リヨンのオラス会長は21日、シルバン・ビルトール(33)の移籍でレンヌ首脳陣と合意に達したことを明らかにした。レキップ紙がウェブ版の速報で伝えている。

 昨季22試合と出番の少なかったビルトールは、シーズン終盤からオフにかけて、練習不参加、ホテルでの騒動、スピード違反による警察連行など度重なる問題を起こし、会長をはじめとするクラブ首脳陣の怒りを買っていた。

 12日から韓国で開催されたピースカップに3日遅れで合流したこともオラス会長の逆鱗に触れたが、これは14日までの“欠勤”を認める医師の診断書があったために“正当化”されている。ただし、ビルトールの出場は大会組織委から認められなかった。

 レンヌはビルトールにとって、リーグ・アンのデビューを飾った1991年から1997年まで6シーズン在籍した古巣。ビルトールは昨シーズン中もレンヌのスタジアムを数回にわたり訪れるなど、良好な関係を保っている。レンヌは昨季、クラブ史上最高の4位でシーズンを終え、UEFA杯の出場権を獲得しており、ビルトールのような経験豊かな選手を欲していた。

 ただしレンヌにとっては、リヨンとの契約があと1年残っていること、400万ユーロ(約6億7000万円)は下らないといわれる高額の年俸がネックだった。今回の合意で、ビルトールを“お払い箱”にしたいリヨンはレンヌに移籍金を要求しなかった可能性がある。

 オラス会長が「あとはビルトール本人がレンヌと合意するだけ」とレキップ紙に語っているように、年俸の問題が片付けば、ビルトールの古巣復帰が実現する。レンヌの大株主は、実業界の重鎮で、大手流通グループPPR(傘下にプランタンなど)の創設者、フランソワ・ピノー氏。PPRはつい先日、スポーツ用品メーカーのプーマを買収したばかりで、強力なスポンサーをバックにつけて、ビルトール説得の材料を得たと考えられる。