リバプールの共同オーナーに就任したアメリカ人実業家のトム・ヒックスが、クラブの経営方針についてコメント。当初は、来シーズンに向けて巨額の補強資金が投下されると考えられていたが、メジャーリーグのテキサス・レンジャーズやNHLのダラス・スターズのオーナーでもあるヒックスは、ビジネス面を意識した補強戦略を展開すると明言。その鍵となるのが、ラファエル・ベニテス監督の存在だという。

「私はスポーツビジネスの世界に13年間身を置いている。その経験で言わせてもらうと、巨額の投資が、必ずしも結果に繋がるとは限らない。オーナーの仕事で重要なのはバランス感覚。ファンやスポンサー、そしてメディアなどから得た収入を、チームに還元する。そのバランスを間違えば、ビジネスが成立しなくなる。鍵となるのは、長期的視野を持ったクレバーな監督にチームを任せること。その意味でも、ラファエルは最適な人材だ。私は戦力補強を行なわないと言っているのではない。我々は、毎年タイトルを狙えるようなチームを作り上げるため、様々なプランを考えている」

 一方、新オーナーから絶大な信頼を得たベニテスは、噂されていたレアル・マドリーの監督就任を否定している。

「レアル・マドリーの監督就任について、スペインのメディアで報道されているのは知っている。レアルのようなビッグクラブの監督就任が噂されるのは、どんな監督でも光栄に思うものだ。しかし、私は今の仕事に満足しているし、イングランドを離れる気はない。新たな時代を迎えるリバプールの監督を務められて嬉しく思っているよ」

 ヒックスと共同オーナーのジョージ・ジレットは、31日のアーセナル戦を観戦した翌日にベニテスとの会談を予定しているという。新オーナーの下、新たな時代の幕開けを迎えるリバプール。イングランド屈指の名門クラブの未来は、2人のアメリカ人とスペイン人指揮官に委ねられることとなる。