『殺人を無罪にする方法』

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かつて米TVドラマ界の人気ヒロインといえば、『アリーmyラブ』の主人公アリー・マクビールに代表されるようなキュートで親しみやすい女性、もしくは『SEX AND THE CITY』の親友4人組のようにお洒落でセクシーなファッションリーダー的存在が主流だった。しかし現在は、揺るぎない信念を持って活躍する強い女性キャラクターたちが視聴者からの絶大な人気を集めている。

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『殺人を無罪にする方法』の辣腕弁護士アナリーズ(ヴィオラ・デイヴィス)、『Empire 成功の代償』の肝っ玉母さんクッキー(タラジ・P・ヘンソン)、『HOMELAND』のCIA捜査官キャリー(クレア・デインズ)、『グッド・ワイフ』の良識派弁護士アリシア(ジュリアナ・マルグリーズ)、そして『スキャンダル』の凄腕フィクサー、オリヴィア・ポープ(ケリー・ワシントン)などなど。いずれも社会や組織の不正と理不尽に真っ向から立ち向かい、鋭い知性と大胆な行動力、ブレない正義感でキャリアと運命を切り開いていく。その一方、プライベートでは繊細な面も隠さない彼女たちは、恋愛や家族、友情などをめぐる様々な問題に直面し、時には過ちを犯しながらも、苦悩や葛藤の末に成長していく。その強さと弱さを併せ持った人間臭さこそが、多くの人々の共感を呼ぶのだ。

中でも象徴的なのは、第67回エミー賞においてヴィオラ・デイヴィスが、黒人女優として史上初のドラマ部門主演女優賞に輝いた『殺人を無罪にする方法』。彼女が演じる弁護士アナリーズは、依頼人を無罪にするためなら卑劣な手段もいとわない冷酷なやり手だが、しかしその裏には確固たる正義感を秘めている。しかも、プライベートでは夫の不倫に思い悩み、その不安と疑心暗鬼から自らも不倫に走ってしまう弱い女性だ。孤独やコンプレックスを抱えた傷つきやすい素顔を、鉄の女の仮面と鎧で包み隠したアナリーズ。いまだ男性主導の現代社会で気丈に立ち回らねばならない働く女性の多くが、思わず感情移入してしまうヒロインと言えよう。

映画以上に社会の世相や時代の風俗を色濃く反映すると言われるアメリカのTVドラマ。絵空事のような人間描写や世界観では視聴者の支持を得ることなどできない。ヒラリー・クリントンが米大統領選挙で有力視される昨今、ドラマで活躍する強いヒロインたちには、今のアメリカ国民が理想とする女性リーダー像が投影されているのかもしれない。

そういう意味でも注目の『殺人を無罪にする方法』シーズン1は3月2日(水)よりDVD Part1(4,700円+税)リリース、レンタル&デジタル配信も同日開始。DVD Part2(4,700円+税)は3月16日(水)発売となる。(海外ドラマNAVI)

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