新人がモーニング食べて何が悪い

写真拡大

会社員が仕事の「準備」のために、始業時間前に出社する必要があるのか、というテーマがネット上で議論になって久しい。

読売新聞が運営する「発言小町」に上がった「モーニングを食べる新人」という相談も、ネット上で話題となった。相談者(トピ主)の会社の始業時間は、午前8時半。「仕事に入るまでの準備等」があるので、7時半には出社するようにしているという。

「30分も早く出勤してるのに」と同情の声

ところが、この春に入社した新人は、会社近くの喫茶店でモーニングを食べて、始業30分前の8時頃に出社している。そのため「準備」をトピ主がひとりでやらざるをえず、「こんな新人ありですか?」と不満を感じているようだ。

結局、「モーニング」が問題ではなく、「優雅にモーニングを食べて先輩より遅く出社してくる後輩って何?」というやっかみが混じっていた可能性もある。この相談には、228本ものコメントが寄せられている。大半はトピ主への批判だ。

「1時間早く出て準備しろって、トピ主さんは誰から言われたんですか?言われたんなら新人にも言ってくださいよって言えばいいんじゃない?」
「かわいそうな新人さん。あと20分は始業前の時間をゆったり過ごせるのに、30分“も”早く出勤してるのに、この言われよう」
「準備に1時間もかかる職場って、どんな業種ですか?」
「あなたも8時に出勤したら良いじゃない?」

結局、準備の内容は明かされなかったが、トピ主はあまりの批判の勢いに「こんなにたくさんのレスをいただけると思ってもみませんでした」と驚き、「このままでは精神衛生上よくないので、8時以降に二人で準備をはじめてみることにします」と返答している。

ある回答者は、新人として金融機関に勤め始めたころの経験談を寄せている。先輩から「始業1時間前に出勤して接客用・富裕層フロアの清掃をするよう」言われ、驚いて労働組合に問い合わせたところ、支店長宛に「早出残業代」をつけるよう指示が来たという。

その後、残業代がつくようになったとたん、新人に「サービス始業」を押し付けていた先輩たちも、交代で早出するようになり、「会社ってヘンなの」と思ったそうだ。

雑用を免除しても「新人の早出」は変わらない?

「発言小町」には見られなかったが、「仕事に不慣れな新人は先輩より早く出社すべき」という意見の人もいる。都内のIT企業に勤める27歳女性のAさんは、毎朝7時半に出社。出勤に1時間強かかるので、自宅を6時ころ出ている。

「給湯周りの片付けや準備を少ししたら、あとは自分の仕事をしています。午前中の方が頭が冴えているので、仕事のはかどり方が全然違います」

以前は、毎日遅くまで残業する夜型だったが、「美容のために」生活サイクルを変えた。午前中は集中力が必要なアウトプットに専念し、ウェブのチェックやメールの返信などの「雑用」は昼食後に回している。

「早めに出社すれば、始業時にはエンジンは全開になっている。タダ働きの強制はどうかと思うけど、新人が自発的に早く出るメリットはあると思いますよ」

中堅商社で営業部長を務める50代のBさんは今年、早出の雑用をパートタイマーの担当に変更した。社員の雑用を免除した理由は、「業績につながらないムダな仕事は社員に一切させない」という方針からだ。

これによって、新人だけ不公平という声も起こる余地もなくなったが、成果がよりシビアに求められることにもなった。Bさんは「早出して自分の仕事の準備をする若手は、かえって増えたかもしれない」という。