■テクニックの高さを見せたJFAアカデミー福島



8月28日に開催された天皇杯福島県大会決勝、JFAアカデミー福島(以下アカデミー)は東北社会人1部リーグ・福島ユナイテッド(以下福島U)に1対2で敗れ、本戦出場を逃すこととなった。

しかし、試合後、「アカデミーのゲームだった」と福島U手塚聡監督が疲れきった表情で振り返ったように終始主導権を握り、優勢に試合を進めたのはアカデミーであった。序盤こそフィジカルの差に苦しみ、試合開始早々に先制点を許してしまうが、相手のリズムに慣れてからはテクニックの高さを生かした速いパスワークで福島Uを翻弄し、攻め込む展開を築いた。前半と後半の早い時間帯に一瞬の隙を突かれて敗戦を喫したとはいえ、東北1部リーグの首位を独走するチームを相手に見せたアカデミーの健闘は光るものがあった。<

試合後、アカデミーの選手たちの目からは涙がこぼれ落ちた。「やはり福島県の大会ということで気持ちは入っていました。我々は福島県のいろんな人たちに応援されて活動してきました。だから、プレーだけでなく、勝利という形で恩返ししたかった。福島県の代表として天皇杯に出場して、自分たちは福島のチームなんだということを示したかった」。中田康人監督は唇を噛んだ。<

■一転した運命



3月11日の震災後、アカデミーの運命は一転した。福島第一原発の事故により、Jヴィレッジで活動できなくなり、静岡県御殿場市に活動拠点を移すことを余儀なくされた。ただ、大きく環境が変わることとなったが、日本サッカー協会や地元自治体の全面的なバックアップにより、「本当は苦労しないといけないことがたくさんあるのだろうけど、いろんな人に助けられて苦労は感じないんですよ」と、中田監督は活動に関しては大きな支障をきたしてはいないと語る。<

とはいえ、ハンデは小さくない。現在も選手たちの住民票は福島県にあり、福島県サッカー協会に所属している。拠点を静岡に移したものの、今季は東北プリンスリーグ2部で戦っており、毎週末のように東北へ試合をしに移動する日々を繰り返している。そして、天皇杯福島大会が開幕してからは、土曜日にプリンスリーグを戦い、日曜日に天皇杯を戦うという週末の連続。金曜日の夜に静岡をバスで出発して、明朝に試合地に到着。そこでプリンスリーグを戦って、翌日に福島に移動するというハードな日程をこなしてきた。<

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■著者プロフィール



佐藤拓也

1977年生まれ。北海道生まれ、横浜育ち。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、フリーランスのライターとして活動を開始。その後、「EL GOLAZO」や「J’sGOAL」、「週刊サッカーダイジェスト」「週刊サッカーマガジン」「スポーツナビ」などサッカー専門媒体に執筆。現在はJ2を中心に様々なカテゴリーを取材して回っている。

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