メルカリの手軽さが減る? 仕様変更で実現する安全性の向上と利便性の低下とは

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メルカリ」は不要なモノをネットを通して販売して現金化できるフリーマーケットアプリ(フリマアプリ)だ。スマホに「メルカリ」をインストールし、簡単な手続きをするだけで、手元にある不要なものを出品して販売することができる。

メルカリはスマホの電話番号を利用した本人確認により、登録手続きを簡素化したことで多くの利用者を獲得した。
ところが、そうした敷居の低さから、成りすましや不正出品を行うユーザーを増やす結果にもなっていた。

こうした状況の改善のために、メルカリは2017年11月14日に、大幅な仕様変更を発表した。

そこで今回はメルカリの問題点と、仕様変更に伴うメリットやデメリットについてまとめてみた。

■自由な市場が一変、無法地帯へ
メルカリは2013年にサービスを開始して以来、人気のスマホアプリとなった。
アプリさえインストールしておけば、誰でも手軽に不要なモノを出品し、販売して現金を手にすることができたからだ。

しかし、誰もが簡単に利用できるシステムは、様々なトラブルも発生させた。

●現金を出品
トラブルの有名な事例をあげれば、テレビやインターネットニュースで話題になった現金の出品だ。
たとえば、1万円札4枚を4万7,300円で売るというものだ。

「現金が売れるわけがない」と思う人がいるだろう。
しかし、世の中は不思議なもので、いくつもの売買が成立していた。

メルカリでは銀行券や貨幣の出品を禁止する対応をとったが、今度は旧札(過去に発行された銀行券)を出品する者が現れた。

現在では、コレクション性のあると判断される紙幣以外の出品は、マネー・ロンダリングに繋がる恐れのあるため、原則的に禁止となっている。

●成りすましトラブルが横行
メルカリでは、成りすましによるトラブルもある。

購入者の成りすまし
出品した商品に対して「来月購入したい」との連絡を受け、名前入りで専用ページ(○○様専用)を作ったところ、別人に商品を購入されたというものだ。
取引する落札者と同じ名前やプロフィール画像を利用するといった巧妙な手口も登場している。

出品者の成りすまし
友人に頼んで、友人のスマホでメルカリに登録してもらう。
その後、ログインに必要な情報を教えてもらい、メルカリに出品するというものだ。

この方法は、「友だちに成りすます」ことになる。
万が一、友人のアカウントで無期限停止の処分を受ければ、友人は二度とメルカリを使えなくなってしまう。

ちなみに、メルカリでは、利用規約に違反すると、アカウント停止の処分を受ける。
アカウント停止 には、以下の2つがある。
・期限付き停止
・無期限停止

期限付き停止は、利用できない期間が過ぎれば、いつも通りに出品や購入が行えるようになる。
無期限停止では、以後、何も出品ができなくなる。

■大幅な仕様変更へ
今回、メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」の仕様変更を12月上旬より実施する。
主な変更点は、
・初回出品時の本人情報登録必須化
・振込申請期限の変更
・売上金を用いた商品購入手順の変更

○初回の出品時は、
・住所や氏名、
・生年月日
などの本人情報の登録が必須となった。
メルカリによると、登録された本人情報と売上金の銀行口座名義が一致しない場合には、売上金を引き出せなくするとしている。
さらに、これまで出品経験のあるユーザーであっても、本人情報が登録されていない場合は、登録が必要となる。

○振込申請期限の変更は、
売上金の振込申請期限を従来の1年間から90日間へ変更する。
対象となるのは、仕様変更後の取引からとなる。

振込申請期限までに売上金が利用されない場合は、あらかじめ登録された銀行口座に自動的に振込まれる。

○売上金を用いた商品購入手順の変更は、
売上金を使用した直接の商品購入ができなくなる。
1ポイント=1円に相当する商品を購入できるポイントと交換する手順に変更される。

今回の仕様変更の目的は、
本人情報登録を振込申請時から初回出品時に早めることで、盗品をはじめとした不正出品を抑止する。
あわせて警察をはじめとする捜査機関と早期の連携が可能にすることにある。

さらに振込申請期限の短縮やポイント制度の導入によって、ユーザーはより安全、かつ安心してメルカリを利用できるようになるメリットもある。

ただ、「簡単に出品できる」をうたっていたフリマアプリであるだけに、出品するための規則が厳しくなることで、ユーザーにとっては手軽さが失われるデメリットにもなる。

メルカリの措置は、吉と出るか凶と出るか。今後の展開を見守りたい。


ITライフハック 関口哲司