「ビースト」状態が加わっている。サポート傾向「ビースト」では「ビースト変化の技」を使うとビースト状態になり、攻撃方法が爪となる。
この状態でコンボの最後の攻撃を当てることで、どんどんとパワーアップしていく。さらにそのパワーアップ状態を「強化咆哮の技」で仲間に伝播させることも可能だ。
他にもガード傾向のアイルーが攻撃をギリギリでガードするとジャストガードが発動したり、ボマー傾向のアイルーが攻撃をギリギリで回避するとジャスト回避が発動したり、新たなサポート行動が増えたりと、ニャンターだけでもかなり多彩なことができるようになっている。なお、前作で強かったスキルは若干弱めに調整されている印象をうけた。
ちなみにこれは笛使いだけが狂喜乱舞する要素だが、とうとう下のパネルに笛の旋律が表示されるようになった。しかも、現在かかっている効果が黄色い文字で表示されるというおまけ付きだ。
ハンター側ではなく、もう一方の主役であるモンスターはどうか。
残念ながら、まったくの新しいモンスターがたくさん増えているというわけではない。ただ、MHXでは登場しなかった、従来のシリーズに登場していたモンスターが多数復活している。
マップに関しても全くの新規のものは少なく、前のシリーズにあったところへ行けるようになっている。そのため、ボリュームが足りないと感じる人がいるようだ。
ただ、この部分に関しては難しい。復活したモンスターも、動きが完全に以前と同じというわけではなかったりするし、獰猛化や二つ名といった、バリエーションも増えている。それぞれ獲れる素材も異なるため、しっかりと集めようと思うとやることは多い。
超強力と思われる武器や防具だけを一直線に作ってそれで終わりと思うとかなり少なく、いろいろやろうと思うといつものようにしっかりとしたボリュームを感じる、ということではないだろうか。
MHXでは素材の連続剥ぎ取りが導入されたり、アイテムをキャンプ地から一度だけ送ることができるようになり、快適な狩りが楽しめるようになった。
ではMHXではというと、これまた地味ながら重要なポイントが強化されている。
ここぞというときに役立つのが「罠破壊」だろう。モンスターハンターシリーズでは「しびれ罠」と「落とし穴」の二つの罠を使うことができるのだが、同時には使えないという制約があった。一度しびれ罠を設置し、モンスターがかからなくて別のエリアに行ってしまった場合、落とし穴を使おうにもしびれ罠が時間経過で壊れるまで設置できないのだ。
モンスターによってはしびれ罠しか効かない、落とし穴しか効かないというものもあるため、間違えて設置すると早く時間よ経ってくれと思うこともあった。ところがMHXXでは、一度設置した罠の上にいくと、タッチパネル上の「特殊攻撃」が「罠破壊」になるのだ。これで、罠を手軽に設置できる。
また、これは待っていた人が多かったと思われるのが「防具合成」だ。
防具は頭、胴、手、腰、足とあり、シリーズごとに統一された見た目となっている。ところが、うまくスキルを組み合わせて使おうとしたりすると、バラバラのシリーズのものを身につけなければならない。そのとき、見た目がどうしても変になってしまうことが多々ある。
そこで、装備したい防具に、この見た目にしたい防具を合成することで、性能はそのままに見た目を変えることができるのだ。これで、見た目をきちんとしたまま狩りに行くことができる。残念ながらある程度ストーリーを進めなければできないので、まずはこれを目指すといいだろう。
他にも、アイテム届け隊でクエスト中に特定のアイテムが尽きたら届けるように設定することができたり、切り落とした尻尾などがマップ上に表示されるようになったりと、全体的にさらに快適度が増している。
こういった新しい要素は、実は多くが説明書にも書かれている。パッケージに説明書が無い分、オンラインで説明書が公開されているのだ。一度読んでおくといいだろう。
個人的にはこの辺りに非常に満足しているのだが、もしかしたら逆に快適になりすぎて、運搬系のクエストなどの不便さというか作業感が際立ってしまったのかもしれない。さらには快適に強い武器、強いスタイルでごり押しできるようになると、モンスターごとに工夫をしなくてもよくなり、作業感が高まってしまい、飽きに繋がるということなのではないだろうか。
全体的にはいつものモンハンが、ちょっとずつ便利で快適になり、みんなで遊ぶ分には十分以上に楽しい。そう感じた。従来のモンハンを従来通りに楽しむ分には、何も不安無くできるだろう。
(杉村 啓)
ところが、一部のサイト、たとえばAmazonなどでは評価が低い。いい評価のサイトもある中で、Amazonの低評価の多さはひときわ目立つ。果たして本当に低評価に甘んじる作品なのか、検証していきたい。
なお、本作はMHXの強化版にあたるため、前作のレビューも同時に参照していただきたい。
モンスターハンターシリーズには「G」がある
まずは本作のMHXXがどういう位置づけにあるのかを確認しよう。モンスターハンターシリーズはかなりの数がリリースされている。オンラインゲーム版のモンスターハンターフロンティアや、派生作品、高解像度版のHD Ver.を除いても、これだけの数が出ている。
モンスターハンター(PS2)
モンスターハンターG(PS2)
モンスターハンター ポータブル(PSP)
モンスターハンター2(ドス)(PS2)
モンスターハンターポータブル 2nd(PSP)
モンスターハンターポータブル 2nd G(PSP)
モンスターハンター3(トライ)(Wii)
モンスターハンターポータブル 3rd(PSP)
モンスターハンター3(トライ)G(3DS)
モンスターハンター4(3DS)
モンスターハンター4G(3DS)
モンスターハンタークロス(3DS)
モンスターハンターダブルクロス(3DS)
これを見てみると、数字の入ったナンバリングタイトルが出て、そのあとに「G」がついたシリーズが発売されていることに気づく。「G」シリーズは、モンスターが従来の下位や上位だけでなく、その上の「G級」と呼ばれる強いものが登場する、いわばパワーアップ版だ。
MHXXはモンスターハンタークロスのいわば「G」シリーズに相当する。MHXの内容はほぼ全て内包しつつ、G級モンスターなどの追加要素が加わったものだ。セーブデータを引き継げるので、MHXで育てたキャラクターや集めた武器防具、素材等のまま、新しい狩りへと旅立てる。
ちなみに、これからMHXXを始めようとしている人で、MHXをやっていた人は、セーブデータを引き継ぐ前にMHXのDL特典を確認した方がいい。MHXは2月に最後のDL特典が配布されたため、それをダウンロードしてから引き継いだ方が、使えるアイテムやお金が増えるからだ。
低評価をつけている人達は、ここが一番気にくわないようだ。MHXのちょっとだけ拡張版であるならば、フルプライスではなく、それなりに安い価格(無料という意見もあった)にしてくれというものだ。
グラフィックに関しては、おそらく3DSではこれ以上の改善は望めないだろう。全体的にやや粗いし、文字が読めるが若干つぶれている印象を受ける。
MHXXの新しい「スタイル」
では本当に「ちょっとだけ」の拡張なのか、新しく加わった要素や調整されたところを見てみよう。
一番大きいのは、「ブレイブ」スタイルと「レンキン」スタイルという二つのスタイルが加わったことだろう。この二つがとても楽しい。
ブレイヴはその名に反して守りの能力が非常に高いスタイルだ。納刀時に青く光るエフェクトが発生。このときに敵の攻撃を受けると自動的に回避(イナシ)が行われる。ポイントは、普通の攻撃だけでなく、咆哮やゲリョスの閃光をもイナシてくれることだ。困ったらとりあえずイナシと思ってもいい。
Yボタン(納刀ボタン)を押し、納刀モーションを開始した直後から判定を受け付けていて、危ないと思ったらイナシを意識するだけでも被ダメージをだいぶ抑えることができる。Yボタンは押しっぱなしにすることでスタミナと体力が減少していくものの、イナシ状態を継続してくれるので敵の攻撃にぴったり合わせなくていいのもいい。
専用の「ブレイヴゲージ」を貯めることでブレイヴ状態になり、連携が大きく変化、使える技が増える。コンボルートを通常時と2通り覚えなければならないがかなり強力な連携を行える。やりこむほどに強くなっていくと予感させるスタイルでもある。
もう一方の「レンキン」スタイルはかなり独特だ。まず、他のスタイルに比べるとモーションがいくつか削られている(笛の場合はレバーニュートラルX+Aで後ろ方向へ叩きつけるモーション)。
狩りに出ると、アイテム欄に「マカ錬金タル」が増えていることに気づく。約50秒ごと(敵に攻撃を当てても増える)に増えていくレンキンゲージを消費することで、マカ錬金タルから役立つアイテムを生み出せるのだ。
ゲージをたくさん消費するほど、より強力なアイテムを生み出せる。ただし、一気に高レベルのアイテムを生成できるわけではなく、いちいちタルを振らなければならない。このときは無防備なので、レベルの低いものならともかく、大型モンスターと戦っているときに振るのはなかなか難しい。
ゲージを1消費してシャカシャカ振ると2つのアイテムを選択。さらにシャカシャカ振ると別のアイテム2通りを選択。そうやって5ゲージ消費まで、10通りのアイテムを造ることができる。
オススメなものをいくつか紹介しよう。
3ゲージ消費のレンキン耳栓は、使い捨ての耳栓だ。モンスターの咆哮などを一度だけ防いでくれる。特に使う必要はなく、持っているだけで防いでくれるので、スキルで耳栓をつけていない際には非常に役立つ。
4ゲージ消費のレンキンバズーカは、発射すると放物線を描く砲弾を撃てる。低空を飛んでいて、武器が届かないところのモンスターを撃ち落としたりも可能だ。威力はまだ調べている最中だが、大タル爆弾ぐらいの威力はありそうだ。
5ゲージ消費のレンキン癒やしタルを使ってみようと思う人は多いかもしれない。使用すると大きなタルを抱え、その周囲が徐々に回復していく。ある程度時間が経つとタルが爆発し、同エリアにいるメンバーがかなりの量回復する。ただ、運搬と同じなので、タルを抱えている最中に攻撃を受けたり高いところから落ちると落として割れてしまい、回復できない。乱戦の最中に使うことは難しいが、モンスターがエリアチェンジしてパーティー全員が回復などを行う際には威力を発揮する。
同じく5ゲージ消費のレンキン気合玉は、使うと同じエリアのメンバーの狩技ゲージを大幅にアップさせる。全員が狩技を使いまくるスタイルの場合、かなり有用だ。癒やしタルと違って、アイテムを使った際の隙が少ないので乱戦時にも活用できる。
スタイルだけでなく、新たな要素として「SP狩技」(スタイルパワーアップかりわざ)が加わった。発動すると、一定時間全員にさまざまな効果(スタイルによって異なる)がつく。
使い方は、「SP」属性を設定した狩技を使うだけ。ただし、MHXから引き継いだ場合には、スタイル・狩技の設定画面から設定しなければならないので注意しよう。MHXからスタイルの変更も狩技の変更もしないのでそのままでいいと思っていても、一度SP狩技は設定した方がいい。
他のスタイルは、狩技のうち1つにしかSP属性をつけられないが、レンキンスタイルだけは使える3つの狩技全てに設定できる。レンキンゲージを使えば使うほど、SP2、SP3、SP4とSP技がパワーアップしていくようになっている。SP4になると、通常のSP効果の他にスタミナ最大値減少速度ダウン、体力が徐々に回復、攻撃対象を怯ませやすくするといった効果がある。
案外馬鹿にならない効果なので、SP狩技は是非とも設定したい。また、生み出せるアイテムやSP狩技を強化できることも考えると、レンキンスタイルは集会所で多人数プレイをすることでより強力になっていくスタイルといえるだろう。
アイルーで狩りを楽しむニャンターにも「ビースト」状態が加わっている。サポート傾向「ビースト」では「ビースト変化の技」を使うとビースト状態になり、攻撃方法が爪となる。
この状態でコンボの最後の攻撃を当てることで、どんどんとパワーアップしていく。さらにそのパワーアップ状態を「強化咆哮の技」で仲間に伝播させることも可能だ。
他にもガード傾向のアイルーが攻撃をギリギリでガードするとジャストガードが発動したり、ボマー傾向のアイルーが攻撃をギリギリで回避するとジャスト回避が発動したり、新たなサポート行動が増えたりと、ニャンターだけでもかなり多彩なことができるようになっている。なお、前作で強かったスキルは若干弱めに調整されている印象をうけた。
ちなみにこれは笛使いだけが狂喜乱舞する要素だが、とうとう下のパネルに笛の旋律が表示されるようになった。しかも、現在かかっている効果が黄色い文字で表示されるというおまけ付きだ。
モンスターとマップは復刻が多い
ハンター側ではなく、もう一方の主役であるモンスターはどうか。
残念ながら、まったくの新しいモンスターがたくさん増えているというわけではない。ただ、MHXでは登場しなかった、従来のシリーズに登場していたモンスターが多数復活している。
マップに関しても全くの新規のものは少なく、前のシリーズにあったところへ行けるようになっている。そのため、ボリュームが足りないと感じる人がいるようだ。
ただ、この部分に関しては難しい。復活したモンスターも、動きが完全に以前と同じというわけではなかったりするし、獰猛化や二つ名といった、バリエーションも増えている。それぞれ獲れる素材も異なるため、しっかりと集めようと思うとやることは多い。
超強力と思われる武器や防具だけを一直線に作ってそれで終わりと思うとかなり少なく、いろいろやろうと思うといつものようにしっかりとしたボリュームを感じる、ということではないだろうか。
より快適なモンスターハンターへと進化している
MHXでは素材の連続剥ぎ取りが導入されたり、アイテムをキャンプ地から一度だけ送ることができるようになり、快適な狩りが楽しめるようになった。
ではMHXではというと、これまた地味ながら重要なポイントが強化されている。
ここぞというときに役立つのが「罠破壊」だろう。モンスターハンターシリーズでは「しびれ罠」と「落とし穴」の二つの罠を使うことができるのだが、同時には使えないという制約があった。一度しびれ罠を設置し、モンスターがかからなくて別のエリアに行ってしまった場合、落とし穴を使おうにもしびれ罠が時間経過で壊れるまで設置できないのだ。
モンスターによってはしびれ罠しか効かない、落とし穴しか効かないというものもあるため、間違えて設置すると早く時間よ経ってくれと思うこともあった。ところがMHXXでは、一度設置した罠の上にいくと、タッチパネル上の「特殊攻撃」が「罠破壊」になるのだ。これで、罠を手軽に設置できる。
また、これは待っていた人が多かったと思われるのが「防具合成」だ。
防具は頭、胴、手、腰、足とあり、シリーズごとに統一された見た目となっている。ところが、うまくスキルを組み合わせて使おうとしたりすると、バラバラのシリーズのものを身につけなければならない。そのとき、見た目がどうしても変になってしまうことが多々ある。
そこで、装備したい防具に、この見た目にしたい防具を合成することで、性能はそのままに見た目を変えることができるのだ。これで、見た目をきちんとしたまま狩りに行くことができる。残念ながらある程度ストーリーを進めなければできないので、まずはこれを目指すといいだろう。
他にも、アイテム届け隊でクエスト中に特定のアイテムが尽きたら届けるように設定することができたり、切り落とした尻尾などがマップ上に表示されるようになったりと、全体的にさらに快適度が増している。
こういった新しい要素は、実は多くが説明書にも書かれている。パッケージに説明書が無い分、オンラインで説明書が公開されているのだ。一度読んでおくといいだろう。
個人的にはこの辺りに非常に満足しているのだが、もしかしたら逆に快適になりすぎて、運搬系のクエストなどの不便さというか作業感が際立ってしまったのかもしれない。さらには快適に強い武器、強いスタイルでごり押しできるようになると、モンスターごとに工夫をしなくてもよくなり、作業感が高まってしまい、飽きに繋がるということなのではないだろうか。
全体的にはいつものモンハンが、ちょっとずつ便利で快適になり、みんなで遊ぶ分には十分以上に楽しい。そう感じた。従来のモンハンを従来通りに楽しむ分には、何も不安無くできるだろう。
(杉村 啓)