30日、都内で資本・業務提携の合意を発表する三井住友銀行の奥頭取(中央)と、ヤフーの井上社長(左)、ジャパンネット銀行の藤森社長(撮影:常井健一)

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三井住友銀行とヤフー<4689>は30日、三井住友銀行系のジャパンネット銀行(JNB)をめぐるインターネット金融分野での資本・業務提携に合意したと正式に発表した。ポータルサイト「Yahoo! Japan」上で行われる買い物や競売の際に、JNBのネット決済サービスを提供するなど、ネットと金融の融合で相乗効果を上げるねらい。

 三井住友銀行は2006年秋までに、JNB株57%を保有する銀行持株会社を設立。ヤフーは同持株会社株の14.9%を25億円で取得し、同年末までに行われる増資を引き受けることで出資比率を最大50%程度まで引き上げる。ヤフーの出資総額は250〜300億円規模になる見通しで、三井住友銀行と共同でJNBを傘下に収めることになる。

 JNBも06年末までに300〜400億円規模の増資を実施する。それに伴い、同持株会社はJNB株の保有比率を70〜80%まで高めるとしている。

 三井住友銀行、ヤフー、JNBの3社トップは同日、東京都中央区の日銀本店で、共同記者会見を開いた。三井住友銀行の奥正之頭取は、電子商取引の市場拡大に期待を示し、提携について「JNBのビジネスモデルをさらに飛躍させ、ネット上のリーディングバンクの地位を確固たるものにしていきたい」と述べた。そのうえで、三井住友銀行の金融商品をヤフーで提供する可能性については「当面は考えていないが、将来的な可能性は否定しない」と話した。

 JNBは、ネット銀行大手で、口座数は現在100万強。2000年に営業を開始し、05年3月期に初めて黒字転換を達成した。ヤフーの井上雅博社長は「電子商取引の成長のためには、利用者が、ネット上でお金を安心かつ便利に使える環境が重要。追求していきたい」と提携に期待を示した。

 ヤフーは05年、あおぞら銀行とネット銀行設立することに合意し、今春の開業に向けて準備を進めてきたが、06年2月に提携を解消。井上社長は「いろいろやった中でうまくいかなかった。われわれの銀行業に対する理解がなかったのか、お互いの思いが違った」と振り返った。【了】