★珍蔵:
サッカーの競技規則を改定する国際サッカー評議会は5日、スイスで臨時会議を開きゴール判定を補助する先進技術の導入を認めた。FIFAは12月に日本で開催するクラブW杯で最初に使用し、問題がなければ2013年コンフェデレーションズ杯、14年ブラジルW杯でも用いる様だ。

認可されたのは映像解析システムの「ホークアイ」と、磁場でボール位置を判別する「ゴールレフ」というハイテク機材だ。ホークアイは設置した複数のカメラでボールの軌道を瞬時に解析。テニスの国際大会でも活用されている。また「ゴールレフ」はマイクロチップを入れたボールを使用し、ゴール周辺の磁場の変化からボールの動きを感知するシステムだ。これらのハイテクを使用するかは大会や各国リーグの主催者が決めるようだ。

■万吉:
しかし、サッカーは今までそういう曖昧さを含めてサッカーとしていたのではなかったのか?以前何かの雑誌を読んでいたら、サッカー関係者の偉い人が「ミスを含めて人間らしい側面こそがサッカーでは最も重要」と力説していたのを思いだした。サッカーをよく知らない僕みたいな人からみれば、摩訶不思議な事を言うものだ、これもマレーシアだかフィリピンだかの考え方か?と思ったのだが。

★珍蔵:
マリーシアだろ。おっしゃる通り、もともとFIFAはビデオ判定などに否定的だった。しかし前回の南アW杯で誤審が相次いだこともあり、方針転換したようだ。先日のユーロでも、ウクライナ対イングランド戦でウクライナのゴールが認められなかったが、実際は入っていた、というミスジャッジがあったばかりだ。ブラッター会長は「サッカーにとって歴史的な日だ」と話したというが、僕はオフサイドの判定などもデジタルで判定すべきだと思う。

■万吉:
よくもめているよな。テレビを見ているとオフサイドかどうかビデオ上でラインを引いて確かめている。テレビで簡単にできるのだから、すぐにジャッジ出来る話だと思うのだがね。

★珍蔵:
サッカーはサッカー自体で十分に面白いわけで、人間的側面という事にミスジャッジを含めるのはおかしなものだと思う。サッカーは相手と絡みあうので、どちらのファールか分からないシーンが多いが、人間的な側面はそれで十分だろう。ボールが出た、出ていない、パスが出た瞬間の選手の位置などは物理的に明確な事だ。僕はサッカーを見始めて20年ぐらいになるが、当初から審判の判定もサッカーの一部、みたいな考え方には違和感を持っていた。まあ僕などは野球世代だからかもしれないが。

■万吉:
サッカーにおける1点の重みはバレーボールやテニスはもちろん、野球などの他のスポーツと比べても格段に高いから、機械の目に任せるのは賛成だな。今までは費用の問題とか色々あったのかもしれないが、今ではデジタル機器は相当安く設置できるようになった。そういうデジタル機器の進化も設置の決め手になっているのだろう。

★珍蔵:
日本のプロ野球でもホームランか否かのジャッジに限りビデオ判定が導入されているだろう。どういう経緯で導入されたの?

■万吉:
2006年6月某日、千葉ロッテマリーンズ対巨人戦で李承ヨプの本塁打が取り消しになった事をきっかけとして、巨人がビデオ判定の導入を訴えた。その後のコミッショナー事務局の事業委員会でビデオ判定の一部導入が議論され、特に異論はなく導入される運びとなった。その時議長をやっていたのがナベツネと喧嘩して読売を辞めた清武氏だ。まあ球場によってはその整備が進んでいなかった事もあり、結局2010年から本塁打に限り正式導入となった。

一方のパ・リーグは導入に消極的であったが、2010年のシーズンからセ・リーグと同様に本塁打に限りビデオ判定を導入することを決めた。こうして、ビデオ判定はセ・パ両リーグが同じ運用方法で行い、本拠地球場にのみ適用され、交流戦でも実施されることとなった様だ。