水星初の全体地図が完成
Image: USGS Astrogeology Center。同サイトでは、同じ地図の様々なバージョンを入手できる。なお、サイトトップの画像は別の日本語版記事より
サンフランシスコ発――水星の初めてのグローバル・マップが15日(米国時間)、米国地球物理学連合(AGU)の会議で発表された。
この地図は、探査機『メッセンジャー』による新たな観察結果を、1970年代に『マリナー10号』が撮影していた画像に組み合わせることで作成された。
メッセンジャーは9月29日に、水星への3度のフライバイ(接近通過)のうち3回目を終えたところだ。メッセンジャーのミッションは新たな段階に入っており、[2011年には]太陽の最も内側の惑星である水星の周回軌道に乗ることになる。
[日本語版過去記事によると、NASAの金星・水星探査機マリナー10号は、1970年代に3度のフライバイを行ない、水星の表面の45%を画像に収めた。その後、2008年10月に行なわれたメッセンジャーによる2度目のフライバイで、水星の表面のおよそ90%が、1キロメートルの解像度で撮影されていた。
水星の周回軌道に乗ると、今よりも遅い速度で水星の表面を通過するようになり、解像度がおよそ250メートルにまで上がるため、さまざまな地域の鉱物組成を調べるのに役立つ詳細なデータが収集できると期待されている]
米国地質調査所が地図の作成に使用した917枚の画像は、解像度や光の状態が異なるものの、高性能なソフトウェアを使用することで、異なる画像から得た惑星の特徴がうまく調和され、ほとんど継ぎ目のないモザイク画像となっている。
[米国地質調査所(United States Geological Survey:USGS)は、米国内務省傘下の研究機関。米領内を中心に、全世界において緑化や天然資源などを調査しており、地形図・地質図の製作や地震の観測を行なっている。同調査所は、月、水星、火星、金星のほかに、木星の衛星イオとガニメデ、カリストの地図も作成している(日本語版記事)]
参考:AGU Poster. “Near Global Mosaic of Mercury” by K. J. Becker; M. S. Robinson; T. L. Becker; L. A. Weller; S. Turner; L. Nguyen; C. Selby; B. W. Denevi; S. L. Murchie; R. L. McNutt; S. C. Solomon.