「ただ、個人的にはもっと、(パスを)出しとけばよかったと(チームメイトに)思わせる動き出しを増やすことに集中すべきだと思っている。もっとコンディションを上げて、その回数、質を上げていきたい。ミランと比べて、日本語が通じる分、解決スピードも速いんじゃないかなと思うので。残り1週間、少なくとも目に見えるような違いは期待してもらっていいんじゃないかなと、そう思うんですけどね」
 
 試合が終わった後も、選手はグラウンドに残ってコミュニケーションを取っていた。ともにジョギングをしながら手振りをまじえながら言葉を交わしたり、座りこんで話す選手の輪も自然と生まれた。
 
「基本的には自由ですね」
 アギーレ体制下では初招集で、この日は交代で出場した清武は、そのサッカーの印象をそう表現した。
 
“自由”だからこそ、チームとしてコンセンサスを取り、それを磨きあげていく責任を、選手一人ひとりがさらに強く自覚しているのかもしれない。
 
 重圧に苦しんだブラジル・ワールドカップと比べると、いい意味でリラックスした空気が漂い、選手たちの向上心を掻き立てているように見えた。
 
取材・文:寺野典子(フリーライター)