津田大介さん「美味しんぼ」の低線量被爆鼻血問題で騒ぎに|やまもといちろうコラム
やまもといちろうです。鼻血は最近出しませんが、朝起きると糞が止まりません。
5月19日23時から、CSテレ朝チャンネル2で放送された津田大介さんの番組に、以前福島県の被災地周辺において低線量被爆で鼻血が出るという表現で物議を醸した「美味しんぼ」の作家・雁屋哲さんを呼んで、よりによって本件鼻血の是非について語らせるという、大変可燃性の高い物件が出ておりました。
もうデリケートとかいう以前に、見ようによってはキ印案件ど真ん中ですので炎上待ったなしだなあと思っていたところ、ちゃんと炎上していたのでネットも捨てたもんじゃないなと感じたんですよね。
私も気になって本人に優しく取材依頼かけてみたんですが、ガン無視されました。他のどうでもいいメンションには律儀に応えているのに、どういうことなんですかね……。
たぶん、津田大介さんは「善意だけど迂闊」というポジションである一方、さすがに雁屋哲さんのような本腰のトンデモを賛否両論の具にして自分の番組で意見を述べさせるというのはかなり強烈なやらかしです。番組を放送する局側もあんまり気にしてなかったのでしょうか。
津田さんも真意をツイッターで書いておられるわけですが……。
僕自身は低線量被曝と鼻血には因果関係はないと思ってます。雁屋さんは鼻血について断言しているのではなく自分なりの調べた「仮説」を提示しているに過ぎない。後は後世の科学が判断することというスタンスでした。
この辺にスタンスのズレというか、そもそも「仮説」がトンデモであり、それが商業媒体に載ったときに炎上したのが「美味しんぼ」での福島低線量被爆鼻血描写事件だったと思うわけです。そして、科学的にも両論併記どころではないガセネタであって、雁屋哲さんが問題を認識して正面から釈明をする内容ぐらいでしか放送に堪えるものでもなさそうな気はするんですよね。
それをうっかりジャーナリストである津田大介さんが報道番組でやらかしたわけですから、いい黒煙が垂直に上がるタイプの物件になるのも仕方がなく、また福島県で被災者支援や復興行政に関わる人たちの感情でも、許容しがたいものがあるだろうということぐらいまでは理解できると思います。
一筋縄ではいかない火消しさて、この手の炎上は私も少なくない回数経験があるわけですが、個人的な経験でいうと炎症を防ぐためには大体2つの道筋があって、ひとつが「完全降伏してお詫びし、暗雲が去って粘着だけが残る形にして『騒いでいるのは少数』であるというモードにもっていく」か、「正論を見つけ出して徹底的に抗弁して、ネットの中から『まあ、津田の言いたいことも分かる』という人が出てくるのを待って賛否両論になるまで粘る」かのどちらかを狙っていくことになります。
一番危険なのは「嵐が過ぎ去るまで待つ」方法であって、これは上杉隆から岡田斗司夫まで多くの炎上経験者が、最後まで納得いかない人たちからの攻撃に晒され続けるという悪手となってしまったことはご理解いただけると思います。
しかしながら、本件は津田大介さんがジャーナリストとして名を挙げることになった本質部分である「ツイッターなどを使った被災地支援や災害情報の流通」といった、彼本来の価値の部分に疑問符がついてしまう点で厳しく、何より本来彼の擁護するべき人たちの巣であるSNSの側から、津田DISが出てしまうと取り返しがつかないことになります。もちろん、ある程度名前が売れるとアンチが出るのは仕方のないことなんですが、さすがに今回の件で津田さんのやらかしを最初から最後まで擁護しきれる人もあまり多くなさそうな印象です。
なので、通りようもない「津田さんの真意」を押し通すよりは、どこかうまいタイミングを見つけて「あれは俺もやりすぎだった」みたいな、ターンアラウンドができたほうが津田大介的存在感からすると価値をあまり毀損させずに着地できたはずなのに、もったいないなあと感じた次第でございます。
個人的には、津田大介さんにおかれましては、ウェブで政治メディアをやっておきながら超大事な大阪市住民投票の当日にトルコに行ってるとか、糞が止まらないにも程があるだろうと思ったわけですが、どうでもいいですかそうですか。
著者プロフィールブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数
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