左から 檜村 篤史選手、高校時代の黄本 創星選手

 今や、“全力校歌”と聞くと、この学校が思い浮かぶのではないだろうか。勝利の喜びを全身で表すかのように、体を大きく反って校歌を斉唱することで有名な千葉県の木更津総合高校。この“全力校歌”をテレビで見て憧れる人も少なくはないだろう。今回はそんな木更津総合のつながりを見ていきたい。

激戦区の千葉県で21世紀以降、計4回の夏の甲子園出場 その根底はつなぎの野球

 1963年に木更津中央高等学校として創立し、その年に野球部も創立。40年後の2003年、清和女子短期大学附属高等学校と統合し、現在の木更津総合高等学校になった。統合する前は、1971年の選抜のみの全国大会出場だったが、統合した初年度の夏に初の夏の甲子園出場を決める。千葉県は毎年出場校が入れ替わる最激戦区。その中でも2008年、2012年、2013年と21世紀以降、計4回出場している勝負強さはまさに素晴らしいの一言に尽きる。

 このように近年、実績を残し始めた木更津総合高校といえば、そのプレースタイルは“つなぎの野球”だ。一度つながったら留まることを知らない破壊力ある打線は、千葉県内の脅威となっている。その根底にあるのは、『野球は個人で行うスポーツではなく、グラウンドにいる9人で力を合わせるスポーツである』という木更津総合の魂だろう。全員で一点をとりにいく姿勢は伝統として受け継がれている。

 初出場した第43回選抜大会以来、ベスト4からは遠ざかっているものの、初戦敗退は2012年の1度だけ。1つ勝つことが難しいと言われている甲子園でこの初戦突破率の高さ。自分たちの野球を実践しているといえるだろう。

  今後、さらに千葉県の雄として、五島 卓道監督と野球部全員で“つなぐ野球”を忘れずに、全国大会で一つでも多くの白星を挙げて、“全力校歌”を高校野球ファンに披露してくれることを期待したい。

 また、OBには、横浜DeNAベイスターズの投手で活躍する井納 翔一選手(2015年インタビュー【前編】 【後編】)、阪神タイガースの古屋 英夫二軍監督(2008年インタビュー)、現役時代は剛速球投手として活躍し、2016年から東北楽天ゴールデンイーグルスのコーチに就任する与田 剛氏などがいる。

[page_break:近年の卒業生たち]近年の卒業生たち

 今年は選抜甲子園出場、秋は関東大会優勝と千葉県内で頭一つ抜けた強さを見せる木更津総合。これまで卒業後も野球を続ける選手はいたが、強豪大学の門をたたくという生徒は少なかった。

  しかし今年は、1年夏から遊撃手として活躍した檜村 篤史(2015年インタビュー【前編】 【後編】)が早稲田大へ進学予定。徐々に選手個人のレベルも高まっており、次のステージでの活躍が期待できる選手が今後もどんどん出てくることだろう。

■2009年卒地引 雄貴(早稲田大−東京ガス)

■2011年卒佐藤 優介(佛教大−日本生命)

■2012年卒水野 隼翔(桐蔭横浜大)

■2013年卒黄本 創星(早稲田大)高橋 慎之介(読売ジャイアンツ)高野 勇太(関東学院大)

■2015年卒千葉 貴央(桐蔭横浜大)那須 悠太(桐蔭横浜大)東 龍弥(桐蔭横浜大)

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