カバーの悪さは改善されたが…… ／ ガーナ戦
この試合の一番の見所は、勝負が決まった後だったかもしれない。そこで日本は劇的に改善しつつあるポイントと、狙いのハッキリしない問題点という二面性を見せた。
72分に2点をリードされたガーナは、日本にはない力を存分に見せて攻め込んできた。個人の強靱な肉体と爆発的なスピードを発揮してきたのだ。日本は徹底した「チャレンジ＆カバー」でガーナを封じる。前半に比べると明らかにコンディションが低下したこともあり、ガーナは結局追加点を奪えなかった。
ただし、グアテマラ戦、ガーナ戦と日本は攻守のバランスが向上した。攻撃にばかり人数を割いてはいないのだ。相手にボールを奪われるとすぐに前線と中盤が相手選手を追い込み、ボールを奪った最終ラインが攻撃の第一歩を組み立てている。ガーナに対してカウンターを許したのが24分と44分の2回だけという数字が、守備の向上を物語っているだろう。
ヨーロッパ組のシーズンが始まり、コンディションが向上したこともあるのだろう。だが、それ以上に守備への意識が戻ってきていると言える。
試合前、ザッケローニ監督はガーナを選手に「カウンターの鋭いチーム」（遠藤）と伝えていた。実際に試合が始まると、組織だったラインで日本を食い止め、脚力を生かしてサイドを突破してくる。日本はガーナからの逆襲に、高い守備意識で抑え込んでいたが、その反応の良さが相手の先制点を生んでしまった。
24分、ボールを奪われた香川真司が追いかけて奪い返したものの、こぼれ球が味方に当たりゴール前のアチェアンポングにわたってしまう。アチェアンポングのシュートにも内田篤人が反応したものの、内田の足に当たってコースが変わり、川島永嗣の手の届かないコースに飛んでしまったのだ。
日本も反撃し、29分、柿谷曜一朗のパスを受けた本田圭佑がGKと1対1になったが、ボールタッチが固くシュートはクロスバーの上を越した。
前半終了間際からガーナに傾いていた流れを引き戻したのは日本代表の10番だった。50分、香川はパスを受けると単独でカットインし、ミドルシュートを突き刺す。目に見えて動きが落ち始めたガーナは選手交代で活路を見いだそうとするが、コンディションのいい日本が押し込み始めた。
すると64分、遠藤保仁が本田とのパス交換からミドルシュートを見せる。「コースが甘かった」（遠藤）が、GKの手をすり抜けてネットを揺らし、日本が逆転に成功。さらに72分、遠藤のFKを本田がヘディングで合わせて3点目。これで日本の勝利は確定した。
ガーナ代表はアサモア、ムバラク、ボアテングなど攻撃の主力を欠いていた。しかも来日したのは試合の前々日。日本が一方的に攻め込み大勝してもおかしくないシチュエーションだったと言えるだろう。ところが、試合途中まではガーナ守備陣の引き締まったディフェンスにより、見応えと手応えのある試合となった。
もちろん、ガーナの攻撃陣が揃っていたらもっと防戦一方になっていた可能性がある。しかし3月、ヨルダンに敗戦を喫した試合などで露呈してしまったカバーの悪さは、この試合で見られなかった。底は脱したと願いたい。
キリンチャレンジカップ2013： 日本 3―1 ガーナ
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