Jリーグでトップクラスの助っ人であるアデミウソンの加入は大きい

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いよいよ今週末、2016年のJリーグが開幕する。五輪イヤーだけに、まずはU−23日本代表の選手たちのプレーに注目したい。アジア最終予選では最高の結果を出してくれたけど、所属クラブに戻ればベンチを温めている選手も多い。誰ひとりとしてリオ行きは約束されていないんだ。しっかりアピールできるように奮起してほしいね。

優勝争いは、昨季のチャンピオンシップ(CS)に出場した広島、G大阪、浦和の“3強”の力がやはり今季も抜けている。中でも充実しているのは、サッカー専用の素晴らしい新スタジアム(約4万人収容の市立吹田サッカースタジアム)が完成したG大阪だ。

昨季移籍の噂も出た宇佐美、パトリックの“二枚看板”をはじめ主力が全員残留。そこに横浜FMでインパクトを残した22歳のブラジル人アタッカー、アデミウソンが加わった。Jリーグでトップクラスの助っ人である彼の加入は大きいよ。得点も取れて、周囲の選手も使える。運動量も多い。G大阪のパスサッカーにはフィットすると思うし、横浜FM時代よりもさらに活躍するんじゃないかな。

彼がトップ下に入ることで、ベテランの遠藤もラクになる。また、これまで宇佐美とパトリックに集中していた相手のマークも分散する。3人のトライアングルは対戦相手にとって脅威。唯一、心配なのは中国クラブによる“爆買い”(引き抜き)くらいかな。

魅力的な新スタジアムはチームの価値を高める絶好のアイテム。実際、今季はスタジアムを見に来る新規のお客さんもたくさんいるだろう。そんな彼らをリピーターにできるかどうかは魅力的なサッカーを見せられるかにかかっている。Jリーグ全体、さらに他チームへの刺激という意味でも、今季のG大阪には頑張ってもらいたい気持ちがあるね。

そのG大阪に続くのは浦和。こちらも昨季の主力が全員残留。さらにリオ五輪行きを決めたU−23日本代表のMF遠藤、現役スロベニア代表のDFイリッチら即戦力の補強に成功した。選手の質、量ともにG大阪に引けをとらない。

ただし、浦和にはG大阪のパトリックのような絶対的なエースストライカーがいない。確かに、どこからでも点が取れる、というのが浦和の強みではあるんだけど、昨季は終盤の大事な試合でFWがチャンスに決め切れなかったことが響いた。FWには興梠(こうろき)、ズラタン、李と実力者がそろっていて、それなりのプレーは見せている。

でも、ケガや起用法の問題もあり、なかなかシーズンを通してはチームに貢献できていない。昨季チーム得点王のMF武藤も含めて、誰かが継続的な活躍をできるかどうかがポイントになる。

昨季王者・広島は土台のしっかりとしたチームだから大きく崩れることはないと思う。今季も当然、優勝候補の一角に挙げられる。とはいえ、昨季チーム得点王のドウグラスを失ったのは大きな痛手だ。穴埋めに清水から獲得したウタカがどこまでフィットするか。これまで広島は選手を引き抜かれても、ピンポイントの補強をして、その穴を埋めてきただけに期待もあるんだけど、今季は少し不安だ。

3強にはJリーグではもちろん、アジアチャンピオンズリーグでもしっかり結果を残して、日本サッカーを牽引(けんいん)してほしいね。

(構成/渡辺達也)