XFN-ASIAによると、20日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で、米国標準油種WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の7月物は、前週末比0.90ドル(1.5％)高の1バレル＝59.37ドルと4営業日続伸した。また、前週末17日に付けた58.47ドルを上回り59ドル台に乗せ、2営業日連続で史上最高値を更新して引けた。日中には一時、1983年の原油先物取引開始以来の最高値となる59.52ドルを付けた。市場では、21日にも心理的に重要な60ドル台に到達するとの見方が優勢。ただ、アナリストらの間では、現在の高値水準は供給懸念だけでなく、投機的な買いの動きも反映しているとして、同水準がどの程度維持されるかは不透明のようだ。WTIは21日の通常時間帯の取引終了から、8月物が中心限月となる。WTI8月物は日中に60ドルまで上昇した後、前週末比0.70ドル（1.2％）高の59.88ドルで引けた。

　　シティグループのアナリスト、カイル・クーパー氏は、「原油の買いは引き続き入るだろう。相場が終値で60ドルを超えるのは時間の問題だ」と述べた。一方、IFRマーケッツのティム・エバンス上級エネルギーアナリストは、顧客向けレポートのなかで、「原油価格は上昇トレンドにあるので、一本調子で上伸するという強気の見方がされているが、この高値水準は維持できないとみる需給ファンダメンタルのリスクも十分にある」と指摘した。また市場では、60ドルの大台乗せは、22日の米週間原油在庫を見極めてからともみられている。

　　世界的な供給懸念と、OPEC（石油輸出国機構）参加国のナイジェリアでの治安問題への懸念が、強気の原油市場に一役買っている。同国では米国大使館は閉鎖されており、先週、ニジェール川三角州の石油産出地域で、石油労働者6人が誘拐されている。ナイジェリアはアフリカ最大、世界で11番目の産油国。米国の石油供給国としては第5位を占める。

　　一方、原油価格の高騰を背景に、米国のガソリン価格の平均は1ガロン＝約2.13ドルと、過去2年で40％以上上昇している。ただ、先週発表された政府データによると、ガソリン需要はこの4週間だけでも、前年比で3％も上昇。これは日量でほぼ950万バレルの需要に相当し、市場の驚きを誘っている。著名投資家のブーン・ピケンズ氏は、「経済は原油50ドルを、さらにガソリンのガロン当たり2ドルも受け入れた。1年内にも原油は60ドル以上を、ガソリンはガロン3ドルを上回るだろう」との見通しを示した。

　　ガソリン7月限は、前週末比0.15セント安の1ガロン＝1.6456ドルと反落した一方、暖房油7月限は同１セント高の1ガロン＝1.6618ドルと2営業日続伸して引けた。【了】