オバマ米大統領が5月の伊勢志摩サミットに来日する際に検討中の被爆地・広島訪問をめぐり、韓国メディアで批判的な論調が目立っている。写真は原爆関連のポスター。

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2016年4月16日、米国のオバマ大統領が5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に来日する際に検討中の被爆地・広島訪問について、韓国メディアで批判的な論調が目立っている。底流にあるのは歴史認識。懸案の慰安婦問題が一応決着したとはいえ、日韓両国間に横たわる溝の深さが改めて浮き彫りになった。

中央日報は、広島市で開かれた先進7カ国(G7)外相会合に出席したケリー米国務長官の平和記念公園や平和記念資料館(原爆資料館)訪問を取り上げた社説「米国務長官の広島訪問、日帝免罪符なってはいけない」を掲載した。

この中で、同紙は「日帝の侵略に苦しんだ韓国としては懸念される点が少なくない。何よりも今回の訪問が日帝の過ちを希釈させ、日本が加害者ではなく被害国という誤ったメッセージを与えないか心配になる」「被害国が心を開けないのは、日本政府が心から過去の過ちを反省していないと見るからだ」などと指摘。

その上で「東アジア全体の目で見ると、いま米大統領が広島に行くのは時期尚早だ。こうした状況でオバマ大統領の広島訪問が実現しても、これが日帝の蛮行に対する免罪符ではないことを米国は明確にしなければいけない」などと主張した。

東亜日報も「広島のケリー米国務長官」と題するコラムで、「(平和記念公園の)片隅に2万人に上る韓国人原爆犠牲者碑もあるので、韓国にも歴史的な意味が重い」とする一方、「日本が歴史を否定し、世界唯一の被爆国家という点だけを強調するのは、加害者が被害者のように振る舞うことなので共感できない」などと批判した。

朝鮮日報は東京特派員発の記事で「オバマ大統領の被爆地訪問を阻む米国の世論と現実的な壁」を報じた。「ケリー国務長官の口からは『謝罪(apology)』という言葉は一言も出なかった。ケリー長官の補佐官は米国人記者たちにケリー長官は謝罪に行くのかと問われるなら、答えは『ノー(No)』だ。過去の悲劇に悲しみ(sorrow)を感じるかと問われるなら、それは『イエス(Yes)』だと語った」と紹介。「問題は米国の世論だ。これまで日本の首相が真珠湾を訪れたことは一度もない。安倍晋三首相は昨年、真珠湾訪問を検討したが、実行に移してはいない」と解説した。

ハンギョレ新聞も東京特派員発で「侵略より原爆被害を強調…広島の二面性」の見出しで報道。「歴史的な平和記念資料館訪問に対する地域住民の反応は奇妙に分かれた。71年前に原子爆弾を投下した米国の現職国務長官が広島を訪問したこと自体は歓迎すべきことだが、被爆者たちと話し合う機会が設けられておらず、『謝罪』もしないなど、期待外れだということだった」と前置きし、「広島市民がこのような反応を見せるのは、日本人の心の奥底に『普通の日本人は戦争の被害者であり加害者ではない』という集団心理が存在するからだ」と問題視した。

SBSやYTNテレビも「オバマ大統領の広島訪問が実現すれば、日本は核の被害国であるとのイメージを全世界に伝えると同時に、戦犯国というしがらみから抜け出せるという安倍政権の思惑が隠されている」「オバマ大統領の広島訪問は、戦争加害者としての日本を戦争被害者に成り代わらせることにつながり、懸念される」などと伝えた。(編集/日向)