メディビックの「テーラーメイド創薬」イメージ図(同社ウェブサイトより)

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 医薬研究開発コンサルティングと情報処理システム支援のメディビック<2369>は、同社の手がける「ゲノム創薬」事業の承認が遅れ、03年の株式公開後、足踏みを余儀なくされている。同社によると、情報システムと新薬開発への投資で、今期も純損益の赤字が続くと予想しているが、そろそろ投資効果が現れてくる頃だという。橋本康弘社長に、今後の見通しなどを聞いた。

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――どのような形での社会貢献を考えていますか?

 「テーラーメード創薬」のように、個人に合った薬を作ることがどういうことなのか、ピンと来ないかもしれない。われわれが「テーラーメード創薬」で目指すのは、薬が効く人と効かない人を分け、効く人だけに薬を出すこと。効かない人に薬を出すのは医療費の無駄。さらに重要なのは副作用のある人とない人を分け、副作用のない人だけに薬を出すこと。そういう「見分ける技術」をわれわれが提供する。見分けるだけでなく、そういう薬をわれわれが作る。当然これは大きな社会貢献になる。特にがんの薬で効果がある。

 他の薬もたくさんあるが、糖尿病などの生活習慣病や高血圧の薬は、副作用が出るか、効果があるか、なかなか見分けにくい。糖尿病患者のAさんとBさんにある薬を出すと仮定する。Aさんは薬を飲んでちゃんと食事制限も運動もする。Bさんは同じ薬を飲んで食事の制限もせず、たばこも吸う。お互いの体質を比較することはできても、環境を比較することはできないことはないにしても現在では非常に難しい。だから生活、環境の影響を受ける病気でテーラーメード医療が出るのはまだまだ先。

 ところが、がんに関しては、いくら生活環境が違っても、あるがんに効く薬はそのがんを持つ人すべてに効果がある。一般にがんには非常に多くの種類がある。例えば、乳がんの1型、2型、3型というのがあるとして、1型の人だけに効くような薬が開発されたとする。それを有効に使うためには患者が1型であるとまず見分けなければならない。区別ができて、その患者にその薬を出したら100%効く。

 これまでは型に関わらず、薬を出していた。これは無駄な薬を投与することになるだけでなく、手術すれば直ったはずなのに、時期を逸して転移して治らなくなることにもつながる。もっと重要なことに、薬の開発のステージで型を区別せず見ていると、有効性が低いとみなされ、薬が世の中に出ないことがある。1つの型だけに絞った薬を最初から開発すれば、100%の人に効くすばらしい薬になる。それが分からないままに型を区別しないで薬のテストをしていると、よくない薬、あまり効かない薬とみなされ、薬そのものが世の中に現れない可能性もある。

 「テーラーメード創薬」というわれわれの考え方、技術をうまく使うことで、今まで治らなかったがんに治療薬ができる可能性がある。欧米ではこうした開発がどんどん進んでいるが、日本ではほとんど見られない。われわれは技術を自分たちでも持っているし、欧米の状況を常に見守っており、テーラーメード創薬に合う薬を見つけ次第日本に導入している。今までと違う薬の作り方をして、今までのやり方では世の中に承認されない、出てこないかもしれない薬を作ることで、特定の病気を治す。その一歩ずつの積み重ねで多くのがんや感染症が撲滅できるようになる。非常に大きな夢があり、やりがいのある事業だ。【了】

【会社概要】
商号株式会社メディビック

設立

2000年2月
上場03年9月(東証マザーズ上場:証券コード 2369)
資本金14億1132万円
売上高3億8500万円(04年12月期連結)
代表取締役社長橋本康弘(はしもと・やすひろ)
従業員数35人(05年3月末)
本社東京都千代田区霞が関1-4-2 大同生命霞が関ビル8F
電話番号03-5510-2407(代表)
URL http:// www.medibic.com/


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