いやあ、今さらながらに、参った。
ワールドカップは一戦一戦に魂のこもった無茶苦茶リアルな戦いなのである。
もちろん、クラブ単位でそれが全くないとは言わないけれど、
国は個人にとって永遠であり絶対。
だって代表選手は「国を移籍する」ことができないから。

そしてスイスは超極上のリアリスティックなサッカーをした結果、
欧州選手権王者のスペインを1-0で下した。
たかがグループリーグと言うことなかれ。
大げさでなく、この一戦はサッカー界の流れを変える可能性がある。

試合を見ながら今季の欧州CL準決勝1stレグ、
インテルvsバルサを思い出していた(多くの人がそう思っただろうけど)。
それもそのはず、今日のスペイン代表のスタメンにはバルサの選手たちが5人。
しかもリズムを司るセンターラインに並ぶ(プジョル、ピケ、ブスケッツ、チャビ、イニエスタ…はちょっと外れるけど、役割的には、ね)。

あの試合、ドン引きインテルにバルサが圧倒的な支配率で攻め立てるが1点しか奪えず。
結局後半に入ってインテルがカウンターで3点を奪うという展開だった。
(ちなみにその試合の試合率、バルサ68%、インテル32%)
だとすれば、名監督ヒッツフェルトがインテルの戦い方を手本にするのは至極自然のこと。
しかもインテルが結果を出してるもんだから、選手たちへの指導も簡単だっただろうな、と。
さらに「国を移籍する」ことができない代表チームだから、忠誠心は非常に高いわけで。
(でもスイスの攻撃陣がインテルくらいに優秀であれば、もうちょっと得点が奪えたかもしれない)

で、おそらく多くの日本人に歓迎されないスイスの引きこもりサッカーを何と表現すればいいか。
ひとこと、「これもサッカー」、なのである。
ちょっと前に「何のためにサッカーをするんだろう?」と書いたけど、
理由は言うまでもなく、勝つため、だ。
きれいなパス回しをするために戦っているわけではない。
目的と手段を入れ違えてはいけない。

「スペイン代表のサッカーこそ一番!」的な風潮が日本では流れていたけれど、
インテル、スイスの戦いぶりは卑怯?と問いたい。
ルール内で行われている試合なのでそんなことないわけで。
逆に言うとスペインの戦い方が発展性を持っているかどうかなんて分からないわけで。
目を覚まされたというか、頭から冷水を浴びせられた、というか、
これをきっかけに今後リアリスティックなサッカーに時代が転換していく可能性はあると思っている。

こんなこと言っておいてかなり矛盾するが、スペインのサッカーは大好きである 笑
けれど、日本サッカーのためになるかと言えば、そんなに単純ではない、と。
バルサやスペイン代表の能力を持った選手は、日本代表には「まだ」いないわけだし。
でなければ彼らの異次元のサッカーは実現できない。


さて、どっかの誰かが日本代表のことを、
「勝ったけどつまらないから認めない」
なんて言ってるけど、負けたらそれこそ何にも残りませんぜ。
それとも負けたら責任取ってくれるのか?

勝つからこそスポーツは発展していくのだ。


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